「守ってくれる人が必要だった。」ホイットニー・ヒューストン I WANNA DANCE WITH SOMEBODY 琥珀糖さんの映画レビュー(感想・評価)
守ってくれる人が必要だった。
若くして伝説になるとその後は
伝説の維持が、重荷になる。
そんな印象を持つ映画でした。
170センチの長身。
黒人女性にしては腰の張らない上品な体型。
愛くるしい美貌。
引き込まれずにはいられない笑顔。
そして何より、
「神様から与えられた“才能“というギフト」
6オクターブの音域と圧倒的な声量です。
ホィットニー•ヒューストンのような熱唱型の歌手は
とても好きです。
彼女の代表曲「ALLWAYS LOVE YOU」
一番好きなのは、
映画「B ody Guard」のラストシーン。
いったん専用のジェット機に乗り込んだレイチェル(ヒューストン)が、
回り出したエンジンを止めてタラップを降りて、
フランク(ケヴィン・コスナー)に駆け寄ります。
熱い抱擁とKissを交わすシーン。
そしてALLWAYS LOVE YOUが流れるのですが、
本当に名シーン。
何度巻き戻して見たことでしょう!!
黒人女性でヒューストンのように可愛らしく美しい女性を知らない。
スーパーモデルのようなスタイル。
ちんまりした鼻と愛くるしい口元。
演じるナオミ・ワッキーは口パクはバッチリ合ってますが、
美しさと気品では、ひとつもふたつも足りません。
プロポーションが、とても残念でした。
実生活でもケヴィン・コスナーのような、
ボディ・ガードのように、
《命を賭して守ってくれる夫、父親》が居たならば、
ホィットニー・ヒューストンはまだ生きて、
歌っていたでしょうか?
心から悲しくて、悔やまれます。
現実には夫となるボビー・ブラウンはプロポーズと同時に、
浮気相手が妊娠している・・・と、告げる男で、
父親はクレジットカードを会社の女の子たちに配りまくる。
父親の会社には役員に名前を連ねるお友達の年寄りが6人もいる。
極め付けは、危篤で見舞いに駆けつけたホィットニーに
「俺の金を返せ!!」と迫るのだ。
(欲ボケした家族)
この言葉で、体調を崩したホィットニーは父親の葬儀にも出席出来ない。
思い起こせば、2018年イギリス製作のドキュメンタリー映画で、
ホィットニーの16歳の誕生日のプレゼントに貰ったのは、
従兄弟たちからの《マリファナ》のプレゼントでした。
一族は日常的に麻薬を常用する・・・
そんな彼女は幼い頃から
薬物への抵抗がなかったと思われます。
ホィットニーは麻薬を
「神様へ行くための梯子(はしご)」と称していました。
プロデューサーのクライブ・デイビス(スタンリー・トゥッチ)は、
その言葉を強く否定します。
「前から梯子はあったよ!!」と、
ホィットニーの口から「主が、主が見守っている」みたいな言葉。
何度も聞きます。
日本人は神頼みはしますけれど、普通日常で、神に頼らない。
歌の歌詞がいちいち虚しかったです。
歌の歌詞は偽りばかり。
「私は強い」
「自分自身を愛すること」
「強く生きる」
「前を向いて生きよう」
と、歌います。
ピークを超えたホィットニーにひとつとして出来たことがありますか?
売り上げたCDが1億5千万枚。
シングルは5000万枚。
グラミー賞受賞連続8回。
マイケル・ジャクソンやプレスリーそしてビートルズ、
彼らに肩を並べる歌手です。
光り輝く功績です。
ラストで1984年のAMAでの3曲熱唱。
素晴らしい迫力と高揚感に震えました。
客席には夫のボビーと娘のクリスティーナの姿も。
幸せの絶頂でした。
「I am Nothing」なんてもう聴きたくない!!
ホィットニー・ヒューストンは、永遠に輝く巨星
誰も忘れはしません。
この映画はホイットニーの「あの世でジーザスに会いたい」という言葉が印象的でしたね。
上西作品は洗練されてはいませんが、ベタで私は好きです。ぜひ見てみてください。
ホイットニーの伝記作品は色々ありましたが、この作品はまた少し視点が違って興味深いですね。
天は二物も三物も与えたスーパースターですら、出会った人によって人生を狂わせてしまう恐ろしさを感じました。つくづく生前にライブを見たかったです。