「理性か、本能か?」ボーンズ アンド オール 瑞さんの映画レビュー(感想・評価)
理性か、本能か?
タイトルは<骨ごとまるまる>っていう意味。すごすぎないか! あらすじを読んだ時は、グロいので観なくていいと思った。でも、評価は高いし、ベネチア映画祭で、最優秀監督賞と新人俳優賞を受賞している。しかも、監督は「君の名前で僕を呼んで」を撮った人だ。だから、観てみることにした。確かに、グロいシーンは多いが、言ってみれば主人公マレンの自分探しのロード・ムービーだった。まずキッカケは、自分が何者であるかを確かめるため、会ったことのない母親に会いに行く。途中で、何故か同族のいろいろな人たちと出会う。その過程で、彼女は自分がどう生きていきたいかを考えるようになる。でも、疑問に思ったことが三点ある。一点は、同族の人に出会い過ぎること。あんなに多かったら、怖くて町も歩けやしない。二点目は、よくお金が持つなぁということ。盗み歩いていたけど、働きもしないで、よくお金が足りるなぁと思った。三点目は、警察が追いかけて来ないこと。まぁ、アメリカは州ごとに警察も違うそうなので、FBI でも出動しないと無理かもしれないが、危機感が皆無だった。この作品は一種の寓話だから、リアリティを追求するのは野暮かもしれない。やっと平穏な毎日を送れるようになったかと思いきや、そうはさせてもらえない。彼女は今後どう生きていくのだろうか? やっぱり同じ場所に定住は無理で、流れて生きて行くしかないのだろうか… マレンを演じたテイラーは知的な雰囲気があり、自分の運命を受け入れてどうしようかと悩む姿がなかなかよかった。これからが楽しみだ。
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