「"エンコ詰め"」イニシェリン島の精霊 万年 東一さんの映画レビュー(感想・評価)
"エンコ詰め"
一切の予備知識を入れないで鑑賞すると一瞬、時代設定や舞台となる国ですらわからないまま、観る前や物語序盤では現代劇かと、カレンダーや奏でられるアイルランド民謡など台詞で"IRA"と出て来たりでようやく、唐突に絶縁宣言、二人の仲が良かった日々が想像出来ない険悪さ。
監督のマーティン・マグドナーや主要登場人物たちがアイルランド国籍であることで納得の舞台設定、主演の二人を起用した『ヒットマンズ・レクイエム』に雰囲気が近いようで地味に進んで行く物語から微妙に可笑しかったり感情移入出来る哀しさ、幼稚園でも小学生や中学、高校や大学に社会人になっても老後でも国柄に関わらず同じような経験を何方の立場でも、そんな関係性がわからなくもない!?
パードリックとコルムを中心に少しの心理戦?劇的な展開も希薄で退屈になりそうな間にパードリックの妹の実情が物語に起伏を、バリー・コーガン演じるドミニクのキャラクターが逸品で彼を見ているだけでも飽きはしない、コリン・ファレルとは『聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア』や『THEBATMAN-ザ・バットマン-』ではペンギンと多分、ジョーカー役で本作は三度目の共演か?
商店のババァや神父に警官と意地の悪い連中に胸糞が悪くなる、そんな外野のキャラクターも魅力的。
コメントする