「よくまとめきった」ベルサイユのばら ヤナコさんの映画レビュー(感想・評価)
よくまとめきった
ネトフリで配信解禁となり早速見ました。
漫画未読・昭和のテレビシリーズを劇場版公開記念youtube配信で見ました。テレビシリーズは10年前にも全話視聴。宝塚版未見。
約2時間の映画作品にまとめるために、思い切った取捨選択でしたね。
「ベルサイユは大変な人出ですこと」の名言が出るデュバリー夫人とのバトル。
ポリニャック夫人の暗躍。
ド・ゲネメ公爵、ジャンヌ等々、物語を盛り上げる素晴しき敵役のエピソードが、劇中流れる映像のみで表現。
オスカル、アントワネット、フェルゼン、アンドレの恋物語にフォーカスを当てるのは必然だったかと。ロザリーの出番も相当抑えられたものになったのも、止む無し。
時間的制約の中で劇場版での解釈も
・アンドレの目の怪我が黒騎士との戦いではなく、民衆の暴動からオスカルを守るため
・アントワネットの恋を密告する手紙でルイ16世にバレる事。その上でアントワネットの心情に理解を示すシーン。(テレビ版ではなかったかと)
・オスカルとアンドレの結ばれるシーンの違い(劇場版の方がとても自然ではある。テレビ版は無理があるがドラマチックではある)
・アンドレの亡くなるシーン
・オスカルの亡くなるシーン
個人的には許容範囲の演出と感じます。
一方個人的に違和感を感じる演出もありました。
・劇中歌が今風すぎて、とても違和感。ミュージカルのような演出は宝塚ファンに向けた演出で良いのですが、曲のイメージを個人的にはクラシカルにして欲しかったですかね。
・アントワネットとフェルゼンが結ばれるシーン、ハートがキュウピーンと光り、天にビームのように登るのはやり過ぎかと(笑
・女子漫画の古典的表現方法の「驚きの白目」「目元の縦線」に、少し笑ってはしまうも、これは良い演出だと思います。
・アランの無骨さは昭和版のほうが・・・・とはいえ、今の時代はこのくらいのマイルドさで良いのでしょうね。
違和感はあるのですが、私個人がおっさんなので作品のターゲット層ではないことは十分理解をしているので、これで良いと思います。若い女性ファンの掘り起こし、昔からのファンに向けているし、4人の恋模様がメインなので良いと思います。
現代の解釈に戸惑いを感じながらも、物語とキャラクターの芯がしっかりと立っているので本作品も楽しいし、感動します。「良い悪い」ではなく「好きか嫌い」か(それも2択という極端なものでもありません)
あとはオスカル役の沢城みゆきさん、素晴しかったですね。彼女でなければ今のオスカルは表現出来ないだろうと思います。様々なシーンでその時の感情がしっかりと伝わりました。
あわせて、アントワネット役の平野綾さんも、天真爛漫な少女からオスカルとの別れのシーンの重厚な演技素晴しかったです。
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