「風景の美しさと暴力的な出来事の対比」イニシェリン島の精霊 nakadakanさんの映画レビュー(感想・評価)
風景の美しさと暴力的な出来事の対比
荒涼とした厳しさも感じる美しい自然の風景、音楽も神々しく神秘的な安らかな雰囲気です。
しかしそんな雰囲気とは裏腹に、日常に降って湧いた諍いがどんどん不穏な空気を高めてゆきます。
登場人物たちの気持ちは理解できますが、何故そこでそうなる?、そこでやめとかない?、ともどかしい気持ちに。
不穏な血なまぐさい空気の中にもコミカルなところがあり、妙な悲喜劇という感じですが、やはりやるせなさが残ります。
突然別れを告げられる、告げられた方は理由が分からない、という部分は熟年離婚の夫婦を連想してしまいましたが。
物語の時期がアイルランド内戦中と明確に表されるので、本土の争いはこの島民にとっては対岸の火事のようでもありますが、昨日までの友人と血なまぐさい争いに発展するというのはやはり内戦の状況の理不尽さと重ねているのかと。
風景の美しさと暴力的な出来事の対比も印象的です。
俳優陣の演技も素晴らしいですし、象徴的な構図の映像もいろいろと考えさせられました。
時代背景について詳しくないのでパンフレットを買ってみようと思ったのですが、大雪の影響でパンフレットが届かずまだ置いていないとのことで、残念ながら買うことができませんでした。
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