「ベルばらの良さゼロの残念なミュージカル映画」ベルサイユのばら 赤垣さんの映画レビュー(感想・評価)
ベルばらの良さゼロの残念なミュージカル映画
2時間という尺の都合上、漫画の世界観を出し切れないのは仕方がないと思うが、突拍子のなさ連発の恋愛シーンで想像以上にがっかり。
まるで、原作を読んでいないメディアミックス作品を掻い摘んだ制作者達が「ベルばら」をイメージだけで作ったかのようだ。
原作漫画の「ベルサイユのばら」はフランスの社会情勢を踏まえたうえで織り成されるキャラクター達との関係性、キャラクター個人の魅力を丁寧に描いたからこそ出来上がる素晴らしい愛の物語であったのに…。なにもかも端折られすぎていてまるで別のキャラクターを見ている様。
原作を端折るにしてもそのやり方がまさかのミュージカル方式……。
オープニングからダイジェスト映像と共に主要メンバー4人が歌いだし始める…。
さながらディ〇二ープリンセスのように心情を歌に乗せてミュージカル調で発表するが、問題は肝心の曲がダ、ダサい……!!!
尺の都合上か、原作で端折った部分を映像と歌に乗せてミュージカルぽく表現するのが多発してたが、なにからなにまで曲が微妙にダサいのが難点。せめて、もっと良い曲にしてくれ澤野弘之…。(EDの絢香はよかった)
あの複雑なキャラクターの心理描写を数分の歌にするだけなんて無茶だったのでは?
要所要所を映像にしたからって何も胸を打つものはない。名シーンまでの複雑な過程があるからこそ、それは名シーンになるのだ。
例を挙げるとすると、フェルゼンとオスカルの恋なんて唐突すぎる。2人の友情の育みがあったからこそ出来るオスカルの初めての淡い恋心だったのに2、3会話しただけで恋なんて芽生えるわけないだろがい!とツッコまずには居られない。
まぁ、マリーアントワネットとフェルゼン、オスカルとアンドレの恋も然り。
恋愛に繋げるには、過程が分からなすぎて薄っぺらな恋愛映画に成り下がった。
マリーアントワネットなんて端折られすぎて、「天真爛漫、高貴で美しく、人を惹きつける魅力のある女性」という良い部分は薄れ、「物事を深く考えられない浪費家の女性」という嫌な部分しか残ってなかったのが悲しい。
これはめちゃくちゃ偏見だけど、涼宮ハ〇ヒのイメージが強いcv平野綾だと尚更性格悪そうに見える
オスカルに注力していた映画なのでいっそのこと、フェルゼンとマリー・アントワネットの恋愛シーンもさくっと終わらせてもよかったのでは?
酷評だらけですが、良かった点も、もちろんあります。
ラストシーンのオスカルのバスティーユ牢獄陥落までは丁寧でよかった。
漫画だとわかりにくい、戦法の表現の仕方だとかオスカルの隊への指示はかっこよかった。
革命運動の過程も省略されているので、市民やオスカルが戦う理由が分かりにくいのは惜しいところだが、軍神のように戦い散るオスカルの姿は良かった。
原作が素晴らしいだけに、2時間映画にはとてもじゃないが収まらなかったね。
映画チケットがいつでも1,500円!
詳細は遷移先をご確認ください。