「優しさと、さりげない気遣いが美しく昇華される二日間」少女は卒業しない やまちょうさんの映画レビュー(感想・評価)
優しさと、さりげない気遣いが美しく昇華される二日間
たぶん校舎の老朽化や少子化なんかの影響で取り壊しになってしまう片田舎の高校の、卒業式前の二日間が舞台です。
彼氏の為に隠れて弁当作ってあげてる家庭的な女生徒、いかにもボッチそうな不登校寸前の女生徒、あと・・・軽音部の流行りの?歌わないボーカリスト(男子)と、それを取り巻く友人、先生の間の交流が実に自然な形で丁寧に描かれます。
卒業間際の二日で起こるドラマって何?・・・って当初疑問に思っていました。経験上、最後に起こることは卒業式の準備(済んでなければ)と、卒業式、あと卒業式後のクラスメイトとの最後のダラダラしかありませんから。私んとこは男子校だったので、最後のダラダラさえ虚しかったなあ、と悲しい記憶が蘇りました(笑)。
映画も実際そんな感じで進行していきますが、上記3人とそれに接する人々(クラスメイト、親友、部活の後輩、先生たちなど)の言動、対応の中に何かそれぞれ「ほんのちょっとだけ違和感」があることに気づくのですよ。
これが不審の種になって、後々最悪な場面に遭遇するのでは・・・と、終始不安な気持ちになりますが違いました。
それはむしろ「不安だったり、臆病だったりして一歩踏み出せない人を気遣って肩をそっと・・・時に強引に(笑)押してくれようとしたため」だと知った時、なんとも言えない優しい気持ちに包まれました。
しかも、優しさの表現の仕方が日本人的な、相手に気づかれないような控えめで繊細、そして自分が損な役回りでもあえてうける・・・ところが本当に美しかったです。
これぞ日本人の美徳、特に女子高生はキャピキャピしてるだけとちゃいました(笑)。
鑑賞後のみなさんは見落としがちな、このさりげない気遣いに何個気づかれましたかね?
派手さはないですが、大変良作でした。
ぜひご鑑賞を。