「帰宅してまた原作を読みたくなる、濃縮された2時間」ベルサイユのばら kasshi_sanさんの映画レビュー(感想・評価)
帰宅してまた原作を読みたくなる、濃縮された2時間
小学生のころテレ東アニメの再放送で出会い何回も観て、小遣いが貯まったころに原作を揃え原作厨になりました40代です。
MAPPAの美麗作画で原作を大切に制作された映画であることは間違いありません。
TVアニメもアニメで好きでしたが、アニオリがかなり幅を効かせて居たのは確かです。どちらが良いとかではなく。
この映画に関しては原作をベースに進行しています。アランもアニメ版のようなケツアゴではありません。
本来ならば三部作くらいで丁寧に全て描き出したかったところを、2時間でバスティーユまで駆け抜けなければならない制約で製作側の苦労が伺えます。
それを、歌唱シーンを入れることで話を進める荒技で乗り切り、所々アニメ勢への小ネタ(オープニングでおなじみのバラの棘など)も挟みながら
頑張って描いていたと感じました。
フェルゼンの声優がミュージカル俳優の加藤和樹さんなので、歌唱力がずば抜けてます。
マリーアントワネット役の平野綾さんの、少女期と大人の女性になってからの声色の演じ分けがお見事でした。
落合福嗣さんのルイ16世も素晴らしく、思わず涙がこぼれるほどでした。
もちろん全部描いていたら尺が全然足りません。
ポリニャック伯夫人、首飾り事件などはカットのため、ロザリーを泣く泣くカットし端役で登場させています。その中でもメインを張れる声優さんをロザリーやベルナールに配役している所に制作側の想いを感じました。
黒い騎士もカットしていますのでアンドレは別の理由で失明しますし
バスティーユ後はナレーションです。
致し方ありません。
原作ファンとしては
わー随分駆け抜けたなー(特に前半)となりつつ、後半のオスカルとアンドレはかなり丁寧に描いているのでアンドレファンは泣くと思います。
アンドレの名言もバッサリカットはされているとのの、豊永さんの声も感情をうちに込めた感じが良く表現されており、前半の消化不良を後半巻き返す感じがあります。
あとは、バスティーユ陥落の日、指揮官を狙えと言われるのが納得の見事なオスカルの戦場指揮を描いていました。嬉しく思います。
この映画を観た方は、必ず原作を読み返したり、映画から入った方も原作を読んでみたいと、思うでしょう。
その意味でも意義のある作品であると思います。
この映画の評判如何では連続アニメでまた見られるのではという期待もあります。
MAPPAさんは忙しいので難しいのかも知れませんが…
そのときは是非デュ・バリーも首飾り事件もポリニャックもロザリーも黒い騎士も革命後もMAPPA画質で実現して欲しいと思います。