「結論として集大成とはどうしても感じられませんでした。 かろうじて今...」劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス PROVIDENCE idさんの映画レビュー(感想・評価)
結論として集大成とはどうしても感じられませんでした。 かろうじて今...
結論として集大成とはどうしても感じられませんでした。
かろうじて今作は脚本が変わった一期以降の作品に比べてストーリー描写とキャラ描写のバランスが取れている方、だと感じました。三期への整合性も一応は辻褄が合うストーリーになっていて繋ぎの役割を果たす形にはなっている。映像は勿論、キャスト陣の素晴らしい演技やPSYCHO-PASSといえばの主題歌陣も良かったです。更に今回轟音上映での鑑賞だったため臨場感も凄く、その点が1番劇場で観て良かった点でした。
ですがシリーズとしての統合性が薄くなって来ている点、繋げる為とはいえあまりにも特例・ご都合主義的設定、それによる既存設定とのズレ、キャラクターをストーリー進行の為に動かしているせいでブレが生じている点において、正直許容出来ませんでした。
劇中台詞に”変わらないものなんて無い”とありましたが脚本が変わってからのPSYCHO-PASSは良き流れの変化とは感じられませんでした。
今回でなんとか三期までの道筋を繋ぎ、そろそろ本当に終わりが見えてきたと感じています。正直一期以降のTVシリーズはダラダラと続いていた感が拭えないのでいっそ次回でスパッと終わらせて欲しいと思いました。欲を言えばそれこそ伝説の一期スタッフに手掛けて欲しい感はありますが、ここまで変質してしまったストーリーを纏めるのはやはり無理なのかなとも思っています。とはいえ10年追ってきた愛着ある作品なので最後まで見届けたいです。
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▽▽▽以下個人的に思うところ。
やはり脚本が合わないなぁと感じた。正直虚淵さんと冲方さんではストーリーの方向性が全く違うと思うので何故二期からの後継脚本のメインに冲方さんを据えたのかが本当に謎。一期から参加している深見さんを主軸にサポーター的存在として入れた方が良かったのではと今でも思う。
そしてストーリー進行としてのキャラクターの使い方が本当に納得出来ない。ストーリー描写・キャラ描写のバランスが悪すぎる。最早進行の為にキャラを無理矢理ねじ込んで動かしている。必要性を感じない退場、掘り下げのない重要キャラ、毎度の宜野座の特に意味のない髪型の変化もキャラで遊んでいるようで最早不愉快に近い。(宜野座の目元のコンプレックスは克服された筈なのにあんなにもダラダラ伸ばしていく理由が分からない。)そして何よりキャラのブレの酷さ。霜月はともかく主人公である常守の今回の末路は物凄くショックだった。過程でも所々違和感があったが何よりかつての宿敵、槙島と同じ手段を取ってしまう展開に持っていってしまったのが本当に本当に残念。ラストの一期をなぞった狡噛に当てての手紙のシーンもこんな形でなぞって欲しくはなかった。
数少ない納得出来た点と言えば前作SS3で狡噛がアッサリ帰ってきた展開にモヤモヤしていたが今作でその答えを一応得る事が出来た点、ドミネーターを使用するもやはり銃を使う狡噛のなぁなぁに帰ってきた訳ではないというシーンなど深見さんがキッチリ書いてくれたんだなと分かる点だけだった。