劇場公開日 2023年9月1日

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「御茶ノ水博士、怪演」福田村事件 xtc4241さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0御茶ノ水博士、怪演

2023年9月10日
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鑑賞方法:映画館

配役がすごいと思った。
ここに集まった俳優陣は、みんなが森監督にシンパシーを感じていることは間違いない。
井浦新と田中麗奈、戦争によって心が離れてしまった夫婦を。
東出昌大とコムアイ、戦争中の孤独感が結びつけた不貞関係の船頭と未亡人を。
ピエール瀧と木龍麻生、新聞の役割をめぐる金とメディアの矜持と確執。
永山瑛太、被差別部落を率いるブライド高きリーダー役を。
戦争中も、それぞれに感情があり生活がある。

その中でも、特筆すべき存在感を持っていたのが水道橋博士だ。
小さな体に大きめな軍服、なにかと現体制の論理を吐き出す歪んだ唇、思わずお前は朝鮮人に違いないと叫んでしまう右翼的言動。
だけど、少し前は彼も善良な農民だったのだ。
水道橋博士は、戦争という環境のなか強い自警団団長役になりきっていた。
現実には真逆の人なのに、そんな役をやった。
だからだろう、彼は鬱になり体調を崩し当選したばかりの議員をやめた。こんな状態では役に立たないだろうと。

ぼくだって、そんな環境に置かれたらわからないと思う。戦争によって、どんどん思考は狭ばり、しまいには考えることすら、やめてしまうのてはないか。
そんな恐ろしさを感じる映画でもあった。
評価85点
※映画としてみた時、詰め込みすぎたという印象も残った。

xtc4241