「女子高生の繊細さを描く。次はおっさんを主人公に。」少女は卒業しない 菜野 灯さんの映画レビュー(感想・評価)
女子高生の繊細さを描く。次はおっさんを主人公に。
4人の女子高生の卒業2日前から描く。原作未読。女の子ってやっぱりおませちゃんだなって思います。男子高生に比べたら、コミュ力めっちゃあるし、恋愛というよりは、男子をあやして、見守る感じ。
不器用な男子とのコミュ力のギャップに悩んでいるようにもみえるけど、4人の中で一番共感できたのは、友達がいない女子高生。わたしは男子ながら、卒業のときって、友達ほとんどいなかったし、卒業式のあとって、この女子高生の先生が言うように、地獄のアディショナルタイムだったので、友達とじゃれ合うこともなく、将来を語るわけでもなく、たださっとひとり、いつものように自転車こいで帰った。自転車置き場まで校内を歩いても、誰に声をかけるのでもなく、声もかけられることもなかった。
これ、トラウマみたく、寂しい光景としてふと思い出される。というか、高校時代を象徴するような思い出って、その日、自転車でひとり校門を出るときの光景。
なので、この4人ともに、結局は、卒業式に絆を語れるひとと過ごせた(ひとりは亡くなってしまった学友の思い出だが)のは、素晴らしい人生の光景なんだなと。こんな絆を語れる思い出ばかりではないので、もっとリアリティを伴ってほしかったと言いたいところですが、原作があるので、そこは踏み外せないところだったんだなと思います。
あと、中川駿監督。「カランコエの花」に続いて女子高生もので、今回もクライマックスに向けて編集が匠みで、また、女子高生の繊細なこころの動きも演出されていて素晴らしかった。
が、いち映画監督としてまだ認めたくない部分は、次、おっさんを主人公に撮ってほしいってのがある。可愛くて若い女子だけを主人公に撮っているだけで終わるなら、守備範囲が狭くて、懐が狭そうなので。おっさんを撮ってみて素晴らしい映画つくってくれたら、監督として存在感増すだろうなって思います。