「前半はNTR、後半はモテと非モテの話」福田村事件 スキピオさんの映画レビュー(感想・評価)
前半はNTR、後半はモテと非モテの話
関東大震災後の混乱時期に、野田で起きた殺人事件がモチーフ。朝鮮人と間違えられた行商人が9名惨殺された話で、詳しくはWikipediaで。
前半は、ひたすらに寝取られ(NTR)の話。朝鮮帰りのインポの元教師と田中麗奈の夫婦が主役。この二人がインポ先生の地元の野田に戻るところから話が始まり、汽車のなかでシベリア出兵で旦那を亡くした未亡人と出会う。
シベリア未亡人は実は利根川の渡し船の船頭と出来ている(NTR①)。で、船頭とソリの合わない百姓の家では、舅の柄本明が息子の嫁と出来ている(NTR②)。インポ先生に愛想を尽かした田中麗奈は船頭と船の上でNTR③をやっているところを、インポ先生とシベリア未亡人に見られて、前半NTRパートが終了。
このままインポ先生とシベリア未亡人のNTR④をやっていると「福田村NTR事案」となってしまうので、慌てて朝鮮人差別や被差別部落や社会主義運動と関東大震災にご登場頂き、水道橋博士が日本刀を振り回して大団円、って映画です。個人的にはインポ先生とシベリア未亡人の「豆腐」の先の話が気になります!
田中麗奈は良い女優だと思うのですが、どうも年相応の役に恵まれませんね。シベリア未亡人の元水曜のカンパネルラのコムアイは良いですね〜、「エロくない壇蜜」と言われていますが、充分に艶っぽい。
全般的に舞台を観ているような、大仰な演技ですね。ラストの乱闘も大きく声を張り上げるだけで、惨殺シーンをどう観せたいのかがよくわからなかったです。
私はNTR映画として観ましたが、あえて後半を考察すると、、、
なぜ村人は行商人を惨殺したのかって部分は、インテリへの反感、なのかな?と思いました。村長にしろ、警官にしろ、新聞記者にしろ「帽子を被っている」インテリ連中と、ほっかむりの村人とでは、野田と讃岐と同様に会話が成り立たない、ってこと。在郷軍人会は徴兵で帽子を被せられているものの、非インテリ側なんですかね。
それを現代に当てはまると、イケメン・美人と非モテ。ラストで行商人を守る連中はみんな「モテ」の役者ですね。船頭、インポ先生、田中麗奈、カンパネルラのNTR4人衆が庇い、水道橋博士以下の非モテ衆が槍で突き刺す。
明治大正はインテリ、令和となりモテが世の中の中心である、ってことかな〜と。