劇場公開日 2022年10月21日

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「『差』を創って悦に浸る」ヴィーガンズ・ハム tmさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0『差』を創って悦に浸る

2024年1月19日
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最新の映画以外も見ようとタイトルに釣られてネトフリで視聴。面白かった。が、落ちが微妙につまらなかった。フランス映画ってあんまり見たことないな。

やっちゃいけないズルやってトントン拍子でがっぽり儲けて、最後バレて痛い目見るっていうこち亀的展開。こち亀のBGM聴こえてくるかと思った。

手口の確立だの練習台だの、おまけに娘の彼氏を標的にしようとしたりと、完全に一番のサイコパスは嫁さんの方だった。趣味の猟奇的事件のテレビ番組がそうさせてしまったのかな?

自分がこの作品で感じたのは、『差別』という概念が作品全体を貫いてるってことだった。嫁さんの親友はことさらに物事の値段の話をして金持ち自慢、貧乏人を差別してる。他にもアッラーアクバルとか言ってイスラム系差別、黒人差別、アジア系差別、ウィニーに関して言うとルッキズムでの差別かな?

差別の根源って『自分たちはこいつらより優れている。優位な立場にいる。』って思いたい気持ちにあると思うのだけど、この考えって一部の悪質なヴィーガンに共通しているのでは、と思った。娘の彼氏や、二人がチラシ配りをしているときに出会った男が「◯◯のこと考えたことある?」ってめちゃくちゃ色々並べ立てて二人を責めるんだけど、こういうのって「こんなところまで深く考えてる俺って、あんた達よりずっと賢くない?」っていうネジ曲がった考えから来てるのかもなとぼんやり感じた。そうやって自ら『差』を創り出して優位性を生み出そうと躍起になっているように見えた。

海外が長い知り合いが「ヴィーガンの中には、ヴィーガニズムをやることをクールでスマートだと考えてるやつが一定数いる」って言ってて、聞いた当時はそんなことあるかwって思ってたんだけど、この映画を見た後だと(脚色されまくってるとは言え)あながち間違いじゃないかもなと感じた。ちなみに自分のベジタリアンとかヴィーガンの知り合いはみんなそんなことなくて、自分の食のために動物が殺されるの可哀想って純粋に思ってるっぽかった。

もう1つ響いたのがいじめられっ子のウィニー。いじめられて来て今までの人生でいいことなかったけど、ヴィーガンの活動に参加することで動物を助けることに貢献したいという健気な青年。こうやって『人生の形勢を逆転させる活動』としてヴィーガニズムを捉えてる人も、現実に一定数いるかもなと虚しいような悲しいような気持ちになった。

人肉の味と裕福な暮らしを覚えてドンドン豊かになっていく二人の暮らしが、どんなに盛大にひっくり返るのかかなり期待したんだけど、落ちというか最後はショボくてそこだけ残念だった。

tm
ハルクマールさんのコメント
2024年2月3日

はじめまして!
なかなか勢いのある映画でしたね。
ヴィーガンは宗教観にもつながっている部分があるので、その分日本人にはピンときにくい部分もあるかもですよね。フランス人の食への探求心が強い面と根強い差別観の両方がこの映画のエッセンスでしたね。

ハルクマール