「映画通好みでしょうが、自分には合わず…」イニシェリン島の精霊 おじゃるさんの映画レビュー(感想・評価)
映画通好みでしょうが、自分には合わず…
予告で観た得体の知れない雰囲気に惹かれて鑑賞してきましたが、なんだかよくわからない作品でした。
ストーリーは、毎日午後はパプで親友のコルムと楽しく過ごしていたパードリックが、ある日コルムから絶縁を言い渡され、納得がいかずに関係の修復を試みるものの、さらにコルムから「次に話しかけたら自分の指を一本ずつ切る」と告げられ、二人の関係がどんどん変化していくというもの。
予告で観たとおりのやりとりからおどろおどろしい雰囲気が最後まで続きますが、結局何を伝えようとしているのかよくわからなかったというのが正直な感想です。終始漂う閉塞感と退屈さは、直前に観た「ピンク・クラウド」と同様で、この雰囲気に4時間さらされて、眠気と疲労がピークに達していたのも、本作を楽しめなかった要因の一つです。
自分はパードリック側の視点からずっと観ていたので、コルムの変化に戸惑う彼の気持ちにはとても共感できました。しかし、コルムの忠告を無視した結果が招いた悲劇的な結末を見ると、なぜコルムの思いを尊重してやれなかったのかと複雑な気持ちにもなります。海の向こうのドンパチが何かを物語り、それがこの島の争いと共通の根底を持つのではないかと推測しますが、自分の知識がなさすぎてよくわからずじまいでした。このあたりが理解できる映画通には好まれる作品なのかもしれませんが、自分にはちょっと合わなかったです。あとで他の方のレビューを読んで補完しようかと思います。
主演は、コリン・ファレルとブレンダン・グリーソンの二人で、抜群の演技を披露しています。仲のよかった親友との関係がじわじわとこわれていく感じが、切なく悲しく息苦しく伝わってきます。そんな二人を取り巻く周囲の人たちをケリー・コンドン、バリー・コーガンらが演じ、その距離感からパードリックとコルムの人柄を浮き彫りにしているのも、なかなかの描き方だと感じました。