「上手い脚本と演出による貴重な作品」福田村事件 平成モンド兄弟さんの映画レビュー(感想・評価)
上手い脚本と演出による貴重な作品
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映画の前半に描かれる、村人たちの関係性。それが、狂気へと繋がる伏線だと最後に分かる構成。
更に、出征中の夫の留守に他者と関係を持ったとされる、コムアイ演じる未亡人と、事実を明らかにしようとする木竜麻生演じる新聞記者への周囲の反応を通して、作中の人種、部落差別と並び、当時の女性差別まで描いた脚本は本当に上手いと思った。
惨劇を眼の前にして、人は立ち竦むだけになるという演出も、ドキュメント出身の森達也だけあって、リアリティを感じさせる。
ただ、外から来て事件を客観的に目撃する役だったと思われる、主演の井浦新、田中麗奈の印象が少し弱かった。
逆に前出のコムアイ、木竜麻生に加え、船頭役の東出昌大、行商団の頭役の永山瑛太らが強烈な印象を残すのは、正直に、必死に生きようとする役柄の為かもしれない。
最後に、惨劇の後、水道橋博士演じる事件の象徴の様な人物が吐露する台詞は、今もネットに蔓延っている、偏った思考の人間たちの愚かさ、卑劣さ、弱さを痛烈に感じさせられた。
日本人なら、一度は鑑賞すべき貴重な作品なのは、間違いない。
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トミーさんのコメント
2023年9月18日
共感ありがとうございます。
井浦・田中の夫婦役は、惨劇に際する迄本当に抑えた演技に徹していたので、ちょっと立ってない感が出たのだと思っています。舟の上が悪目立ちしてしまった所も。