劇場公開日 2022年10月28日

「1933年、アメリカにも《ファシズム台頭》の危機があった!」アムステルダム 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)

3.51933年、アメリカにも《ファシズム台頭》の危機があった!

2023年3月18日
PCから投稿
鑑賞方法:CS/BS/ケーブル

実話である。
最初にそうテロップが流れます。
結果的に監督と脚本のデヴィッド・O・ラッセルが言いたかったことは、
アメリカでもヒットラーやムッソリーニのようなファシズム政権を立ち上げようとする
動きがあった。
それを友情の《アムステルダム》3人衆、
クリスチャン・ベール、
マーゴット・ロビー、
ジョン・デヴィッド・ワシントンの3人と
ロバート・デ・ニーロの大演説で阻止した。
そういう映画でした。
デ・ニーロの演説。
それがこの映画一番のハイライト。
つまりアメリカにも、デ・ニーロのような将軍を担ぎ上げて、
ヒットラーやムッソリーニのような独裁国家にしよう。
その動き、それは阻止された。
それが一番言いたかったこと。

古き懐かしき回想的に収められるので、
サスペンスとかミステリー、あるいは、
過去にあった実話の衝撃性は薄いのがやや残念な点です。
しかし独裁者が生まれる土壌に近いことが、
事実ごく直近でありました。
ドナルド・トランプです。
6年前、アメリカ人の半数がトランプを支持したのです。
(人々を扇動して議会を襲わせるような人間で、全く税金を払わない男をです)
その男をアメリカ国民の半数が支持したことは、本当に私には驚きでした。
ファシズムや、独裁者とは、いつ現れるか油断ならないのです。
そして日本だってわずか80年前にはとても危険な国だったのです。

マーゴット・ロビーの看護師ヴァレリーが生き生きしてて、とても魅力的。
クリスチャン・ベールも楽しそうです。
役作りの見た目は、
「バック・トゥ・ザフューチャー」のどドク(クリリストファー・ロイド)
みたいな外見と飄々とした演技。
デ・ニーロの演説はとても説得力があり流石のカリスマ。
この映画は8000万ドルの製作資金で、9700万ドルの損失を
計上したそうです。
そこそこ面白いけれど、アクションもないし、スリルとサスペンスが
皆無なのが致命的です。
美人女優(マーゴット・ロビーやアニヤ・テーラー・ジョイ)も、
美しいだけでお色気シーンもまた、ありません。
全体にパンチ不足は否めませんでした。
(事実、今の世界情勢の方が、ずっと怖いですものね)

琥珀糖
Uさんさんのコメント
2023年3月18日

共感を有り難うございます。
そう、おっしゃる通り「独裁者の台頭」と言う大きな嵐の前触れがあったんですね。
私は「サスペンスの緊迫はなかった」とあっさり書いてしまいましたが、時代的なサスペンスはあったのですね。

Uさん