「テーマは何?」TAR ター odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
テーマは何?
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タイトルのTARは主人公Lydia Tár の名前、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団初の女性首席指揮者にまで登りつめたカリスマでなんとコンサートマスターの女性と同性婚しているレスビアンの設定。
二時間半を超える長尺で前半は彼女の人格や音楽への洞察が描かれます、音楽シーンは余りにも少なくブツ切れなので音楽映画と思って観た人は失望するかも。
インタビューシーンなどで延々音楽を語りますが言葉でなく演奏で示してほしいと思っていたら終盤で古いビデオに出てきたバーンスタインが「音楽は言葉ではない、音から音への変化の流れが100万の言葉以上に私たちの心を動かすのだ・・」と私の思っていたことを代弁してくれました、トッド・フィールド監督は無理を承知で主人公に語らせたのですね。
PCやスマホ画面でメールのアップが映されるシーンが不自然なので気になりましたが、古い伝統に支配されるクラシック界の対局としての若者文化、主人公がレスビアン醜聞やパワハラなどの弱味をSNSなどで晒され転落してゆく現代の象徴として使ったのでしょう。
テーマはクラシック音楽の先行きへの懸念、慟哭なのでしょうかね・・。
余りにも個性的で特殊な人物設定なので感情移入もままならず、長尺で作家性の強い映画なので私にはしっくりきませんでした。
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