「家族というより、ヤクザがメインになっちゃったねぇ…」ファミリア かずくんさんの映画レビュー(感想・評価)
家族というより、ヤクザがメインになっちゃったねぇ…
まず感想としては「もっと時間を伸ばしてもいいのでは?」ということ。
映画として90分という平均的な尺の中で何を伝えたいのか。「ファミリア」という名前負けしないものか。
父は陶芸に惹かれ、悪い意味で盲目だった。
息子は多国籍の女性と結婚し、お腹の子と共に殺された。
知り合ったブラジル人の方々は、家族を持ちながらも過酷過ぎる環境に身を置かれた。
そしてヤクザ。何があってもバックにヤクザ。
とあるブラジル国籍のグループがヤクザに殺され、殺されかける展開を軸に進んでいき、「家族とは何か」を問う物語。
…なんだけど、暴力シーンが目立ち過ぎて他が霞むんだよなぁ。勿体無さ過ぎた。
お父さんは息子を愛し、身を追われるマルコス君とその恋人の身を案じる聖人…とは言えないかもしれないが、少なくとも正義感は強い。
マルコス君達も何とか金を稼ぎ、謝罪をしながら必死に藻掻くも、皆様御想像通りのヤクザですよえぇ。
普通にシャブとお酒の嵐。タイトル通り、むしろこっちがメインになっちゃったね。想像するヤクザの恐怖感・支配力をメインにしちゃった影響で、もっと描けたものが描けていない。
例えば。
お父さんに関しては、陶器を通して失った奥さんとの思い出。
息子さん夫婦は、奥さんのバックボーンを描き、息子さんとの出会いを通して「この人となら…」と思えた経緯。
マルコス君とそのお仲間さんは終始、ヤクザに蹴られ殴られ果にはワイン瓶でぶん殴られ…。
そこじゃないよね?
「ヤクザの恐怖」を伝えるんじゃなくて、「家族とは何か」を伝えたいんじゃないの?
若頭君も「ブラジル人に大事な人を殺された」ってだけの描写。だから単にブラジル人に八つ当たりして行き場の無さを出しているとしか言えない。
全体的に失ったものが多いのに、バックボーンが余りに描けていない所為で、如何しても暴力シーンが目立つ。
この映画の記事を見る感じ、「あーマルコス君って子が陶器に惹かれていきながら、その生い立ちに迫り、お父さんの過去も掘り下げるのかな?」と期待したんだけどなぁ…。
因みに上の事は最後にチョロっと描写されて終わります。
…なんてこった、それじゃ意味ないじゃないか!
ちょっとお手伝いしただけになってるぞ!いいのか!!
もっと尺伸ばすかヤクザのシーンカットでいいよ…家族じゃなくて、八つ当たりとその一味達何よ…。
あーあとモザイク無しでセックスシーンあったね。
女性の乳房バリバリ映るし、「あっれ規制あったか?」と思ったね。
僕が目を背けたのは人差し指が曲がっちゃいけない方に曲がったシーン。
お父さんGJ。でも突撃シーンはあっさり過ぎたよ。
やっぱり背景が足りないからかな。
んー、アバターもそうだけど家族のシーンを描くのは大変なのもなぁ。
今回はタイトル負けした内容だったので下げたけど、演出は素晴らしかった。
無駄に音響に頼らず、自然な描写で収められていたと思う