「薬物ダメと簡単に言えない悲しさ」ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY ねずみさんの映画レビュー(感想・評価)
薬物ダメと簡単に言えない悲しさ
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正しく生きたくても自己を保つことで精一杯の時には、どれだけ身近な人の言葉も届かない。
クライヴは彼女を守りたくてドラッグの治療を薦めたけど、彼女も自分を守る(保つ)ためにドラッグが必要だったし、ふたりの目的は一緒だけど、彼女の嘗めてきた辛酸の一端すら誰にも理解できないし、彼女の痛痒に誰も気付けなかった。外野は簡単に“ドラッグやめろ”と言うだろうが、それすら暴力になり得るんじゃないのかなあと思った。
彼女が世界ツアーをしたいと伝えた時、これまで彼女の願いをすべて叶えてきたクライヴが「君には休息が必要だ」といなしたシーンが本当に悲しい。
クライヴとしては休息がドラッグを断ち切る契機となるよう、心から願って出た言葉だけど、彼女としては無理にでも働いていないと小止み無く押し寄せる重圧や閉塞感に気が狂いそうだったから働いていたかった、んだろうなと思う。
極め付けは、涙を流しながらも強がって放った彼女の「あなたが褒めてくれたいくつかのステージでも(ドラッグを)やってたわ」という言葉。
自分の質の良い暮らしのために娘(ホイットニー)の稼ぎを使い込んだ彼女の父親も最低だし、彼女のカードで不倫しま
くったボビー・ブラウンも最低で、こういう話を見聞きする
度に自分の琴線が“女を利用する男たち”なのを実感する。
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