劇場公開日 2023年2月23日

「オリヴィアさんの圧倒的演技と美しい映像が素晴らしい作品」エンパイア・オブ・ライト Jettさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0オリヴィアさんの圧倒的演技と美しい映像が素晴らしい作品

2023年2月25日
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ストーリー自体はテーマが定まっておらず、欲張りすぎてとっ散らかってしまったという印象
サム・メンデス監督が初めて単独で脚本を挙げたものだから、上手く纏めきれず、こんな出来上がりになってしまったんだと思います

でも、
オリヴィア・コールマンさん演じる主人公ヒラリーの演技は圧倒的、
メンタルでヤられ職場復帰、上司から強要される性的関係に耐える不毛な日々が、マイケル・ウォードさん演じる青年スティーヴンとの出会いによって大きく変わり、心救われていくが・・・という繊細で複雑、時に鬱積を爆発させる見事な演技でした

そして映像も素晴らしかったです
1980年代初頭、イギリスの海辺に佇むクラシックな映画館"エンパイア劇場"が主な舞台、真っ赤な絨毯と広々としたエントランス、劇場内も古くから伝わるオペラ劇場の様に天井が高く、広くてものすごい数の客席、内装はエントランスと同様に赤が基調でとてもゴージャス、こんな劇場で観る映画はまた格別でしょうね、一度でいいから経験してみたいものです
劇中、「炎のランナー」のプレミア上映会があったり、「チャンプ」が上映されたり、壁には「エレファントマン」のポスターが貼ってあったり、
さらに「ニューシネマ・パラダイス」を思い出させる映写室でのくだりもよかった
と、作り手の映画愛で溢れた雰囲気抜群のシーンが全編にちりばめてられています

一番印象に残ったのは前半、ヒラリーとスティーヴンがエンパイア劇場の屋上に上がって見るニューイヤー花火のシーン、また心に残る美しい名シーンが誕生しました

と、これらを観るだけでも一見の価値がある作品には仕上がってます
が、冒頭で記載したとおり、
・世代や人種を超えた切ないラブストーリー
・当時のイギリスでの深刻な人種差別問題
・古きよき時代への懐古
のぶっ混み鍋じゃなくて、いづれかを深掘りして向き合った方がより良い作品になったんじゃないかと思います

Jett