TAR ターのレビュー・感想・評価
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奥が深いらしのだが…
すいません。全く解りませんでした…。
「MOJIの映画レビュー」というブログに詳しく解説が書いてあり、あぁ…こういうことなのねと納得して、それを知って観ると、だいぶ見方が変わるかもしれないけど…。
オーケストラの王者TARちゃん
ざっくり言えば、「ブラック・スワン」の指揮者版といったところ。もしくは、不眠症(インソムニア)の白昼夢と思えなくもない。
メトロノームは誰が動かしたのか、スコアは誰が持っていったのか、チェリストは廃屋のどこに消えたのか、などなど不可解な事象が皆投げっ放しになっていて、そうなるとこちらとしては現実なのか幻覚なのか判然としなくなる。
ケイト・ブランシェットさんの演技が絶賛されていて、それはそうなんだけど、主人公が錯乱して転落していく物語などというものは嫌というほど見てきたので、何かもう食傷気味。
最近の映画のエンドロールでクレジットタイトルが延々と続くのにも飽きてきたので、最初に持ってきてラストあっさり終わるという奇手はアリだと思った。
ケイトブランシェットに釘付け
最初から最後まで、ケイトブランシェットに釘付けでした。
実在の指揮者の生き様を圧倒的な演技力で見せてくれた‼️
細やかな心情を、表情では勿論、光と影、音で表現している。
クラシックは、あまり馴染みのない私ですが、楽しめました。
レビューで、パンフを事前に読むと良いと知り、その通りにして正解でした。見終わった後も読み返してなお一層理解が深まり、面白かったです。
ケイト・ブランシェットを鑑賞した
えーっと…
『出る杭は打たれる』ってこと???
周りは敵ばかり???
というか、ターは自分が引き寄せてるタイプじゃないのかなー
しかし、セリフ多かったなー
かと言って、クラッシックに詳しくないので、あまり入ってこなかったのねー
クラッシックに造詣が深い人が観たら、もっと興味深いのかもなー
ケイト・ブランシェット主役の舞台みたいだったなー
オーケストラが生で、舞台だったら、ものすごく面白そう!
少し尺を縮めて貰ってね
何はともあれ、ケイト・ブランシェットがカッコ良かった!!
だから集中して観られた
目眩するほどの面白さ。私は何を目撃してしまったのだろうか?
完璧主義で、冷徹な超実利主義な天才指揮者ターが、ある過去の行いが原因で、次第に身近な人間に嫌われて全てを失ってしまうだけの話、なのだが、眩暈するほど面白い。
実際、劇場を出た後、クラクラしてしまったのは、2時間38分の上映時間による空腹のせいだけではないだろう。
映画の最初のおよそ1/3はターの、世界最高峰のオーケストラであるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を統べる指揮者として、そして、同性のパートナーと養子の子の3人で構成された家族の長(実際、自分でパバと言ってる)としての、完璧な生活が描かれる。
このパートでは、彼女が指揮をするオーケストラのメンバーはもちろんのこと、世界的な名声を持つ友人の男性指揮者など社会的地位のある人間から畏敬の念を抱かれているターの、この世界で大成功を果たした女性として人物像が浮き上がる。
そして同時に彼女は、マーラーやバッハといった偉大な作曲家が後世に残したスコアを完璧に理解し、それをオーケストレーションでどう表現すべきかを完全に自分のものにしている。まるで音楽の神の信託を受けたイタコまたはインタープリターだ。
そんなターは、家庭でも完璧に大黒柱を担う。しかも、働いてるだけであぐらをかいているような旧時代の父親であるはずもなく、娘の学校への送迎もするし、パートナーの精神的不安定さのケアもでき、LGBTQ的にもジェンダー平等的にも花丸人生だ。
だが、映画では彼女のそんな姿をハートウォーミングな形で描いていない。常に画面のトーンはひんやりとしているのだ。
ターの公私における有能ぶりは翻すと、人生を完全にコントロールでき、他者を手なづけ従わせられているだけであり、画面からはそんな彼女の情の薄い心の有様がうっすらと滲み出ている。
綻びはすでに始まっている。
誰かがSNS上でターを馬鹿にしている映画ど頭の会話。アシスタント・シャロンの、いつもどことなく憂いと不安定さをかかえている表情。ターの聴覚過敏。そして、極めつけはロシアからやってきた小悪魔的な新世代のチェリスト・オルガ。
かつて社会において男性が掌握していたパワー、権力を身につけたターが、現実世界においてそれらの男性の一部が欲望のアンコントロール、力の過信、他者の軽視によって人生を転落していったのと同じ末路を辿った後、この映画がたどり着いた終着点。それは、ターに残されたわずかな希望を痛烈なアイロニーにのせて提示される。それを果たして私たちは、どうとらえるべきなのだろうか。
TARの墜落と再生、その先は果たして
公開がもっと早ければ、今年後のアカデミー主演女優賞はケイト・ブランシェットが獲ると信じただろう。彼女が演じていなければ単なるクソ野郎に見えてもおかしくない圧倒的カリスマ指揮者の墜落と再生の兆しを描いた160分。クラシックに満ちた音楽映画かと思いきや全編を通してかなり抑えめのトーンで静けさと不穏さが漂い、時にホラー混じりに描かれるTARの狂人っぷりにドン引きしながら笑ってしまっていた。
鑑賞後いくつかの映画解説を聞いて、台詞・音響・美術セットなど細部に隠された意味を知ることで更に面白く感じた。最後にTARが指揮するオーケストラの演奏する曲が「モンスターハンター」の楽曲であるということも解説動画で知ったのだが、モンハンの設定自体に重ね合わせているのだとしたら、TARの再始動とは、再びのハンティング(狩り)に出ていくのだと思えてならない。開始30秒でいきなりエンドロールが始まる斬新な演出は、物語の始まりがTARの人生の頂点であり、そこから堕ちていくだけの話の始まりだったのだと合点がいく。
それにしてもTARの実在感が半端なかった。今作のケイト・ブランシェットの超人的な演技力は、今年見た邦画で衝撃を受けたTOKYO MER劇場版の鈴木亮平さんの演技がそれに並ぶだろう。
細かい説明は抜きだ!
評価分かれる作品。
主人公の視点、、というほどではないが彼女に見えない物は描かれていないし周りからの目線も必要最低限。だから説明が少なくなりがち。
これは彼女の音楽に向き合う真剣な姿勢や追い込まれていく過程において効果を発揮していると思う。自分の周りでどんどん何かが悪い方に動いているのを感じてはいるけどはっきり伝えられてない孤立感、それを見てる我々も共有する仕組みなんだと思ったよ。
サウンドデザインも素晴らしい。小さな家電の電動ノイズ、サーボモーター音から、爆音オケまで最大限効果的になるように無音部を大切に精密に設計されていて凄い。
あまりに実在の人や場所の名が出てくるからTarが実在の人の様に感じる、これで女優業終わりにする的な発言が出るくらいケイト様の演技もキレッキレで主演女優賞は個人的にはこちらだったと思う。
昔漠然と世界の指導者が皆んな女性になれば世界は平和になるんじゃなかろうかと考えた事もあったが、程度の差こそあれ男も女も人間ハマるところは一緒なんだなと再確認した。あと自分にクラシックの知識があれば三割り増しで楽しめたかもしれないのが残念である。
最後の落ちは日本人的にもやもやが残るが、まあリアルな現実だろう。
彼女が真剣に取り組んでいるのが救いだ。
良い意味で怪演
ケイト・ブランシェットの素晴らしい演技を見るためだけの映画と感じました。本当に彼女は素晴らしい!
ただ、登場人物の関係の説明がないままストーリーは進むので、最後までそれぞれの立場や考えが想像できず、一つひとつの所作や行動に対して理解できなかった。せめて私にオーケストラのしくみ、その世界での上下関係などの知識があれば、推測しながら鑑賞でき、楽しめたと思う。
オープニングなのにエンドクレジットのような演出、長く内容が理解できない冒頭のディスカッション場面のせいで、私の周りの多くの方が寝てしまっていた。絶対映画で寝ない私もこのあたりは必死に睡魔と戦うはめになった。疲れた。
饕餮(貪り喰らうモノ)
惜しかったなぁ。マックスへの教示に掛けたマウントは結構納得出来たし、自分自身がそこに呑み込まれていく様は見どころあったのだけれども、自殺しちゃった彼女の事をふわっとさせ過ぎたからか、後半の印象がボンヤリ。モンハンプレイヤーとしては最後のアレも作品としては理解出来るが、ちょっとイラッとしちゃったよね。
2回観なきゃ→2回観たので追記
6/24 2回目は常館の横浜ジャックアンドベティで
解らないまま進行していった1回目の鑑賞に対し
今回は余裕で詳細を確認しに行ったつもりが
知れば知るほどこの作品には一瞬のスキもないことに気付き全く気が抜けなくなった
まず前半の音楽に対する姿勢や考え方そして悦び
オーケストラと指揮者の関係性などが対談や授業風景やリハーサルでものすごく発信されているのでオケファンとしてはぐいぐい引き込まれる そして
後半は不穏な空気がいっぱいになり転がって行く
神経質でストイックな反面、感情に素直なターは
若い女性演奏家にすぐ惹かれる、それが問題を増やしているようだ
しかし偏見で逆差別かもだけどやっぱり女性の方が能力高い
あたしも能力の高い集中力のある女を見ると惚れ惚れする
レズビアンじゃないけど惚れる
ケイト・ブランシェットの演じることへの執念にも惚れる
ターのパートナーが女性コンサートマスター(コンサートミストレス)でもあるというシチュエーション
目配せが本当に女房然としていて素晴らしい演技
異性でも同性でも同じなんだな浮気される奥さんの気持ち、心配。。。
女房の助言通り行動していればこんな転落はしなかっただろう
歴史と芸術文化の積み重なったクラシック界と
SNSで育った若いアーティストとのギャップが面白いところで
バッハを性的理由で避けて音楽を学ぶ学生がいたり
SNSでハラスメントを訴えたり
ロシアの若いチェロ奏者がデュプレの演奏に影響を受けたそうだが
Youtubeで見たエルガーのチェロ協奏曲はデュプレといえばバレンボイムと
誰でも想像つくが若い奏者は「指揮者?誰か知らない!」と言い放ったところが一番あたし的にウケた
オカルト的な場面がちょくちょくあって混乱させられたけど
結果何の関係もなくそれはただのエンタメ要素であったし
よくよく見るとターに致命的な蛮行はなかった
本当に音楽とその作曲者を心から愛する人だったと二度目の感想
とにかくターを演じるケイト・ブランシェットがすごい!!
1回目のレビュー
ほとんど説明なく進行し
じわじわと傲慢なターの裏側から崩れて行く様
この大きな流れを
緊張感のある2時間半の作品全体をあれこれ考えず味わう
すべてはケイト・ブランシェットの演技に釘付け………
名曲大曲であれば同じ曲でも指揮者でぜんぜん出来上がりが違うし、この指揮者のはイライラする、とかグッと来るとか、自分の好みではあるけど
あたしはそれくらいの並のクラシックファンです、1年に数回はオケを聴きに行くくらいの
なのでターの曲に向かう姿勢やこだわり
奏者と観客への指揮の見せ方
それを全てカッコよくケイトブランシェットは表現してくれてるので痺れる
あとはターのプライベートに関して
よくわからなった部分をもう一度観たら完璧
空耳アワー
世界最高峰オーケストラ、ベルリン交響楽団の女性初常任指揮者、リディア・ター。もちろん架空の人物だけど、数年したら現実になったりして。ターは楽団内のバイオリン奏者と同性カップルで、養子を養育し、指揮者としても評価され、順調な日々を過ごしている。が…ちと問題が…。
楽譜の読み込み、作曲、講義、練習と、めっちゃ忙しいターは、ささいな音が気になる。ドアベル、ノック、メトロノーム。そしてどこか遠くから聞こえる悲鳴。これ、完全に病んでるよなぁ。
すごく濃密な作品で、クラシック音楽も素晴らしいのだけど、ちとつらかった。ケイト・ブランシェットの力量ハンパない。
音楽は無限であり人生も無限
細かく伏線が貼られているようなのだが。一度見ただけではよくわからない。
ケイトブランシェットの存在感が全てを飲み込み全てを吐き出す。
冒頭のSNSの会話、、もう一度見ないと今となってはわからない。
床にばら撒いたレコード(LP)盤。カラヤンとかなんとか皆男性マエストロのもので無造作に足で選んでいるま他は選びもしない素ぶり。
努力を重ね手に入れた不動の地位、男社会にあり男以上のステータス、だからなんでもできる。寄り添わない。寄り添うのは同性婚の中で育てている子どもだけ。ターはお父さん。
子どもは暴漢に襲われたターに、世界で1番美しい人なのに、、と慰める。
逃亡したアシスタント、名前だけ頻繁に出てくるもう1人のアシスタントの子、いかにもハニートラップなチェロ奏者の子、妻であるコンマス、赤いバッグを持つ子、と多くの女性を虜にするターはわかりやすい世界でいえばかっこよくて誰もが無防備になってしまうようなイケオジと言った存在。彼女から技術や名声を奪い取ろうとする周りのおっさんたちはそれがまた歯痒く悔しいことだろう。
謎のアパート隣室の親子(自らの家族を顧みないターを現す?)そのほかにもクリーピーなものが時々出てくる。
ターは雑音が嫌。最初は雑音とイライラ嫌っていた音、だんだん規則性と企みを感じさせる音としてターの心を蝕む、メランコリアの謎の音を聞く女のようだ。
チャレンジという本の贈り物、メトロノームの音、冷蔵庫の音、公園で聞いた助けを求める女の叫び声、隣の悲惨な暮らしの親子(家族に見捨てられた)がノックする音、さまざまな雑音が雑音ではなく忌々しく自分を追い詰め、自分が蒔いた種から起こる様々な出来事にもひるまず、力あるものとして、女性だが男性同様に男性社会で生き抜いてきたマジョリティとして、またアメリカ人という覇権を表す存在として怯まず立ち向かう。
満席の映画館で、孤独を見せず孤独に闘うターをみていたら、なんだか広い荒野に1人だけ椅子に座って、座らされているような孤独感というか身体感覚さえ味わった。
なんかそんな凄みがある。
男性社会でのしあがり、また、彼女を踏み台にのし上がろウト追いかける男性を牽制しこれは私のスコアだと、ライブ録音の現場で男の指揮者をボコボコにする。ただしい暴力であろうと個人的には思う。
実際、最後フィリピンで、マッサージ店を教えてと頼んだつもりが売春宿?飾り窓?まがいの水槽に並ぶと女の子たちの店とわかり、水槽の雛壇に居並ぶ女の子たちがオーケストラのようなポジションでまちかまえており、くだんのチェロ奏者の若い女と同じ位置にいる女の子が目を向いてターを見据えていて、路上で吐いてしまうのだ。これまでの自分の加害者性を見せつけられた、、
図書館でスコアを探したが見つからず、というと、いまとどいたばかりでスト、スコアを渡され、アジアで若い楽団とやるのはクラシックではないとわかり、クライマックスはモンスターハンターのコスプレライブだった。これがまた最後までモンスターばりに頑張るターなのだ。
アメリカスタテン島、小さな、裕福ではない実家はそれまでのターが自力実力と、妻との関係(コネ、アドバイス)で築き上げてきた優雅な生活とは違う、自分の歴史から抹消したいよう存在。兄弟か誰か帰ってくるが、リディアではなく、リンダと呼び、今はリディアだったなと呼びなおす。暖かい交流も出迎えもない。リンダはあまりにもアメリカ的な感じでクラシカルではないからなのか、??なぜ名前を変えたのかわからないけど名前を変え、貧しい家族との訣別を選びとっていたのだろう。実家の自室のクローゼットには撮り溜めた題名のない音楽界のようなアメリカのクラシック番組、バーンスタインが司会をして音楽を啓蒙、音楽は無限の力みたいなことを言っていて、それが彼女の原点であり彼女はそこに時計を巻き戻して再スタートをするのだ(冒頭の雑誌かテレビのインタビューで、指揮について語る時、私が時間そのもの、私が時間を支配すると語っていた)ハラスメント訴訟、ブーイングを受けても落ち込んでも立ち上がるのだ。
男女の力学、女同士の力学、大人と子どもの力学(力の差まるで無視)アメリカとヨーロッパとアジアの力学。様々に見どころと見逃したところがあるがとにかくケイトが圧倒的であり、そして私は孤独の風をひたひたと感じた。
それでも、Music movesバーンスタインが語るとおり。Music moves そして人生はrolling stone
「どこに連れて行かれるかわからないスリル」 一言で言うと、鼻持ちな...
「どこに連れて行かれるかわからないスリル」
一言で言うと、鼻持ちならない人物の転落の軌跡と再生を描いている訳ですが ディティールの完璧さ 崩壊を食い止めようと足掻く様 全てを失ったその後まで描ききり
「物事や人生の頂点は無い」「まだまだ道半ば」と思い知らされた
この作品で思い出したのはマイケル・キートンの「バードマン」とクリステン・スチュワートの「パーソナル・ショッパー」でした。
好きなシーン ①学生への講義 ②暴走ドライブ(スピンしてるかのような恐怖!)③アコーディオン
狂気と歪さの虜になった
厳格なクラシックの世界でカリスマとなった女性指揮者、
その完璧さをしつこいほどに描き切ってみせたかと思ったら
不意に狂気が侵食し、全てが崩壊していく。
絶望の物語なのか再起の物語なのか。
冒頭からラストまで明確なものは提示されない。
観客の想像に委ねる映画。
或いは我々は試されているのかもしれない。
異常なほど奥深い世界だった。
ケイトブランシェットの圧倒的な演技が凄い。
不気味で歪な傑作。
ラスト30分だけ観れば良い?
前半から中盤全く話が動かず何を見せられているのだろって感じ。意図的に分かりにくく作っているのはわかるがあまりにも度が行き過ぎていて、分かりにくい。
単純な話で頂点の指揮者がおごりで転落していく、再起を図りベトナムで頑張るって話を小難しく描いているだけ。
クラシック音楽界を舞台とした正統的なピカレスクロマンやサイコスリラーを予期していたら、冒頭から度肝を抜かれる一作
誰もがまず驚かされるのは、冒頭のある仕掛け。驚きつつも、これは通常の作りの作品ではないということを直感的に理解させてくれます。
ケイト・ブランシェット演じるリディア・ターは、その切れの鋭い身体動作があまりにも独特で、ブランシェットは実在のターの動きを緻密に再現したのかと思ってしまいますが、ターは全く架空の人物。それなのにこれだけの存在感を与えるのだから、ブランシェットの演技は恐るべき、としか言いようがありません。
一つひとつの楽曲にも物語的な意味を持たせており、その意図を読み取ることも楽しければ、ただ素晴らしい音楽に身を任せても良いという、映画館で鑑賞した甲斐を実感できる作品です。
予告編から観た本作は、天才だけど冷酷非情なオーケストラ指揮者、ターが権謀術数を巡らせつつそれにはまり込んでいくピカレスクロマン、あるいはターが精神的に追い詰められていくサイコスリラーではないかと予想させるものだったけど、実際の本編は確かにそれらの要素を絶妙に配合しつつも、思ってもみないような展開に観客を誘導する内容となっていました。
本作は一見明確な筋立てのようで実は非常に入り組んだ物語構造をしていて、その仕組みを感じられないと、結末が異様に凡庸に見えたり、意図が掴みづらく呆然となってしまうという類の映画です。そのため、おそらく複数回鑑賞したくなる人も多いのでは、と思います。いわゆる「考察のしがいのある」映画と言って良いと思います。
しかも予告編にあったある場面の顛末など、大真面目にやっているのかふざけているのか分からないような展開もいくつか含まれており、何度か吹き出しそうになるという隙のなさ。
特に超有名なある作品のファンならぜひ最後まで鑑賞してもらいたい一作です。
リンダの末路
特にクラシックファンでもない私には、前半が長く感じられました。
異例の経歴を持つある女性指揮者の栄光と転落がシビアに描かれています。
子どものイジメ相手を恫喝する場面など、こういう手口でのし上がってきたのかな、と思わせる。
シャロンとも欲得ずくでパートナーになったのでは。
後半、音楽業界でなくても、なんで自分じゃなくてアンタがそこにいるのって殴りかかっていく主人公の気持ちは分かるけど、何ていうか痛々しすぎて、スッキリしない。
驚愕のラスト、ターの実家を見たあとでは、リンダは再びここから這い上がっていくのでは、とも感じました。
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