「ダイジェストでもミュージカルでもない、独立した傑作革命史劇」ベルサイユのばら おけんさんの映画レビュー(感想・評価)
ダイジェストでもミュージカルでもない、独立した傑作革命史劇
先ず、この映画は、何も知らない視聴者が、単体として鑑賞して完全に理解して満足できる作品であると断言させてください。もちろん、ある程度は映画やアニメを見慣れているということが前提にはなりますが、予習は全く必要ありません(わたしは大体の粗筋くらいしか知らないで観ています)。
前半のミュージカル仕立てのパートでは、政略結婚でフランス王家に嫁いできた若きアントワネット王妃を中心に、(女性の)貴族軍人オスカル、その小姓である平民アンドレ、外国人貴族のフェルゼンの4人がロマンスを演じ踊ります。これはやや長い序章にすぎないと思います。なので、平民アンドレのみを疎外する三角関係の主役であるフェルゼンは、盛り上げるだけ盛り上げてフェードアウトします。
後半の史劇パートこそが本作品の主題であり、教養ある知的貴族軍人であるオスカルを主人公とし、パリ市民による革命が平民アンドレのオスカルへの愛情と共に激しく燃え上がり、軍事史マニアをも唸らせる描写のバスティーユ監獄攻城戦へと怒涛のように雪崩込みます。必ずしも史実に忠実ではないとはいえ(原作漫画にはかなり忠実らしいですが)、フランス革命序章を描いた作品として誰にでもお勧めできるものだと思いました。
原作マニアやTV版マニアにはそれぞれ不満も多いようですが、この映画は単にそれらのダイジェストであるのではなく、独立した鑑賞に耐え得る立派な作品であり、人類史に永遠に残るフランス革命を、ルソーなどの啓蒙主義思想に立脚する貴族軍人の視点から見て描いた、稀有な傑作映画作品だと思います。是非、フランス人その他の外国人による感想も聞いてみたいと思います。
こんにちは〜。
はじめまして😊
共感コメントありがとうございます。
漫画原作あるあるで、
令和のベルバラと思えば、良い作品ですね
それよりも、青池保子先生の原画展に行かれたのですね😉
4月に又作品が少し変わるみたいなので、楽しみにしています
agemakiさん、コメントありがとうございます。
女性貴族であり軍人であるという歴史的にはありえないポジションから、アントワネット王妃と平民それぞれに深くコミットするというストーリーは、現在でも斬新なものなのではないかと思います。
原作前半の、
マリー・アントワネットがらみのあれこれが、駆け足で流されたからこそ、
改めて今作で、
女性の指揮官が兵士に受け入れられてゆく流れや、
オスカルが貴族であることを捨てて、民衆のために命を投げ打つところにフォーカスされたと思います。