「終わったばかりだというのに、また戦争・・・」アムステルダム kossyさんの映画レビュー(感想・評価)
終わったばかりだというのに、また戦争・・・
五人委員会という胡散臭い団体も実際にあったのかどうか疑わしい(wikiで調べるとアメリカ独立宣言などしかヒットしない)。なんせ五人委員会のハーケンクロイツもどきの標章も笑えるし、MI6のマイク・マイヤーズや米諜報機関のマイケル・シャノンといい、二人の刑事といい、シリアスなはずなのにどこか怪しいキャラたち。そんな彼らが奏でる壮大な陰謀劇の裏側で翻弄される仲良し3人組。
テイラー・スウィフトを楽しみにしていた今作。序盤から出まくってるな~と嬉しくなったのも束の間、あっさり退場してしまった。第一次世界大戦で負傷した兵士や解剖シーンで結構グロい映像に圧倒されるのですが、ヴァレリー(マーゴット・ロビー)の真摯な看護によって前向きになったバート(クリスチャン・ベール)とハロルド(ジョン・デビッド・ワシントン)。ハロルドとヴァレリーは恋仲となるが、バートはアメリカへと帰って妻に会うのが楽しみ。アムステルダムでの楽しい時間はほぼ1年くらいだったろうか・・・
バートとハロルドが殺人容疑で追われることとなり、リズの遺した言葉ローズ=ヴォーズを頼ってみると、富豪のトム・ヴォーズ(ラミ・マレック)の妹がヴァレリーだったという偶然。そして、独裁者を崇拝する五人委員会という組織にぶつかるのだった。
サスペンスからアメリカ独裁政権を守った一人の勇敢な男の物語へと変化していく中、自由を謳歌しようとしていたアムステルダムへの郷愁や仲間を守り抜く友情物語。義眼で笑いを取りつつ、義父や妻からの裏切りにも遭ったバート、信じていた兄に飲まされた薬によって神経症を患ってしまったヴァレリーの明るさもいい。そして、アメリカでも禁酒法や恐慌によって独裁者が生まれる土壌もあったのだろう。さらに戦争で金儲けしようとする富豪に対しても痛烈に批判していたと思う。
豪華俳優陣の中でもバットマンとハーレイクイン、そしてフレディ・マーキュリーとレコード会社の重役がいかに絡むか?とワクワクしたけれど、さすがに他映画なので無理だったか。それでもマイク・マイヤーズは顔見てるだけで笑える・・・結局、美味しいところはすべてロバート・デ・ニーロが持って行ってしまった。ストーリーはもっと緊迫感のあるものにしてもらいたかったけどね~