「うーん、あまりに低評価にしたくはないのだけど…。」桜色の風が咲く yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
うーん、あまりに低評価にしたくはないのだけど…。
今年318本目(合計593本目/今月(2022年11月度)5本目)。
土曜日はこちらを含めて3本鑑賞しました。
実話ものなので、「あることないことかけない」部分はありますし、その関係で「一部気分を害するような部分もあるが、それも含めて仕方がない」、さらに明確に「一般的な視聴者では理解がしにくいのでは?」という点は結構多数に思えます。
個人的には確かに他の方も書かれている通り、「家族の描写」が少なかった点(健常者としてそだった兄弟の、障害を持っている子を「構う」あまりに自分にあまり配慮してもらえない、等)は残念に思いましたが、この映画でそれも含めて描くと3時間コースになるので仕方がない…という点は確かにあります。
また実話である点が重要で、この関係で一部に不穏当な発言があったり(小学生のパートで、障がいを理由にいじめられているシーン。現在の日本でこれをやるとさすがにアウト)、あるいは、どうしても特殊支援学校(視覚障害)を描くものである限り、当時の生徒の進路などに関する描写もある程度知識がないとわからない部分もあり、理解にかなり苦労します。
この点は、知識の差が激しいので(私は当事者ではないものの、それでも手帳上2級)、何かしらの配慮が欲しかった点は結構あります。
さっそく採点いきましょう。
----------------------------------------------------
(減点0.5/一般的な視聴者では理解がわかりにくい点)
映画内では主人公は盲学校(現在(2022年)では名称は違いますが、映画内の記述によります)は東京にいっています。これは史実通りです。当時、主人公が通っていたこの盲学校は日本でも数少ない先進的な取り組みが行われていたこともありました。このような事情から(合理的理由をもって志願して)通学したものと思います。
さて、その中で「理療科に診療してあんま・マッサージ等の資格を取る」という部分があります。ここはわかりづらいかな…というところです。
日本では、どの職業につくことも自由です(憲法22)。一方で、例えば行政書士や医師など「資格がないとなれません」という職業もあります。またその一方で、この映画もそうですが…福祉的配慮から、「特定の職業を優先的に当事者に与えている」のは現在、2022年まで含めて続けられています。これが「視覚障害者による、あんま・はり・マッサージ」です。これ(国家資格による、あんま・はり・マッサージを規定するのが、「あはき法」※1)を学ぶために進学するのが、高等部(高校ではない)の上の進路先であり、当時でも今でも一定の進学率を占めるのは確かです。
-----------
※1 正式名称を「あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」といいます。
-----------
この、「法に基づく、あんま・はり、、マッサージ等」は、現在(2022年)でも視覚障害をお持ちの方の事実上の職域という部分はあります。事実、令和になっても「健常者(ここでは、視覚障害に対して視覚について障害がない、という「広い」意味)がそういう学校を許可をとって作れないのは差別だ」ということで最高裁まで争われたこともあります。要は「社会的弱者に対して一定の職域を保護するものなのだから、他の健常者が特段の理由もなく押し寄せてくると既開業者の生活が脅かされる可能性がある」ということで上告棄却です。このように、「視覚障害」と「あんま・はり・マッサージ」は欠かせない関係があり、それを専門的に学ぶのが「理療科」というところですが、この説明が何もないのはわかりにくいのでは…というところです。
(減点なし/一部の配慮の足りないセリフ)
・ ラストあたり、「…これまで盲ろう者が大学に進学したことはないそうだ。でも頑張って身体障がい者の先駆となるように頑張れ」みたいなセリフが出ます。「盲ろう者」ではなく「身体障がい者」の~というところです。
これも積極的意図は絶対にないと思うのですが、この当時でも内部障害(私はここ。2つあるので、3級と3級で合算2級)などでは障害類型としては軽くなるので、いわゆる「普通学級」だったし、大学進学も何もなくこなせた)の方など進学が容易な方は明確にいますので…。すると、なぜに「「身体障がい者の」手本になるべき存在になれ」というのかが謎です(当時、実際に障害部位を問わなければ大学進学をしていた人はいました)。
ただこれも突き詰めると「障害の間で格差をつけて争うのか」「そういう指摘はみっともない」という点になってしまうし、もとの映画自体が史実にそっている以上、実際そういったかどうかは別にして、「積極的に他をバカにする」というようなところまでは感じられないところです(セリフが単に若干配慮不足、という点に過ぎない)。
----------------------------------------------------