「普通の善男善女が集団心理で虐殺を行う恐怖。今でもあり得る。現代の日本で、世界で、大都市で、そして僕も善良なあなたも加害者になる。」福田村事件 マサヒロさんの映画レビュー(感想・評価)
普通の善男善女が集団心理で虐殺を行う恐怖。今でもあり得る。現代の日本で、世界で、大都市で、そして僕も善良なあなたも加害者になる。
今でも起こりうる集団心理による普通の善人が行った虐殺の物語。1人ひとりは善男善女なのに(善き夫、善き父親、善き息子、善き妻、善き母親、善き娘)なのに、群衆になるとその場の雰囲気にのまれたり、同調圧力に逆らえず殺人さえ起こしてしまう恐怖を感じた。
とても他人事とは思えない。ほんの30分前までは、まさか人を殺すなんてことは考えたこともない善人が、デマと群衆心理で虐殺をしてしまう。
最近ではコロナの自粛警察、アメリカの連邦議会襲撃があった。
群衆心理の怖いところは2つある。
1つは、暴動や虐殺している人々に悪意がないどころか善い行いだとさえ思っていることだ。個々人は普段はフツーの善男善女なのに、群衆になったとたん殺人さえ行ってしまう。
もう1つは、反対したいのに同調圧力で反対できずに暴走に加わってしまうことだ。群衆心理で暴走が始まってしまうと、同調圧力にのまれなかった人が反対しても、もう暴走が止められない。止めようとしたら普段は仲良しの隣人も敵とみなされ殺される危険もある。傍観するだけだ。
100年前の福田村事件の原因は、国家権力による情報操作と、殺らなければ殺られてしまうという恐怖と、朝鮮人と部落を見下している差別だ(今回の映画は部落出身ということで殺された訳ではないが、行商に出なければならない状況に置かれていにたということで間接的にではあるが原因となっている)。
朝鮮人差別は全然無くなってない。映画の台詞でもあったが「朝鮮人は日本に居れるだけでも感謝しろ」は大久保での在得会のヘイトスピーチにつながる。
(蛇足)
よくある誤解だが、日本は外国よりも同調圧力が高いというのは、データに基づかない個々人の単なる感想で全くの俗説だ。ネット記事やビジネス誌で、「日本人は同調圧力が強いと思いますか? YES 70 %、 NO 30 % 」なんていう個人の感想や、長く外国に住んでた人や帰国子女が、「日本に来ると同調圧力が強いと感じる」という主観による感想が、さも正しい定説のようなふりして一人歩きしてるだけだ。
日本人は集団主義、アメリカ人は個人主義というのも同じで単なる個人の主観による感想だ。データに基づく話ではない。