「愚かなロバと賢いイヌ」イニシェリン島の精霊 唐揚げさんの映画レビュー(感想・評価)
愚かなロバと賢いイヌ
時は1923年、内戦が起こっていたアイルランドの孤島、イニシェリン島。
島に住むパードリックはある日突然、友人のコルムから絶交されてしまう。
思い当たる節がなく納得のいかないパードリックは、コルムに理由を尋ね続けるが、コルムの拒否反応は次第に過激さを増していき…
友情とは何なのか考えさせられた。
婚姻関係や血縁関係と違って、何か明確な繋がりがあるわけではない。
友情ほど強い絆はないが、友情ほど儚いものもない。
強くも弱いその糸は明日には切れているかもしれない。
そんなことを考えてしまった。
コルムがなぜあそこまでパードリックを避け始めたのか。
結局のところはっきりとは分からなかったが、決して分からないこともない。
自分の指を切り落とし相手の家のドアに投げつける。
何故だか他人事として片付けられない。
1人だと寂しいけれどずっといると鬱陶しい。
かまって欲しいような、1人にして欲しいような。
好きだけど嫌い。嫌いだけど好き。
友情とはそういうものなのかもしれない。
舞台となったアイルランドのイニシュモア島とアキル島の自然は本当に美しいし、名優たちの会話劇も素晴らしいが、好きな人は好きだろうなという感じ。
なにしろ難解で静かな映画なので、深めたいけれどまた観たいかと言われたら微妙。
みんな大好きコリン・ファレルのハの字眉毛はまた観たいけど。
バリー・コーガンも加わって、聖なる鹿殺しならぬ聖なる〇〇殺しが行われる。
アカデミーは残念でした……
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