「華やか」ベルサイユのばら ゆゆさんの映画レビュー(感想・評価)
華やか
初日に観に行きました。
まず前提として、私は大元の作品の作画と声優陣がすごく好きです。で、ネットなどで予告動画を見て、作画と声優陣が全く違うことが前もってわかっていたので、期待はしないで見に行ったのですが、結果、観て良かった。
それでも私の中で、元々のアニメ作品と当時の声優陣がいい、という思いは変わらなかったので、『令和7年だからこそ見れたベルサイユのばら』と、自分の中で区切りをつけて観ました。
ストーリーは、アントワネットがフランスに嫁いだシーンから始まりました。オスカルのお父さんと、ルイ16世のお父さん、ルイ16世の描かれ方が、昔より本作の方が好きだなと思いました。あと、恐らくですが、初めてベルばらを観る方にとって、わかりやすいストーリー展開及び描写になっていた気がします。
ただ、それによって、アントワネットとオスカルの心理描写もかなり詳しくなっていて、その結果、オスカルの神秘性が少し薄れてしまった気がして……
そこは個人的には残念な想いがしました。
あと、アンドレの描写も少し残念でした。そもそも「アンドレ」というキャラクターは「華やかさ」を持っていないため、大元の作品でも、アンドレの良さは後半に近づくに従い、じわじわと出てくるものだったと個人的には感じているのですが、本作は約2時間の映画作品であるため、その中でオスカルを想うアンドレの良さは描ききれなかったと感じました。
その他には、アランの良さもうまく出せていなかったと思います。オスカルとの一騎討ちのシーンはありましたが、アランの良さはそのシーンだけでなくて、妹を想う優しさとか、終盤オスカルやアンドレが弱っていく最中で良さが爆発していったと個人的に思っているので。という感じで、物足りないと感じる部分はありました。
一方で、昭和の名作が映画化され、若い方々が知るところとなったこと、令和の時代でしか生まれなかったであろう描写・表現は良かったと思います。また、ミュージカルのように、随所に凝った歌・演奏が流れました。それらはほとんどとても素敵で、サントラ買いたいなと思ったくらいです。もし今後宝塚が演じるとしたら、演じやすいだろうなあと思う。
色々書きましたが、涙がこぼれたシーンもあったし、何より原作者の池田先生が納得された映画らしいので、それならばいいか!と思えました。
このベルばらという作品は、楽しいだけの話でもなく、堅苦しい話でもなく華やかなだけでもなく、見ていて苦しいだけでもなく……
人の一生や、人の喜怒哀楽、栄枯盛衰に焦点を当てている点がとても好きです。だからこそ観ていて心を打たれるのかな、って思います。
そして、余談ですが、フランス革命が起きるこの作品を観て、昨年から続き激動の時代になるであろう2025の日本と世界情勢にも想いを馳せてしまいました。
大変長くなりましたが、今の世に大好きな作品を復活させてくださりありがとうございました!!