The Son 息子のレビュー・感想・評価
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悔やんでも過去は変えられない
ファーザーがとても良かったので、こちらも楽しみにしていた
予想通りの暗く重く引き摺る良い映画だった
多感な時期に父親が自分と母を捨てて出て行くってだけでもショックなのに、母は父を罵り続ける毎日…
お父さんは辛くても都合の良い幻想ばかり見てないで、きちんと前を向いて幼い息子をしっかり見てほしい
先週見たドワイヨンの泣きしずむ女は愛人を作った夫に苦しむ妻の話だった
上手く別れたり、囲えないなら愛人なんか作るな
などと思いつつも、私はこういう暗く重い数日引き摺るような映画が好きだ
愛だけど
胸が詰まる。
駆け寄りたい。
そうじゃないと叫びたい。
救うための愛が、苦しみに追いうちをかけ空回りする。
救われたい愛は、そこにはとどまっていない。
あなたとおなじ生もので
あなたとおなじ一個の人間だから。
誰の目がいつ覚めるか。
一瞬の轟が柔らかな笑顔も穏やかな時間も先のない過去に連れ去ろうとするもっともっとまえに。
向き合っていかなければならないのは、そこにしか道はなく、そこにこそ道があるということだろう。
思春期前のひとがそばにいるなら、ぜひおすすめしたい。
そしてそれだけでなく、あなたのまわりに大切な人がいるならぜひ観ていただきたい。
それほどのメッセージがこめられた作品ではないかと思う。
追記
ニコラス役のゼン・マクグラスさんが心の傷、痛み、闇を見事に表現。その演技は名だたる俳優陣の前でひけをとることなく確立しており忘れ難い。
覚悟を持って観るべき
前作'ファーザー'を鑑賞した際、構成、ストーリー、ホプキンスの怪演、全てに引き込まれた。次作は、ヒュージャックマンとローラダーンが夫婦役で共演とのことで、双方のファンでいる私はとても楽しみにしていた。前情報は予告のみで鑑賞。
見終わったあと、あまりの衝撃で、しばらく席を立てなかった。心臓が重く、ヒリヒリし、絶望の涙が溢れた。もっと覚悟を持って観るべきだったと、強く思った。観たことを後悔することは無いが、生半可な気持ちで観ると、これは数日引きずる。いや、もっと引きずりそうなほど、私は今心が沈んでいる。
ピーターやケイトがニコラスにかける言葉は、常に少し的をはずれていた。ずっと(彼が今かけて欲しい言葉はそんなことじゃないのにな…)と観客ながらに思っていた。
途中で、『洗濯機の裏の拳銃』を匂わせてからの、洗濯機が回ってるシーン、ニコラスが洗面所に入るシーン等の不安の煽り方は、本当にとてもしんどかった。観客の多くは常に不安を抱えながら、映画を観ていただろう。"それだけは起こるな"と全員が思っていたに違いない。この監督らしい構成だなと思う。ニコラスが病院から家に帰って「シャワーを浴びたい」と言い出した時は、絶望的だった。今後起こる未来を、観客の殆どは想像出来ていたからだ。
シッターが熱を出し、ニコラスが赤ん坊の面倒を見るよと言い出した時は、(それはヤバいのでは無いか?)と瞬時に思った。ベスも同様のことを思っており、観客にベスの気持ちを理解させるような物語の進め方は上手いなと思った。'ファーザー'で「何が何だか分からないんだ」と言う認知症の父の気持ちを観客側に共感させる魅せ方をしていたフロリアンゼレールらしい魅せ方だ。
'ファーザー'同様セットも素晴らしかった。ピーターの住む高級な家はコンクリート?レンガ?壁の非常に冷たい印象を受けるのに対し、ピーターが出ていった元妻ケイトの家は家族が幸せに暮らしていたんだということが想像しやすい生活感の溢れる温かい家だった。ピーターの職場はビルの高層階で、地上で生きるニコラスたちは見下されているかのような見せ方だ。
『The Son』というタイトルも、予告を見た時はニコラスとピーターの関係性だと思っていたが、それだけではなくピーターと赤ん坊のセオのことでもあるし、ピーターも父であるアンソニーの息子なのである。父のようにはならないと思っていたピーターも、気づけば自分の嫌いな父のような当たり方を息子にしてしまう。世代を超えて描かれる、父と息子の、難しい関係。
この映画は正直一言で言うなら、『鬱映画』かもしれない。でも私たちはこの映画をその一言で終わらせてはいけない。でも、気軽に感想を言いたくないのが本音だ。深く、深く考えて、忘れてはいけないことである。気軽に感想は言いたくないが、この気持ちを言葉に表したいと思い、このレビューを書いている。
観て良かった、そう思う。今は心が重く、ヒリヒリするけど、観て良かった。
愛情は万能ではない
離婚から立ち直ることができず、元夫と息子に依存する母親、家族を捨てておきながらも、自分は良き父親であろうとする父親、それら全てを重荷に感じる繊細すぎる息子。
両親は自分が大丈夫ではないことに気づいていないため、大丈夫ではなくなった息子を助けることができない。
「この問題を解決するには愛では力不足だ」という精神科医の台詞は至極真っ当である。
しかし、泣き叫び哀願する息子の言葉よりも精神科医の進言に従うことができる親はほとんどいないのではないだろうか。
結末は残酷であり、後味の悪さが残る作品ではあるが、愛情の偉大さを描く作品が多数を占めるなか、繊細なテーマを取り上げた監督には賛辞を送りたい。
いつの時代も親子の関係は難しい
ハイティーンの頃って自分は他の人となにか違うんじゃないだろうか?なんて思いがち。
十代の頃に身近な、そして上から押さえつけられる存在の父親、その関係性から「大人になったら自分は子供に対して絶対にああはならないぞ!」と心に誓うこともありがちではないだろうか。
それなのにいつの頃からか自分の成功体験を基に子供に対して「俺を見ろ!言われたとおりにやっていけば成功する、道を誤るな」なんて言っている我が身を振り返って「あれ、いつの間に親父と同じになっちゃてるよ」と愕然としてしまう。
そんなことがギュッと詰まったような作品でした。
今作で言えばピーター(ヒュー・ジャックマン)は息子ニコラスに対し、子供の頃に家族で出掛けた海での出来事がずーっと記憶の底にあって、励ますことが正しいのだと思ってしまったのではないだろうか。
自分が避けていた父(アンソニー・ホプキンス)に会いに行った際に言われる「通過してしまえば良いだけの年代、理解の良い父親像を私に見せつけているだけ」の言葉も的を得ている。そしてニコラスが両親を嫌い、でもすがりたい、二人の間で揺れ動きながらも自分というものを見出したい繊細な心。
どれもが正しいのではないでしょうか、でもどれもが正解ではないような。
ラスト近く、ニコラスが取った行為は、わかったような態度で接してくれていながら自分の本質に触れてくれなかった父への仕返しのように思えて、心が締め付けられるようでした。
我が子を失った経験のある私には身につまされるストーリーで、色々と考えさせられました。
「ナイススーツ」アメリカで成功する人の外見的な典型なんでしょうか。
(採点内容で「映画の問題点」がわかるため、便宜上のネタバレ扱い)
今年85本目(合計737本目/今月(2023年3月度)20本目)。
映画を見ていろいろ思ったのは(架空のお話だとしても)「やりきれないなぁ」の一言です。「何が当人のために正解だったのか」あるいは、「正解以外の選択肢はすべて不正解なのか」、あるいは、「不正解を選ぶことにどれだけの"罪"があるのか」といった複雑な論点を抱えています。
扱う内容が非常にセンシティブで、日本でも今、状況は違っても同じようなことは論じられることがあります。この映画は「時々論じられる問題」について、「断定的な解決方法」の提示をさけながら、何というか…、かなり「どの選択肢でも間違っていないよ」という点についての配慮があるように思えます。
一方でこの映画は明確に配慮不足という点があるので、その点はやはり書かざるを得ないでしょう。
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(減点1.0/自死行為に対するメッセージ性が足りない・不十分)
・ 扱う内容がこのような映画であるため、エンディングロールで、珍しくも「自死行為は重大なものですが防ぐことができます。もしあなたや関係者がそうであるなら、この電話番号に電話してください。もし、困っている人を発見したら、以下のサイトや電話番号の存在をおしえてあげてください…」という文章(すべて英語)が30~60秒くらい流れます(結構長いほうだと思います)。
これ自体は映画の趣旨を鑑みればわかるのですが、そこそこ長文な上に使われている語彙も高いので、ある程度の英語力がないと読み切ることができません。
そして「****という*」(最近公開された映画なので、一応伏せておきます)でもこの趣旨の表示はされますが、こちらの映画は「厚労省」からのメッセージで「もし困っている当事者や関係者はこちらに電話して下さい」という「日本語による」メッセージが流れていたのですが、こちらの作品はなし。
ちょっとこのあたり、妙にバランスを欠いているかな…(特に1週間前の参照した作品と「実質的に」「扱う内容」が同一であるのに、日本語のメッセージが出ない等)というのは明確に思えました(もっとも、このような「特殊なメッセージ性をもつ映画」が2週続けて放映されること自体が特殊なので、厚労省もそこまで手が回らなかった、とは思える)。
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もっと何かやれることがあったのかも
息子を亡くした父親の後悔の言葉が突き刺さって1日考えてしまった。
でもきっとこれが父親、母親が出来るベストだったのだと思う。親だってひとりの人間、子供もひとりの人間、思い通りにはならない。
観ていて切なくなりましたが観てよかったです。
家族でなければ面倒くさいだけの息子。仕事一筋で家庭を顧みない父親。...
家族でなければ面倒くさいだけの息子。仕事一筋で家庭を顧みない父親。最後に両親がある決断をするのですが全く理性的でない選択。そして想像通りの結末。
今朝、シネコンへ向かう電車でマスクをしていない人が一人だけ。科学的に考えてもマスク外して安全な訳がない。映画の両親はマスク外すタイプの人でした。そして後遺症に長く苦しむことになるのです。
これは切ない
ちょうど同い年になる息子と鑑賞しました
あたりまえの生活が
実はあたりまえでなかったり
ヒュージャクマンが映画の中で
自分の人生を楽しんで何が悪い
みたいなセリフがありましたが
それもそうなんですよね
救えなかった親の辛さを感じつつ
必要以上に息子と
コミュニケーションを取ろうとしている
帰り道の自分がおります
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