美と殺戮のすべてのレビュー・感想・評価
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オピオイド麻薬の企業と戦った人々
オピオイド麻薬の被害を出した
サックラー社を告発。
全米で50万人が死亡した。
サックラー社の寄付を 受け付けない様に
世界の美術館に 要請。
個人の刑事告発を見送る条件で 和解金。
米国の民衆のパワーは 強く、正しい事をする人々がいる。
コールジェーンでは 当時 違法の中絶を 無許可、
無免許 違法下でした女性がいた。
自分が正しいと思ったから。
騒動の発端である薬害問題関連のニュースを一通り知ってから臨んだ方がベター
2024.4.4 字幕 MOVIX京都
2022年のアメリカ映画(121分、R15+)
実在の写真家ナン・ゴールディンの半生を描いたドキュメンタリー映画
監督はローラ・ポイトレス
原題は『All the Beauty and the Bloodshed』
物語の舞台は、メトロポリタン美術館、ハーバート美術館、グッゲンハイム美術館を皮切りにして、フランスのルーヴル美術館、ロンドンのテート・ブリテン(展示会)へと続いていく
全6章の構成になっていて、「Merciless Logic(無慈悲な必然性)」「Coin of the Realm(生きる術)」「The Ballad(バラード)」「Against Our Vanishing(消えゆく命)」「Escape Hatch(逃げ道)」「Sisters(彼女たち)」という流れになっていた
ナン・ゴードウィンはLGBTQ+を被写体にしたり、サブカルチっくなアンダーグランドの世界を写す写真家で、映画では彼女の作品をスライドショーにまとめたものが映し出されていく
また、ナンの被写体になった女優や監督などの作品が登場し、彼女がどんな人物であるかを紐解いていく
そして、ナン自身が立ち上げた「P.A.I.N.」の活動内容が並行して描かれていた
彼女自身が手術後に使用したオピオイド製剤の依存症に苦しめられた経験があり、その販売元のパデュー・ファーマ社に対する怒りを伝播させていく
パデュー・ファーマ社はサックラー家が牛耳る会社で、「使用量によって医師にキックバックする」という経営手段と、「依存性を隠して宣伝する」という広報活動は悪質性が高かった
裁判などの結果も無視し薬の販売を続けていて、それに対して薬物依存の被害者の会が行動を起こしている
その一つがナンが行なっている抗議活動となっていた
映画は、オピオイド問題を描いているわけではなく、その活動とナン自身がどのような人物かを紐解く内容となっている
彼女に興味があれば良いが、オピオイド危機の詳細を知りたいという人にとっては、そのさわりぐらいしかわからないと思う
映画には多くの関係者が登場し、抗議活動の内容、団体の横のつながりなどが描かれていく
彼女たちの目的が「オピオイドで儲けた金を寄付として受け取るのはやめろ」というもので、ナンは自分の作品が収蔵されている美術館などでそれを行なっていく
この方法に賛否はあるだろうが、問題の注目を集めるという点においては有効で、実際に寄付の拒否などが起こっていた
ナンが行動を開始したのが、オピオイド系の薬品が自動販売機で売られそうになって、それが拒否られたというニュースを見たのがきっかけとなっていた
依存性の高い鎮痛薬を処方箋なしで自販機で売るというのは大概凄いことだが、本当に儲け優先なんだと思わされる
映画では、このあたりの騒動とか薬害の規模に関してのイメージが掴みにくのが難点だが、アメリカではずっと報道され続けているものなので、「知っていることが前提」で映画は作られている
日本でも最近同じような問題が起こっているし、コロナ禍のワクチン騒動もまだ始まったばかりという感じになっているので、いつ何時同じような騒動に巻き込まれるかはわからない
その時に真摯に向き合う企業がほとんどないというのは過去の歴史が証明しているので、その時は「自分ごとだ」と思わずに、助けを求めたり、情報提供も兼ねて協力しあう必要があるのではないだろうか
いずれにせよ、問題を知りつつ、ナン・ゴールディンがどのような写真を撮っているかを知ってる前提で鑑賞した方が良いと思う
見たこともない人がひたすら喋る系のドキュメンタリーなので、興味がないと船を漕ぐのは必至かもしれない
個人的にはあまりピンと来るところはなかったのだが、そもそもの抗議活動自体があまり好ましくないと思うので、向ける矛先が違うように思う
寄付を受け取っているから同罪とまで言われるのも無茶な論理になっているので、受け取るなと強要するよりは、寄付などせずに救済に回せと直球をぶつけた方が良いのではないだろうか
それが効かないから別の方策を試みているのだろうけど、寄付を拒否した理由が「単に面倒だから」という感じになっている気がするので、目的が達成されているかは不明瞭であるように思えた
紅麹どころではない
基本ストーリーは製薬会社を経営する「サックラー家」は全米で50万人以上が死亡する原因になったとされる「オピオイド鎮痛薬」を売り巨万の富を得る。そのサックラー家を追い詰めていくナン・ゴールディンと仲間たちのドキュメンタリー映画。ただ途中からナンが過ごしてきた70年代カルチャーやLGBT、偏見、エイズ問題と多岐にわたり、最終的にはナンの姉の死と家族を巡るインパクトの強い物語まで展開していく。久しぶりに骨太のドキュメンタリー映画を観ました。
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