「制作陣は「マスケット銃同士の撃ち合い」を経験してるんじゃないかと思えるくらいの出来」ベルサイユのばら ジャワカレー澤田さんの映画レビュー(感想・評価)
制作陣は「マスケット銃同士の撃ち合い」を経験してるんじゃないかと思えるくらいの出来
オスカルは白馬に騎乗しているイメージがあり、実際に原作でも昔のテレビアニメでも、そして今作でも颯爽と白馬にまたがっています。
ところが、尺の最後のほう(革命勃発後)の戦闘シーンは、騎兵突撃ではなく馬から降りて戦列歩兵を編成し、マスケット銃をぶっ放すというもの。向こうも戦列歩兵ですから、マスケット銃同士の銃撃戦が展開されます。
何がすごいって、当時のマスケット銃の性能をちゃんと把握してるんですよね。せいぜい50mちょっとという距離での撃ち合いです。戦列の前に並んでいる兵から死んでいきます。エイムの合わせ方、有効射程距離が現代の銃とは全然違うことも、きちんと描写されています。
てか、もしかして制作陣はマスケット銃で銃撃戦をした経験があるんじゃないですかね? そのくらいの精巧さです。
今回の映画はミュージカルパートが多いのですが(限られた尺の中で登場人物の感情表現を短時間でするためには、やむを得ない手法です)、この戦列歩兵同士の銃撃戦とラストのバスティーユ襲撃をミュージカルにしなかった点は大いに評価するべき!!! どうしてこのあたりをちゃんと評価する人が少ないんだろう……。
あと、当時のパリでは高層階から住民がウンコの詰まった桶の中身をそのまま投げ捨てていたのですが、それもしっかり描写されています。こうした意味での時代考証や建築物の構造の把握に関しては、文句のつけようがないです。バスティーユ監獄も、細部までの考証が施されています。
尺の問題でリストラされてしまった重要人物も少なくないのですが、様々な制約をどうにか乗り越えようと最大限の工夫を凝らした良作ではないでしょうか。
戦闘シーンをもっと評価すべき!同感です!!!
この映画の後半は相当に素晴らしいですよ・・・!
オープニングのテーマソングがそのまま革命の唄に変貌を遂げるなんて、制作陣は天才か・・・!!??て思いました。
あそこだけでも澤野弘之を起用した意味が十二分に有り余りました。
原作のベルばらの素晴らしさに、さらにレ・ミゼ要素が加わり、後半はもうずっと泣いていました。
美しい、熱い物語を堪能させてもらいました。
ベルばら・万歳・・・!!!