「実写版の果たせなかったミュージカル調の演出と整理された物語でオスカルとアンドレの物語は永遠になる」ベルサイユのばら ミラーズさんの映画レビュー(感想・評価)
実写版の果たせなかったミュージカル調の演出と整理された物語でオスカルとアンドレの物語は永遠になる
ベルばら歴は、アニメ全話から入り原作マンガ読み数年前にリバイバルされた実写版を見て舞台は見てないライトなファンです。(90年の劇場アニメ版は未見)
新作映画がアニメ化とミュージカルになると事前噂され新しい映像が公開されるとSNSで、作画などに賛否が出るなどの様子を横目で見てましたが、声優キャスティングに誰特?なタレントや吉本関西芸人がいないのと、歌の達者な声優さんをキャスティングしているなどの面で俄然興味湧き初日の夜に鑑賞。
場内はベルばらファンとお見受けする女性陣が殆どので、本編は超ベテラン脚本家の金春智子さん(70年代から活躍してる方で近年も日常萌系や悪役令嬢物アニメも手掛けている凄い人)のコンパクトにまとめた展開で、駆け足気味で原作やテレビアニメ版を見てないと分かりにくい部分もあるけど、登場人物を絞ってオスカルの最後までを描いてあるので、結構満足度が高い出来。(殆どの出番はないけどアニメや漫画でお馴染みのキャラもチラッと見せるサービスあり)
MV風のミュージカル場面も歌と曲も良いので悪くないと思うのと、配役の声優さんも適材適所で、文句なしの沢城オスカルや近年はミュージカル俳優として活躍してる平野綾のアントワネットも年齢を毎の演じ分が流石で、志垣太郎氏がハマり役だったアンドレ今回の豊永利行さんも良かった。
自分は存じてなかったがフェルゼン役の加藤和樹氏の声質と演技も素晴らしい(勿論歌もね)
後半の戦闘場面は、当時の歩兵の戦いを再現しておりリアルでありながら、オスカルの部隊が民衆側に助太刀するシーンなどは、これぞ王道の主人公だ!の行動も勇ましくて上がり見せ場になっている。
気になる点はあまりないけど、アニメ版のクールなアランに慣れているせいか、もう少しカッコよい場面も足してくれると良かった。(漫画版に近い)
ただ、オスカルと衛兵隊の面々が打ち解ける描写は割とあったので唐突感も少ないのは良かった。
個人的にミュージカル映画とはいえないが、原作と物語への解像度が高くて良質な作品だと思う。
余談
『シェルブールの雨傘』や『ロシュフォールの恋人たち』などの名作を手掛けたフランスのジャック・ドゥミ監督が、日本の資本で実写版を一度映像化しているが、駄作や手抜き映画と言われネタ扱いの作品があるけど、こちらも最初はミュージカル映画にする予定だったと聞いていて、今回の作品は解答になっていると思う。(実写版がどうしてこうなったらのか?もレビューしてます