「厨2病は突然に」イニシェリン島の精霊 kuroneliusさんの映画レビュー(感想・評価)
厨2病は突然に
イニシェリン島の精霊鑑賞。
自分自身も孤島ではないが田舎の出身。勉強も運動も苦手でどちらかといえば落ちこぼれ。思春期に突如サブカルに傾倒し、10代の頃、なぜか田舎の周囲の人間を見下していたように思う。大人になったら今は他者に対して退屈と思うことはなくなったが、思春期の頃は作中にでてくるコルムがパードリックにたいして退屈と思うような気持ちを他者に対して抱いていたように思う。偶然に生まれ落ちた土地と年代で出会った他者と学校という小さい箱の中、作中だと小さな島が舞台になっているが無理矢理に押し込まれ他者と仲良く暮らしていくというのは無理ゲーな気がしてならない。。けれども人間は運命を受け入れて生活を送る。しかしコルムのように突然現実を受け入れられなくなる人もいるのかもしれない。全然関係ないが、フリーガイという映画でNPCだった主人公がとあるきっかけで繰り返される毎日に破壊するのを思い出した。急に思い立ってタガが外れるのわからなくもない。思春期おじさん。急に歴史に名を残したいからあんたと話す無駄な時間過ごしたくないとか言われたら私なら爆笑してしまうかもしれないが。優しいパードリックは深く傷ついてしまう。アイルランド本島での内戦と絡ませて進んでいくコルムとパードリックの決別劇。島民とロバと家族と犬を巻き込んで進んでいく。まさに狂気と狂気のぶつかり合い。友情の決裂をここまで壮大に陰湿に描けるマーティンマクドナー監督の才能はすごい。加えて前作のスリービルボードほどの起承転結もないのにここまで惹きつけられるのはコリンファレル とブレンダングリーソンと最愛のバリーコーガンら俳優陣の圧巻の演技だと思います。バリーコーガンが本当に好きすぎる。ドミニクの役は彼にしかできないと思う。争いで得るものはないが変わるものはあるのかもしれないと観たあとも考えさせられる映画でしたが、オススメはできない作品ですw