「過ちを歴史から学びたいと思う」福田村事件 ボンボンのんちゃんさんの映画レビュー(感想・評価)
過ちを歴史から学びたいと思う
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「朝鮮人なら殺してもいいんか!?」
という台詞が全てを物語る。
史実に基づいた『福田村事件』を鑑賞した。
静かに暮らしていた福田村の住人が
関東大震災の不安とデマに煽られて、
讃岐から訪れた行商人を「センジンだ!(朝鮮人)」と勘違いをして、(妊婦の胎児含めて10人)を大殺戮を起こす、あまりにも酷い事件。
殺戮に発展した理由は
・行商人たちの讃岐弁が聞き慣れず、移民と思った
・行商の頭人が朝鮮の扇子を持っていた
というあまりにも短絡的判断だ。
インテリ少年が
「何のために生まれたんだ!」
と叫んで滅多刺しにされるシーンは目を覆った。
その瞬間は自分が正しい、と加害者の集団的心理が働く。
一瞬で真実と正義が湾曲され、最悪の不幸に巻き込まれていく。
噂は正しいのか?確認することもなく、
観ていて辛くなりますが、現代に通じるところがあって深く考えさせられます。
この時代は閉鎖的で軍国主義だから起きた残忍性だ、と片付けてはいけない。
100年経った今も
誹謗中傷に絶望して命を絶つ人間がいたり
震災や、コロナ禍でも差別が見受けられるのだから、骨の部分は変わってないのかも。
自分は被害者に立つわけがない、と思っていながら実は加害者になりうる危うさ。
思い込みではなく、真偽を確認する冷静さを失ってはならない。
声上げられない弱い立場の人を必要以上に叩く正義は、憂さ晴らしではないか?
色々立ち止まって考えたくなる作品だった。
評価されて欲しいが、やはり内容のせいか、あまり上映回数や映画館は少ないのが残念だ。
いつも尖った内容ではっとさせる森達也監督。
よくぞ作品にしてくださいました。
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