「「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督作というのが重要だと思う作品。賛否は分かれそうな会話劇。」イニシェリン島の精霊 細野真宏さんの映画レビュー(感想・評価)
「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督作というのが重要だと思う作品。賛否は分かれそうな会話劇。
本作は第95回アカデミー賞で、作品賞、監督賞、主演男優賞(コリン・ファレル)、助演男優賞(ブレンダン・グリーソンとバリー・コーガン)、助演女優賞(ケリー・コンドン)などで8部門9ノミネートという注目作となっています。
個人的には、【「スリー・ビルボード」のマーティン・マクドナー監督による作品】という点が重要なのだと捉えています。
前作の「スリー・ビルボード」もアカデミー賞を席捲した会話劇。こちらは個人的にはとても好きな作品で非常に良く出来ていたと思っています。
大枠の作風は2本とも似た雰囲気を持っています。
ただ、「物語の必然性」という点において、この2作品には大きな違いがあると考えています。
「スリー・ビルボード」の際には「物語の必然性」があり、「この先はどうなっていくのだろうか」というワクワク感のようなものが終始ありました。
一方の本作では、個人的には「物語の必然性」をあまり感じられず、いろんなものが唐突過ぎて、「どうしてこういう展開になるのだろうか?」という不思議さの残る会話劇でした。
ただ、その「物語の必然性」をそれほど重視しないで「そういう流れなのか」と割り切って見ていけば、コリン・ファレルなどの演技も上手く会話劇として集中力は途切れず作品に入り込んでいけます。
「人の死を予告するというアイルランドの精霊・バンシー」をモチーフにしている点がやや分かりにくく、「スリー・ビルボード」のような風格はあるものの「物語の面白さ」という点では割と賛否が分かれそうな作品だと思います。
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