劇場公開日 2023年1月27日

「そんなこと?が長期化する面倒くささ」イニシェリン島の精霊 kenshuchuさんの映画レビュー(感想・評価)

3.0そんなこと?が長期化する面倒くささ

2023年2月15日
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鑑賞方法:映画館

おじさんになってからの絶交ってとても面倒くさくてこじれやすい。私の周りで起こった絶交案件では、一人の友人が別の友人と揉めて絶交状態に。周りの友人たちが怒っている側をなだめようとしたが、まぁ頑なで人の意見なんて聞く耳を持たない。あいつが酷いことを言ったんだ!の一点張り。絶交状態がものすごく長期化している。終結の見通しなんてまるっきりない。
本作のパードリックとコルムの絶交パターンは私の友人のそれとは全く違うのだが、あまり他人事とは思えない。ただ、話しかけてきたら自分の指を切り落とすって脅し方はどうにも納得できない。報復するぞ!ではなく、俺を傷つけるぞ!ってどんな脅し文句だよ。それほどの本気度を見せてる!ってことになるのか。いやいや、ただのイカれた野郎にしか見えない。作曲したいからお前のバカ話に付き合うつもりはないってだけでそこまで言うかな。だから、よほどの理由があるのだろうと思うしかなかった。
ところが、最後までそのよほどの理由はわからずじまい。精霊の予言をコルムが知ってしまった故の行動と予想していただけにかなりの肩透かしをくらった。他の人のレビューも読み漁って、なるほどそんな意味が込められていたのか、もしかしてこんな意味なのかもなんていろんな解釈を知ったのだが、それでもやっぱり腑に落ちない。それはたぶん時代とあの島の閉鎖的な雰囲気と共同体としての同調圧力を理解しきれないからなんだろう。
指を切るくらいなら、早めにパブから帰って時間を作ればいいだけじゃん、なんて思ってしまう。もしかしたら、自分がくだらない話を続けるパードリック側の人間だから鈍感なだけなのか?
ふと、絶交案件の私の友人がこれを観てどんな感想を抱くのか興味を持った。今のうちに勧めておいて数年後に(サブスクとかで観た)彼の感想を聞いてみよう。これは俺の話とは全然違う!悪いのはあいつなんだ!と答えそうではあるけど。やはりおじさんの争いはしょーもないし、長期化する。

kenshuchu