「打球は大きく外れて場外ファールボール」アムステルダム シネマディクトさんの映画レビュー(感想・評価)
打球は大きく外れて場外ファールボール
これだけクセ者揃いのキャストを集め、ストーリーも悪くないのに、なんかあまり面白くなかったです。第一次大戦後のアムステルダムで知り合った男女三人のボヘミアンぶりをコミカルなタッチで描くツカミはいい感じです。ところが、お話が前後したり、怒涛の大量な登場人物の交通整理が上手くないんで、ストーリーについていけませんでした。演出タッチも、コメディなのかシリアスなのかはっきりせず、セリフ中心の状況説明とメリハリのない展開で、寝落ちもしばしば。コミカルとシリアスのバランスを考えて、緩急をつけた演出が欲しかったです。とは言え、独裁者の高らかな軍靴の音が迫る不気味さは、まさに今のアジアやヨーロッパの情勢そのまんまで、ある意味タイムリーですね。役者では、クリスチャン・ベイルが安定のうまさだし、マーゴット・ロビーもクラシックな雰囲気と美しさが際立ってました。でも、なんて言ってもデニーロ御大の貫禄のスピーチは圧巻でした。
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