「2時間ならまあこうなるよな…」ベルサイユのばら まな板の上のネギさんの映画レビュー(感想・評価)
2時間ならまあこうなるよな…
原作数年前に履修済み。実写版、アニメ版未履修。
予告編では、ベルばららしい燦然と輝く世界観が上手く体現されていてとても好印象だったが、本編は予告編の期待を裏切るようなものだった。尺の都合で最初のマリーとルイ16世の出会いを語りと映像で数分で終わらせると、急ぎ足でフェルゼン伯との出会いのシーン、それが終わるとすぐに国王崩御、フェルゼン帰国…と原作を履修していなければ流せるものの、やはり次々と出てくる新しいキャラに戸惑うところは多いと思う。
原作を履修していても、「あれもうここまできたの?」と驚いてしまう。
そして多くの人が言っているが、途中途中に挟まる曲が場を白けさせる。これが劇中ではなくYoutubeなどで後からアップさせるのであればまだ楽しかったが、語りを省略させるのか場を盛り上げさせたかったのか、とにかく曲が多い。特に、オスカルのドレスのシーンはドレスが一瞬映っただけで終わってしまった。せっかくの名シーンなのに。
mvとして見る分には作りも細かく、立ち位置も分かりやすいのに非常に残念。
曲もクオリティが安っぽく、声優陣が歌うため、上手いわけではない上に、感情移入が難しい。
その一方で、オスカルとアンドレの関係にはやはり多く焦点が当たり、原作を観ていなくても(2時間という尺の短さにしては)二人の絆が強く伝わる良い構成だったと思う。後半も曲の回数は減り、二人が結ばれるあたりから制作陣はここを本当に見せたかったのだと分かるほどに作り込みが丁寧になる。
また、アンドレの最後のシーンもとても綺麗にまとめられていた。
オスカルの死で映画が終わってしまうのは拍子抜けだったが…。
全体的に、曲を無くして本当に見せたいシーンだけ令和のアニメーション技術と映像の美しさで細かく丁寧に作り込めば名作になったのでは…?と感じた。それこそ、「ベルサイユのばら」ではなく、「ベルサイユのばら〜オスカルとアンドレ〜」のように、本当に見せたい二人に最初から最後までスポットライトを当ててしまえばよかったのに…。
映像が美しく、キャラも丁寧に表現されていただけに本当に残念。沢城みゆきさんの表現力はずば抜けていた。2回目を観たいとは思わないが、曲を無くして後半を再編成してくれたら観る。