ベルサイユのばらのレビュー・感想・評価
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名作「ベルばら」を2時間弱で駆け抜ける
歴史と少女漫画のロマンチシズムを如何に見せて頂けるかと期待したいところですが、様々なエピソードを手短に紹介する、そんな歴史ドキュメンタリーなダイジェストを印象にもってしまったことは否めません。
ですが、それでもバラは咲くことを止めない。「ベルばら」はやはり「ベルばら」であったと十分に納得できたと思うのですが如何でしょうか。正直、ベルばら原作もヅカの舞台も触れたこと無いので自信を持っていうことが出来ません。フランス革命もマリー・アントワネットのこともよく知らなかったし。
でも、画面に乱舞する美しい薔薇は、これぞ少女漫画なのだな、と思う。上映時間をおしてもドラマ部分を削っても、挿入歌とそれを演出する映像は素晴らしい。踊るモーションは実に華麗。それらの演出は歌劇である宝塚版を意識されているのでしょうか。特にマリーとフェルゼンの逢瀬で、夕焼けに染まった薔薇の浮かぶ水辺の光景には身震いしました。ただ、「恐ろしい子!」で有名な白目ショック顔はクスッときたけど、笑って良かったのでしょうか。
歴史は詳しくないし、本当にこんなにドラマティックであったのか。私には判らないけど、これをきっかけに史実を紐解くのも良いかもしれません。ベルばら原作や宝塚の舞台にも触れてみたい。ああ、そういえば、歌舞伎の俳優祭でベルばらを演じられていましたね。まだニコニコとかに動画残ってるかな。男性が男装の女性を演じるという、よく判らないことになってましたが。
改めて、画面を乱舞する薔薇が実に美しい。少女漫画を余り知らない私ですが、「エロイカ」ぐらいなら読んだことがあって、その外伝「ツェット」の1話で多くの薔薇が描かれていたけど、描くのが難しいので他の先生に頼んだんだったか。描くのも折り紙で折るのも難しい薔薇。最後に誰も居ない「薔薇園」で締めるというのは素晴らしいエンディングでした。映画でも舞台同様に「カーテンコール」で締める作品が好きなのですが、誰も出さずに登場人物を象徴する薔薇でご挨拶というもの意味が深く、実に感慨深いものがあります。何はともあれ、スタッフの薔薇職人様(って、いるのかな?)お疲れ様でした。
でも、あえて要望するならば、エンドロールで傑作OPの「薔薇は美しく散る」を流してほしかった。そしたら一緒に歌いながら劇場を後に出来たのに。私は原作を知らないくせに歌だけは覚えていて、普段から折を見て口ずさんでいますから。
無理難題を歌とイメージで突破しようとした製作陣の蛮勇にビビる
原作やアニメシリーズやベルばらファンとして、不満点はわんさかあります。それがもはや今っぽいアニメの絵柄やスタイルについて行けてない老害的な部分もあるとは思うが、にしても、2時間以内に原作をほぼほぼ収めようなんて狂気の沙汰。想像だけど、作り手だってそう思っていたんじゃないか。そして製作陣が出したひとつの答えが、ええい、複雑なストーリーを語ったり、人間の成長譚を丁寧に追う時間はない! 歌だ! ガンガン歌とイメージ映像で進めていけば、キャラクターのエモーションだけは残すことができるんじゃないか? どんな会議があったのかは知らないが、結果的に、インド映画的なミュージカル手法に、LDHっぽい楽曲(個人の印象です)に載せるという狂った映画ができあがった。曲調もまったくフランス風とか考えてなくて低音ズンズン鳴ってるし、歌詞も「I believe in my way 私のデスティニー」とか、英語混じりの日本語でムチャクチャだとは思う。でもまあ、どだいムリを承知で産み落とされた強烈にヘンな映画であり、こんなベルばらがあってもいいような気はしたんですよね。不満点はわんさかあるんだけど、まあアリ。
めちゃくちゃ豪華なアニメーション
劇場公開中に観に行けなくてサブスクで鑑賞したんだけど、映画館で観れば良かったと思った。
画面がとにかくキラキラしてて華やか…!!
美しいアニメーションと、ところどころ入るミュージカルシーン、登場人物たちの愛と信念がまぶしい、劇場映えしそうな作品だった。
(しかし澤野弘之さんに藤林聖子さんとか、楽曲の作り手が豪華…!キャストももちろんみんな歌上手い方ばかりだし!でも楽曲は重厚というよりは聴きやすく今っぽい感じなのがちょっと拍子抜けだった。宝塚っぽい感じにするのかと。)
あの超名大作を2時間にどうまとめるのかと思ったけど、オスカル、アンドレ、アントワネット様、フェルゼン4人の恋と愛(青春)を中心にまとめたんだな。
※序盤は主人公の一人くらいの扱いだったのに、終盤ほとんど登場しなくなったアントワネット様。「彼女の最期もエンドクレジットでしか描かないの!?(終盤はほとんどオスカルとアンドレとフランス革命描写が多かった)」とも思ったけど、そう思うと物語の軸はしっかりしてたのかも。
しかし、本作、改めて登場人物がめちゃくちゃ魅力的。みんな誇り高くて、愛情深く、格好良いのだ。
オスカルの気品と気高さ(沢城みゆきさんぴったり…!)に惚れ惚れし、アントワネット様の美しさと気高さ(平野綾さんぴったり…!)に見惚れ、フェルゼンの格好良さ(アントワネット様やオスカルが恋するのもわかる…!)に胸をときめかせ、アンドレのオスカルへの切ない愛に心がねじ切れそうに涙した(愛が重い男、最高…!)。
これまた良い男のジェローデルや、冴えないかもしれないけど心優しいルイ16世も良かった。
(個人的に原作のアランやルイ・シャルルがオスカルに思いを寄せてる描写やシーンも好きなんだけど、そこまで入れたらまあ尺足りないよな。)
劇場でまた再上映しないかなあ。
改めて劇場で観てみたい。
何を見せられているのか
1979年から80年に日テレで放送されたテレビアニメが令和に復活したのだ。
オスカル、アンドレ、アントワネット、フェルゼンが主役である。
朝の報道番組で映画をやると知り、SNSで宣伝を見て、古参なうちは目を疑うのだ。
目がキラキラしているだけじゃね???と。
バリバリまつ毛があれど貫禄はない、太く荒い線もほっそい。色すらもうっすい。声優は豪勢である。
これ、一本で全部やるの?前後編(他、アニメ映画みたく連続でやるのか?)と思っていたが、まさかの一本。
驚きは隠せない。
ネット配信を待ちに待ち、ついにネットフレックスにきた!
いざ、観た。
冒頭の音楽は許せるが、またすぐにダイジェスト音楽でこうなんですよー〜〜と流れて、目が点となった。
漫画やテレビアニメでは、主人公のオスカルがメインで、その出生や父親のせいでオスカルが女の人生を歩めなくなるのを冒頭から知らせていた。
だが、今作はどうだ?
アントワネットメインとなっている。
力強く産声を上げたオスカルと父親のシーンはまるまるカットされたのである。
そうなるとオスカルがなぜ男装しているのかが汲み取り辛い。オスカル自身がやっていると思われかねない。元に。SNSでオスカルはジェンダーで〜と書き込みも見た。いやいや!違うんだっ、オスカルは性別はきちんと女性なんだ! と吠えてしまった。
2時間に満たない作品の四割はミュージックで、とてもくどく。星も一つにしようかとマジで思った。
しかし、後半の血生臭さからミュージックがミュートされてからが本番であった。
四人の恋愛が辛い。
つぅか、ルイ16世が心広すぎるんよ。いい男なのだ。他の男を愛し騙していたアントワネットを許すんですからね。美形でスタイルがよければ、愛してると言えるのに。と泣くのです。
いじらしい! 可愛い!
フェンゼルとの決別、そして、アンドレの支えでようやく女性になれたオスカル。泣くでしょう。
四つのバラではなく。一輪のバラを見たかったです。
ありがとうございました。
EDは文字で、まさしく紙芝居でした。これからこうなってこうなりました。と足早で駆け足。そこは仕方ないのかなと思いますが。ナレーションのバラ…は蛇足かなと思いました。
末っ子が歌うシーンで終わらせてくれた方がリスペクト感があって嬉しかったかな。
あんなにミュージカルやるなら無印の曲を流すとか、古参を興奮させる演出も欲しかったです。
あと、本当に父親の身勝手シーンカット、許してませんから。
原作に忠実にやる箇所はきちんと検討して欲しかったです。
今時に描写
映画化されてとっても楽しみでした。懐かしい日々がまた復活するかのような
オスカルが主役なのでアニメで見てたところがところどころ省かれてるのは仕方ないと思います。
昔を知るものとしては昔のままでいいかなと感じました。
初めて見る人はまたこれはこれで楽しいのかなと感じます
タイパ時代の「ベルばら」だった🌹
歌ありBGMを頻繁に台詞に被せて来るので、何かのダイジェストを観せられている感じでした。新時代の「ベルばら」を作ろうとしているのに、マリー・アントワネットがプロパガンダ通りの、国が傾く程の贅沢の限りを尽くした人物として描かれていて、古さを感じました(アントワネットは倹約に努め、あの有名な言葉「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」も、ルソーの自伝にある言葉を用いて貶めたものと思われます)。本作のアントワネットは全く魅力的では無く、さほど重要人物では無いと感じたので、平野綾さんを起用するまでも無かったと思います。アンドレは良かったです。宝塚歌劇団や黒木瞳から離れて、原作通りじっくり作って欲しかったです。有名な主題歌「薔薇は美しく散る」が流れないのも、盛り上がらず酷いです。
記憶を呼び戻された
遠い遠い昔、原作をコミックスで読み大好きになりました。
アニメも全部観てました。
今回の映画化には最初「うーん…」という気持ちで。
映画館に観に行く時間はあったのに、結局行かないままで上映期間は過ぎましたが。
本日、配信に上がっていることを知り、午後から鑑賞。
ああどうして私は封切り初日に行かなかったのか!!と自分を責めました。
皆さんがおっしゃっている通り、アニメではものすごーく改ざんされて釈然としなかった数々の名場面が、いろんなところに散りばめられていました。
自分でもびっくりするくらい、原作のセリフや描写を覚えていました。
二時間にまとめることは不可能なんじゃない?と思っていましたが、例えばポリニャック夫人に
話しかけて屈辱で泣くシーンなどがサクサクっと流れて!
おおお!と!笑
何よりも、オスカルとアンドレのあのシーンの
時の、オスカルの恥じらう顔の描写に、今回の作品の本気を感じました。
あそこ、原作にものすごく忠実でした、忘れ難いのですよ、あのオスカルの表情は。
と、ついつい熱く語りたくなるほど。
熱いお話とは対照的にエンドロールで字幕で語られるフランスの史実がとても淡々と恐ろしく、ああそうだった、この後…と。
原作のラストも思い出しました、フェルゼンの最期の描写の残酷さ。
この物語はあくまでもフィクションなのですが、ものすごく丁寧に歴史に基づいて描かれているので、歴史とか苦手な私でも、フランス革命のことだけは詳しくなりました。
また原作を読みたくなりました。
色褪せない作品だと改めて認識しました。
ミュージカル仕立てではありましたが、どの曲もきちんと合っていて、後ろにも原画の一コマ一コマらしきものもたくさん流れていて大満足です。
訂正。
マリーアントワネット が話しかけて屈辱を覚えるのは
ポリニャック夫人ではなく、デュ・バリー夫人でしたね
大事なことなのできちんと訂正させていただきます。
心の自由に従って、哀しく、誇り高く、美しく、咲き乱れたベルサイユのばらたち
原作は池田理代子の名作漫画。
それを基にしたTVアニメや宝塚による舞台も有名。
キャラも絶大な人気。特にオスカルは、アニメキャラとしては『あしたのジョー』の力石に続いて2人目となる葬儀も行われたほど。
一世を風靡した名作が、令和の時代に再び幕を開ける…。
あまりにも有名な作品やキャラは知っているが、作品をしかと見るのは初めて。
さあ、フランス革命時を生きる人々の激動の人生と華麗なる愛の世界へ。
国内情勢揺れる18世紀後期のフランス。
王位継承者・ルイ16世の妃として隣国オーストリアから嫁いできたマリー・アントワネット。時に14歳、両国の政治的同盟の為の政略結婚だった。
マリーは近衛士官のオスカルの美しさに目を奪われる。が、オスカルは、将軍であった父から“跡継ぎ”として教育を受けた男装の麗人であった。
マリーはオスカルに全幅の信頼を寄せ、オスカルも親衛隊長として忠誠を尽くす。
ルイ15世が崩御し、ルイ16世が即位。マリーも王妃となる。そんなある時、スウェーデンから伯爵フェルゼンが訪問。
オスカルはフェルゼンに想いを。が、フェルゼンはマリーを。マリーも王妃という身でありながらフェルゼンに。
許されぬ想いを抱くのはもう一人。オスカルの従者アンドレ。
そんな彼らを、時代の荒波が押し寄せる…。
原作は10巻から成る大長編。
それを2時間の尺にまとめるのは無理。ダイジェスト的なのは否めない。
原作漫画やアニメ、昔からのファンには物足りないかもしれない。
が、要所要所のハイライトや見せ場は設けられ、私のような初見者や新しい世代が見る為の“入門編”としては最適。その為にも作られたのだろう。
前半は4人の関係や人間模様が華麗に展開。
「パンが無ければお菓子を食べればいい」という発言で困窮の人民を尻目に贅沢の限りを尽くした事で知られるマリー・アントワネット。
若くして嫁ぎ、宮廷内の周囲からの視線や世継ぎの出産のプレッシャーで孤独を感じていたマリー。それが贅沢三昧の嗜みへ。オスカルは危惧する。
そんな時出会ったフェルゼン。勿論国王を愛してはいるが、心から惹かれるものは無かった。
フェルゼンに対して初めての恋。自分の自由な気持ち。
フェルゼンもマリーを愛す。結ばれぬ許されぬ恋である事は承知。フェルゼンはマリーを愛する為、独身を貫く。
オスカルもまたフェルゼンに結ばれぬ許されぬ想いを抱く。彼の想いはマリーに向けられ、王妃の想いを近衛隊長であるオスカルが想いを抱く事は出来ない。
アニメ史上に残る名キャラと言っていいオスカル。
女性としての容姿端麗、美しさ。男性として育てられ、誇り高さや勇ましさ。聡明でもあり、儚さも滲ませる。女性から見ても男性から見ても魅力的。その魅力に納得。田島令子の声優としての当たり役だが、今の時代なら美しさと強さを併せ持った沢城みゆきはベストなキャスティング。
美しきキャラたちが織り成す人間関係の中、身も心も一番のイケメンはアンドレと言えよう。
オスカルの乳母の孫。オスカルの従者だが、オスカルとは幼馴染みや兄弟姉妹のように育つ。
常にオスカルの傍に。オスカルへ、彼もまた結ばれぬ許されぬ想いを抱いている。
ある時暴徒からオスカルを守り、片目を失明。やがてもう片方の目も視力が…。
現世でオスカルと結ばれぬ事に苦しみ、オスカルを連れ立って来世へ旅立とうと…。それほどの深い愛。
アンドレの想いを知らないでいたオスカルだったが、やがてその想いに気付く。彼の苦しみが私の苦しみ、彼の喜びが私の喜び。私のアンドレ!
ある運命の前夜、二人は遂に結ばれる。将来も誓い合うが…。
4人各々が持つ哀しみや想い。
後半になるにつれ、オスカルとアンドレのラブストーリー。前半比重の大きかったマリーとフェルゼンは蚊帳の外…。
ミュージカル調の演出も賛否分かれているよう。が、宝塚歌劇にもなっている訳だし、これはこれで。
登場人物たちが歌い出すのは後半の一曲ぐらいで、オリジナル楽曲の数々が登場人物たちの心情や作品世界を彩る。
流麗な映像美も相まって、たっぷり堪能。
が、2時間ずっとミュージカル調演出×4人の織り成すラブストーリーだけだったら飽きが来てたかもしれない。
後半は寧ろ、史実絡むドラマに胸熱くさせる。
国内情勢はさらに不安定に。
人民たちの暮らしは困窮と貧困のどん底。日々の暮らしも、食べるものも、明日をも知れぬ。
その不満や憤りは王室へ。王室は衛兵隊で鎮圧。
各地で着いた火種は遂に、大きな炎に。フランス革命の始まり。
オスカルは人民やフランスをもっとよく知ろうと、近衛隊を辞し衛兵隊へ移る事を願い出る。マリーは当初反対するが、オスカルの意志は揺るがない。それは二人の決別も意味していた…。
オスカルが配属された隊は、貴族出身で女の隊長に反発。
兵は皆、人民出身。兵たちもその家族も苦しんでいた。
隊内で起きた不祥事をきっかけに、互いの信頼が築かれていく。オスカルは隊に、“心の自由”を説く。
人民と王族が遂に衝突。立ち上がる人民に、王族は武力で制圧。
人民を守る筈の軍が人民に銃や砲を向ける。無慈悲に攻撃を…。
フランスは誰のものか…? 権力を貪る一部の王族や貴族や軍のものか…? それとも人民か…?
オスカルも決断迫られる。権力の犬として付くか、人民と共に闘うか。
心の自由に従って。迷いは無かった。
アンドレ、そして隊と共に。
自由、平等、友愛。
人民と愛するフランスの為に。
だが、その闘いの中で…。
どの国にも壮絶な歴史がある。
日本なら戦前~戦後の大転換、韓国なら民主化。
自国や隣国ならまだしも、歴史的に有名でも18世紀のフランスの革命などなかなか知り得ない。
それをただ学校の授業で習っても興味持てない。実際私も習った筈なのに、ほとんど覚えていない。
しかし、こうやってエンタメとして見せる事で改めてよく知れる。
一見は美しきキャラたちが織り成す恋愛模様だが、その根底にはフランスの歴史をしっかり昇華。
池田理代子女史の手腕と作品が今尚愛され続ける理由が分かった。TVアニメの方も見てみたくなる。
ノンフィクションの歴史を背景に、フィクションの物語やオスカルなど架空のキャラも。
が、モデルは居た筈だ。名も無き英雄たち。
本当に誇り高き英雄、人民たち。
彼らを忘れない。
心の自由に従って。哀しく、勇ましく、美しく。
咲き乱れたベルサイユのばらたちよ。
ベルばらの良さゼロの残念なミュージカル映画
2時間という尺の都合上、漫画の世界観を出し切れないのは仕方がないと思うが、突拍子のなさ連発の恋愛シーンで想像以上にがっかり。
まるで、原作を読んでいないメディアミックス作品を掻い摘んだ制作者達が「ベルばら」をイメージだけで作ったかのようだ。
原作漫画の「ベルサイユのばら」はフランスの社会情勢を踏まえたうえで織り成されるキャラクター達との関係性、キャラクター個人の魅力を丁寧に描いたからこそ出来上がる素晴らしい愛の物語であったのに…。なにもかも端折られすぎていてまるで別のキャラクターを見ている様。
原作を端折るにしてもそのやり方がまさかのミュージカル方式……。
オープニングからダイジェスト映像と共に主要メンバー4人が歌いだし始める…。
さながらディ〇二ープリンセスのように心情を歌に乗せてミュージカル調で発表するが、問題は肝心の曲がダ、ダサい……!!!
尺の都合上か、原作で端折った部分を映像と歌に乗せてミュージカルぽく表現するのが多発してたが、なにからなにまで曲が微妙にダサいのが難点。せめて、もっと良い曲にしてくれ澤野弘之…。(EDの絢香はよかった)
あの複雑なキャラクターの心理描写を数分の歌にするだけなんて無茶だったのでは?
要所要所を映像にしたからって何も胸を打つものはない。名シーンまでの複雑な過程があるからこそ、それは名シーンになるのだ。
例を挙げるとすると、フェルゼンとオスカルの恋なんて唐突すぎる。2人の友情の育みがあったからこそ出来るオスカルの初めての淡い恋心だったのに2、3会話しただけで恋なんて芽生えるわけないだろがい!とツッコまずには居られない。
まぁ、マリーアントワネットとフェルゼン、オスカルとアンドレの恋も然り。
恋愛に繋げるには、過程が分からなすぎて薄っぺらな恋愛映画に成り下がった。
マリーアントワネットなんて端折られすぎて、「天真爛漫、高貴で美しく、人を惹きつける魅力のある女性」という良い部分は薄れ、「物事を深く考えられない浪費家の女性」という嫌な部分しか残ってなかったのが悲しい。
これはめちゃくちゃ偏見だけど、涼宮ハ〇ヒのイメージが強いcv平野綾だと尚更性格悪そうに見える
オスカルに注力していた映画なのでいっそのこと、フェルゼンとマリー・アントワネットの恋愛シーンもさくっと終わらせてもよかったのでは?
酷評だらけですが、良かった点も、もちろんあります。
ラストシーンのオスカルのバスティーユ牢獄陥落までは丁寧でよかった。
漫画だとわかりにくい、戦法の表現の仕方だとかオスカルの隊への指示はかっこよかった。
革命運動の過程も省略されているので、市民やオスカルが戦う理由が分かりにくいのは惜しいところだが、軍神のように戦い散るオスカルの姿は良かった。
原作が素晴らしいだけに、2時間映画にはとてもじゃないが収まらなかったね。
最強スタッフによる次回作への期待とオスカルの遺言
1.齢五拾を超えた男、即成ベルばらファンとなる
昨年末、「ベルサイユのばら」が新たに上映されるという報を受け、「少女漫画とはいえ50年超にわたり人気を誇った作品ゆえ観る価値があるのではないか」との思いから映画館に足を運ぶ事といたしました。以来、約二ヶ月の間、二桁回数ご覧になられている熱烈なファンの方々には及ばぬものの、映画6回鑑賞、原作2回通読するという結構な即成ベルばらファンになっていました。
その間に原作におけるベルサイユのばらの魅力を
1)オスカルという「自己の真実のみに従い一瞬たりとも悔いなくあたえられた生を生きた」高潔で誰もが称賛してやまない主人公
2)マリー・アントワネットを絶対的な悪と位置付ける事なく、史実に沿った様々な逸話を紹介しながら彼女の実像に迫っていること
3)アントワネットの各逸話に登場する強烈な個性を放つ人物たち
4)身分や立場の違いが大きな障壁となる恋愛劇
と自分なりに整理しました。
2.令和版ベルサイユのばら
1)大胆な選択と慎重な調整を重ねた脚本
さて今般、数十年の沈黙を破って映像化された令和版ベルサイユのばら。これまで映像化された作品との決定的な違いは「その制作に関わった殆どの方々が本原作の大ファンであった」ということにあると思います。
まず、この大傑作をどの様にして2時間弱の尺に纏め上げるのかという不可能事とも言える無理難題に対して、スタッフの皆さんが下した結論は極めて大胆で、先に私が指摘した本原作の魅力2および3、アントワネットの逸話及びそれに関わる登場人物をバッサリと切り捨てるというものでした。
これはベルばら大ファンであったスタッフの方々からすれば、身を切るような痛みを伴う様なことではあったことは容易に想像できますが、尺が限られている以上、英断でありこれ以上の最適解は無かったものと私も考えます。
また、アントワネットの描写を大幅に削除したことでストーリー展開の面白さはやや損なわれたものの、かえって原作者が最も訴えたかった「どのような逆境の中でも自己の信念を貫き通す」というオスカルの人間像、具体的には忠勇義烈な近衛士官が様々な葛藤を経て市民側に参戦するに至った経緯を浮き彫りにすることには成功したのではないでしょうか。
原作からの変更された点についても、スタップ独自の発想で安易になされている場面はなかったと思います。尺が短くなったことによるストーリー全体の調整は、まるで美術品を修復する作業の様に非常に丁寧かつ慎重さをもって行われており、原作に対する敬意(Respect)を超えた忠誠(Loyalty)を感じましたね。
変更のあった点で最も印象に残っているのは、オスカルがアントワネットに最後に謁見するシーンです。暴動寸前のパリ市民に対する軍の派遣について二人の政治的立場の違いは決定的になります。その後、原作においてはフェルゼンの話になるんですが、映画版においてはアントワネットが王権神授説を唱え自らの決断を正当化することをオスカルも「誇り高き人、揺るぎなき自信、生まれながらの女王」と称賛する場面へと変更されています。ここでは原作において「デュ・バリュー夫人に否応なく言葉をかけた際に泣きくれるアントワネットに対するオスカルの台詞」を少しアレンジして敢えて挿入していると思えました。
ストーリー調整の一環なのでしょうが、それ以上に、描ききれなかった原作の魅力の一つである「アントワネットを絶対悪としない」ということを、オスカルの口をして語らしめたものと私は解釈しました。
2)映画ならではの魅力 迫力ある戦闘シーンと美しい映像
終盤の迫力ある戦闘シーンと映像の美しさについては映画ならではのものでしたね。
テュイルリー宮広場での小競り合いにおいては、全幅の信頼を置くオスカル隊長の指揮の下、パリ市民軍側に参戦する誇りと喜びから士気旺盛なフランス衛兵隊に対し、国王軍側は士気も低く貴族の指揮官の鼓舞する声も虚勢にしか聞こえません。バスティーユ襲撃においては、衛兵隊の「進撃」に歓呼するパリ市民と、それに応えるかの様に効果的な砲撃を加えることで形勢を逆転して「白旗」を掲げさせるに至った衛兵隊の歴史的活躍を見事に再現していたと言えます。
映像の美しさについては、ベルサイユ宮殿内や、ゴールドの装飾と赤の生地によって彩られるパリ・オペラ座などは勿論のこと、些細な場面、例えばジャルジェ家のソファーに描かれた薔薇の刺繍が非常に細かな線の重ねによって立体感を帯びて描かれていることなどに感嘆しました。一枚一枚の絵に込められた魂、しっかりと見させていただきました。
3.最強スタッフによる次回作に期待
残念だったことはIMAX版の上映がなかったことです。本作品はミュージカル的演出も多く歌詞の中に重要な登場人物の心理描写を多分に含んでいます(オペラ座のシーンは圧巻でした、私の耳朶は2月以降Enchanting Masqueradeに占拠されましたw)。加えて、迫力ある戦闘シーン、美しい作画、アニメ作品であることなどIMAX版に適した条件が揃っていました。
ということで、再上映の際は「ベルサイユのばら ディレクターズカット IMAX版」に期待しています。
そしてなにより、ベルサイユのバラを映像化させたら今回揃ったメンバーは最強のスタッフです。多くの往年の熱烈なファンの方々同様に、私も原作全編のネット配信や三部作映画を期待しています!
4.オスカルの遺言
バスティーユ襲撃においてオスカルが被弾し戦死は避けがたい状況となります。スクリーンの中の衛兵隊員と共に我々観客も涙する中、彼女は我々に「自由、平等、友愛が人類の堅き礎とならんことを」という重いメッセージを残しました。
本作品にあるように王権神授説を唱えた絶対王制も、いとも簡単に崩壊しました。政治体制・思想に絶対的なものなどありません。
個人主義や人権の普遍性といった啓蒙的自由主義・民主主義を拒否する人々・勢力・国家が台頭する現代においては、本作品が描かれた半世紀前以上に重い響きをもつものとして受け止めました。
やっぱり凄いな、この作品!
ベルサイユのばら、万歳!!!
ベルばらを知らない世代から見ての感想
凄かった。投稿者は2000年代生まれのそこらへんに居る男子学生だが、今なお好かれる作品というのはまさにこのようなことを言うのだろうと勝手に考えた。
オスカルが将軍の一人娘兼マリーの護衛という稀有な存在から、フェルゼンとの出会い、マリーとの別れ、縁談、衛兵隊転属など数々の経験を通じて、人一倍自由で情愛を持つ若者に成長する様子が愛しく、何より格好良かった。
性別だの年齢だの関係なく、人間として憧れた。
終始ミュージカル調で、原作未読勢でもかなり端折っているのは分かったが、初見でも十分理解できる範疇だと思う。新聞記者の一件や、アンドレがワイングラスを叩き割るところなど初見からしたら説明不足なシーンも有ったが、それを凌駕するほど音楽と声優陣の演技がずば抜けて良かった。色々槍玉に挙げられるが、やっぱりMAPPAはすごい。
エンドロールで史実が淡々と映される演出も、平家物語やおとぎ話に通ずる諸行無常さが包含されているようで好み。
初めてのベルばらがこの映画でよかった
あまりにも有名な作品なのでタイトルは知っていましたが、内容についての知識はほぼゼロ、たまたま劇場で流れた予告に興味を引かれ観に行きました。
その後まさか自分が、この映画に魅了されて毎日のように劇場へ足を運ぶことになるとも知らずに。
最初は、その画からイメージされる通りの演出(メインキャラのバストアップで画面を囲むように花が咲く、ダイジェストにするためのミュージカル演出等)を心の中でネタにしながら観ていたのですが、段々とストーリーにのめり込み、鑑賞後はとても久しぶりに「映画を観て感動した」と思いました。
この作品は、「女性の自立」と、「人間がどう生きるかを問いかける」作品だと感じています。
職場や家庭で様々な役割を負い、自分のこれまでの選択や行いが正しかったのか悩み、社会や自分を取り巻く人々・自分自身のためによりよくありたいと行動する、そんなオスカルの姿に共感できる方、沢山いるのではないでしょうか。
初見でも、尺の都合上ストーリーや登場キャラが大幅にカットされているであろうことは感じられる内容でした。
それに対し、受け入れられなかったり初見に対して不親切なのではという意見もあるようです。
演出については好みの問題なのでどうしようもありませんし、作品への愛ゆえに残念な気持ちになることも仕方ないと思います。
でも、「あれがない」「ここが違う」といったことにばかり囚われて、その作品が伝えようとしている根本の部分を見落としてしまったらとても残念だと感じます。
少なくとも自分は、映画を観て原作を読んだあと、作品のメッセージ性に大きなギャップを感じることはありませんでした。
むしろ各キャラクターの掘り下げに深みが出て、自分にとってのベルばら入門書がこの映画でよかったと感じました。(原作もTVアニメも大昔の作品という印象しかなかったので、映画がなければ原作その他派生作品に関心を持つことはなかったと思います。)
この映画はオスカルに焦点を当てた内容になっていますが、原作は主人公が複数おり、更にベルサイユを取り巻く人々の群像劇、歴史物、少女漫画的ロマンス等々、様々な楽しみ方ができます。
是非この映画をきっかけに、多くの方にベルサイユのばらの魅力を知っていただきたいと感じます。
初見には絶対に見て欲しくない。ファンにも不親切。
初見の人は絶対にこれでベルサイユのばらを見たと思わないでほしい。
テレビ版のアニメか原作を見てくれ。
映像は素晴らしかったがそれ以外はくそ。
ミュージカルパートで短い時間で起こった出来事を説明しようとして出来てない。
結果、原作ファンならわかるダイジェスト映像に歌が載ってる感じ。
初見は何が起こってるかわからないと思うし、
ファンとしては感動をもう一度と思ったのに雑な端折り方のせいで何も感情移入できないし
原作の絵が動いてることだけに価値がある映画。
映画に収めようとしてミュージカルにしようとしたんだろうけど
すっごい退屈でOPの時にこんなの入れる時間あるのかなって疑問があったけど
本当に序盤から帰りたくなったし、結局ベルバラの1番の見どころである
一人一人が生き抜いて歴史を作り上げたというところを表現できてなかった。
これがベルバラって思われたらベルバラに興味を失うと思う...
せっかくこの時代に新しく作るなら初見さんをベルバラに誘う作品であって欲しかった。
映画としては良かったけどファンとしては
べるばらを現代の技術でリメイクされてとても嬉しかったです。映画はオスカル様の儚さが強調されてて…儚く美しいオスカル様が好きな私としては大変満足でした。
が……ファンとしてがっかりしたことも。
まず、フェルゼンとのダンスシーン。あのシーンってめちゃくちゃ大事なシーンですよね?オスカル様が女性としての性と決別するシーンです。
なのに…よくわかんない歌と映像で流されて。
あれは酷い。きちんとフェルゼンと踊って、フェルゼンが気付いて…フェルゼンの言葉を胸にきちんと涙したほうがよかった。じゃないと…よく意味がわからなくないですか?
あと、単純にオスカル様のドレスのダンスシーンをしっかり映像で見たかった。何故、窓枠にするの??
次、オスカル様の病気のこと…完全無かったことになってる?!
オスカル様の病気がないと…何故あそこまで革命側に突っ走ったか…説得力が薄れてしまいますよね?無駄死にせずに…自分の思うがままに最期生きていこうって思った意志が!!弱くなってしまいます。
残念です。
最後に…アントワネット…。これは…フェルゼンと中途半端に描くのならば…いっそのことふんわり書いて、オスカルに前半も集中したほうがよかったのでは?
私はアントワネットとフェルゼンが好きです。この報われない2人の…でも美しく描き上げられた本編の漫画がとても好きです。だからこそ思います。なんだか…ただの恋する無知な女…で終わってますよね?彼女の王女として、王妃としての誇りが…なくなって…います。これは非常に残念です。
フェルゼンも…なんのために出てきたのかいまいちわからない感じに。フェルゼンは愛に耐え、でも苦しみながら…業を背負って生きる男です。
2時間の映画なのでしかたないです。でも、中途半端ならいっそのことオスカルにもっとスポット当てたほうがよかったのでは??
でも、映画としてはとても好きです。
オスカル様とアンドレが美しく儚く夢のように描かれています。オスカル様の人生には…ぐっと胸にくるものがあります。
現代に復活させてくれてありがとうございます!!
令和のベルばらここに誕生。
ガチガチの原作ファンなので
あまり期待せずに行きました。
(特典目当て)
前半はコッポラの映画みたいに
ベルサイユの馬鹿騒ぎ感と
突然歌い出すミュージカル、
宝塚ですか〜?な小舟演出に
クラクラしましたが
後半、一気にストレートプレイ
原作にこだわったのがよくわかる
怒涛のような展開に一気に押し流されました。
アンドレ迎えに来るのは宝塚っぽかったですが
イラストが原作リスペクトだったので違和感なし。
さて、ここからアントワネットのターン、と
期待したのにいきなりエンドロールで
史実の資料っぽい絵画と字幕で説明。
はあ?
二輪の薔薇って謳ってるんだから
フェルゼンの覚悟と誇り高き王妃様の最期
ちゃんとやってくれないと片手落ちでは?
エンドロールにちゃんとアニメ絵で
紙芝居みたいにしてくれても良いから。
そこは残念至極です。
尺が足りないと言いますが
歌もう少し減らしたらいけたんじゃないですか?
登場人物みんなに毒がなく良い人ばっかりで
ああ、これが令和の作品なのかなと。
それでも原作のスピリッツは活かされてて。
最初から後半みたいにストーリー展開してくれてたら
もっと感動できたはずです。
あとプロモーション。
地上波のCMもう少し早くから
流せなかったんでしょうか?
観たい、と思っても近隣映画館はほぼ終了。
ここに来て数字伸ばしてるのに
もったいないと思います。
文句言いながらも5回観ましたから。
昔夢中になった作品、今の若い方にも
受け入れられる仕上がりには満足しています。
興味を持って原作読んでいただけたらなおよろし。
原作がそうであった様に中毒性アリ
女性の手による原作のキュービックブイヨン的な作品。
表向きはマリーアントワネットとオスカルの出会いと別れというシナリオだが、
実はオスカルとアンドレ編である。
後半は原作オタク(敢えてファンとはいわない)が最も大事にしている1789年7月12日~7月14日を尺を取って見せ場にしている。
前半は宮廷絵巻だが、時代考証の上、当時の服装、調度品等が細密に描かれていて背景を見ているだけで楽しめる。
映画の尺がない為、一瞬しか映らないものが多く、原作のオールドファンは動体視力を試されているようなもので何度も足を運ばざるを得ない。(3/13時点で15回鑑賞)
初見でも感動できる作品
ベルサイユのバラ、名作と聞いていて一度触れたいと思っていましたが、ハードルが高く、今回映画で初めてコンテンツに触れました。
最高に感動しました。
opの作画の美しさ、フランスを訪れたことがありますが、細部までこだわられた建物の作画。さすが劇場版だと思いました。
また、各キャラクターがとても魅力的でした。
どのキャラクターにもとても共感できて、時代に翻弄される登場人物たちの葛藤や、信念が伝わってきて感動しました。
特にマリアントワネットは史実上かなりマイナスイメージがありましたが、王宮内という狭い世界の中で、精一杯彼女なりに生きたのが伝わってきて、彼女なりの矜持が魅力的でした。
正義のためなら死ねるぞ
ここまで真っ直ぐに言えるのはかっこいいなと惚れました
ただのイケメンかと思いきや、エンドロールで、ヴァレンヌ事件でマリーを助けようとしたことを知り、本当にイケメンだと思いました。
主題歌とその映像が本当にかっこよかったです。
号泣しました
オスカルとアンドレの人生を2時間で駆け抜ける
6回劇場でみました。
こんなにハマるなんて、思って無かったんです。
この映画、フランス革命を期待して行くとハズレです。しかし、「ベルサイユのばら」としては100点満点。
2時間で駆け抜ける、アンドレとオスカルの人生です。
そもそも、アントワネットの処刑で映画が終わったら、沈みきった気分で映画館をでることになってしまいますし。これで良いのです。
なにより、この映画は画面が常に綺麗。今の技術で描かれる背景、ドレス、ヌルヌル動くキャラクター達。少女漫画の世界観がスクリーンいっぱいに広がります。
澤野弘之さんの音楽も素晴らしい。(英語なのはちょっと気になるけど、そのうち気にならなくなりました。むしろ仏語だと字余りな歌詞になりそうな予感。)
これは、映画館で見なければ。家の小さい画面、ショボイ音響ではこの映画の良さが損なわれると思い足繁く映画館に通うことになりました。
何度がみて気づきましたが、最初の画面で映る光の演出と最後、アンドレとオスカルが天に召され光となる演出。これ、同じなんですね。
2時間のダイジェストベルばらと巷で話題ですが、これはダイジェストではありません。
オスカルとアンドレの2人の人生の走馬灯。
それに気づいた時、更に切なくなり、また映画館で2人の人生に浸りたくなるのです。
制作陣の小ネタもそこら中に散らばっていて何度みても新しい発見があります。
例を挙げるなら、アントワネットのソロ1曲目。在らぬ方向に飛んでいく宝石達。
実際にアントワネットが着用していた宝石達ですね。有名オークションに実際に出品されていた宝石達が曲に合わせて在らぬ方向に飛んでいってます。
そんな時代考察もしっかりされている映画。
令和の時代にこんな素晴らしい作品を映画館でみれて、非常に幸せな気持ちになりました。
圧倒的なエンタメ性
これはスゴイわ。
「ベルばらには男装の麗人オスカルとオスカルを好きなアンドレがいる」ぐらいの知識で観たけどストーリーもちゃんと分かったよ。
ポイント、ポイントでミュージカル風にストーリー進めるんだけど、そこも見事なの。
宝塚歌劇団っぽいね。宝塚で演じられて人気に火がついた作品だから当然かも知れないけど。
登場人物もみんな芝居がかった台詞なのもいいね。舞台となるフランス革命時のパリと良く合ってる。
ストーリーは、フランスを愛するオスカルがその信念を貫くというので進んで、それに色んなラブストーリーが絡むね。
出てくる魅力的な男性はみんなオスカルのことが好き。フェルゼンだけが例外だね。
やはりアンドレを応援してしまう。
振り向いてあげてよオスカルって感じで。
「この者を裁くなら、まず主人である私から」のオスカルはカッコいいね。それを受けて「俺はいつかオスカルのために死ぬ」のアンドレもカッコいい。
そしてアンドレはひどい目にあうね。ここまで登場人物を追い込まなくていいだろう池田理代子って感じなんだけど、当時はこれくらい追い込むの普通だった。
それでも、最後、一晩だけオスカルはアンドレの妻となる。
ここ確か、子どものときも漫画で知ってて「一晩いっしょに寝たからって、なんだよ、それ」と思ったけど、そういう話じゃないね。寝るの意味が子どもと大人では違う。
このときのアンドレの台詞も情熱的でいい。性欲に狂ってるのかって感じもあるけど、違うよ。抑えてきた愛情がほとばしってんの。
そして出陣。「この戦いが終わったら結婚式だ」とオスカル言うんだけど、どうして言っちゃうかな。死亡フラグでしょ。そしてアンドレが去ってしまう。
翌日の出陣で「アンドレ、準備はいいか」ってオスカルが言うのは泣くね。オスカルの生涯を通じてアンドレは隣にいたから、いなくなったことが飲み込めないの。
歴史的な話では、衛兵隊は民衆側に寝返ったんだね。知らなかった。
ルイ16世はやっぱり「俺はイケてないから」と思ってたのかな。
ソフィア・コッポラが《マリー・アントワネット》で「イケてる女の子を陰キャの男と結婚させちゃ駄目でしょ」って感じで描いてたしね。
話は面白いし、演出はスゴイしで、あのエンタメ性をドバーッと浴びるために、もう一度、劇場で観てもいいなと思ったよ。
ダイジェストで突き抜けろ
当然名前は知っていますし、名作の認識はありますが、今まで触れてこなかったベルばら。
金髪の人とマリーアントワネットのお話…という程度の知識。
それくらいの知識で観に行きました。
目がすっごいバッシバシだわ…と最初は驚きましたが、見慣れる不思議。マリー・アントワネット可愛いなぁと観てました。
オスカルは大丈夫でしたが、途中アンドレとフェルゼンを勘違いしてしまいました。好きな人には申し訳ない、一瞬こんがらがったんです…。
大作を2時間におさめるんだからそらダイジェストになるのは分かります。それはもう仕方がないことだと思います。強行突破がそもそも無茶。ミュージカル調で茶を濁しておりましたね、悪徳令嬢が出てきたっぽいけどすぐいなくなりました。なんだったんだあれは。
話がダイジェストだしいきなり馬だしこんがらがっておりました。フェルゼンが馬に乗せたんか?とここで思ったんですよ。
ていうか、
ここでアンドレに死刑を言い放つ王に向かって「アンドレの主人として」止めに入るオスカル←分かる
同じく止めに入るフェルゼン←なんで
「私が馬に乗りたいと我儘を言ったから!」と止めに入るマリー・アントワネット←それはそう
止めに入るフェルゼン←ほんとなんで
初見には色々ダイジェスト過ぎて半分蚊帳の外でした。
オスカルがフェルゼンに惚れた流れが分からなかったです。これもきっとダイジェストだからですよね…
色々と本格化してからは王妃として声から幼さの消えたマリー・アントワネットはよかったです。そこからもうオスカルのターン!でしたけども。
オスカルが格好良かったです。
正直、オスカルとマリー・アントワネットのお話だと思ってたので、大して二人は接してないな…?と思ってしまった。
この作品で言えば、キャラクターのみで見たら、ルイ16世が一番不憫だと思う。言えよ!愛してるって言えよ!!!
ミュージカルものは最近好きなので、作中で突然歌がながれることに抵抗はないのですが、フランスが舞台の作品にしては曲調が明るく近代的ね…?となりました。重厚感のある曲でザ・フランスなのでもよかったのよ…?
「ベルサイユのばら」のように気高く生きた人々のお話、と締めてて、タイトルについて考えたことなかったので、素敵な締め方だ…と思いました。確かに気高く生きた方々ですね。
今回はマリー・アントワネットとフェルゼンの愛の歌唱上映会ということで、本編後に生歌唱があって、平野綾さんのドレス姿が綺麗で可愛かったです。ただ、気分はオスカルとアンドレだったので、切り替えが…切り替えが出来ない…!ってなってました。
とりあえず帰りに本屋でベルばら探します。
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