「THEATER」TAR ター ミカさんの映画レビュー(感想・評価)
THEATER
本作の舞台はドイツ。ドイツは欧州の一部であり、欧州と言えば植民地時代から今に至るまで、あらゆる分野で権威の座にいます。特に芸術の分野は突出していて、例えば映画好きな方は「パルムドール」と「アカデミー」だったら、「パルムドール」の方が何となく芸術性が高く高尚に感じませんか?
この芸術に宿る権力の象徴がTARでした。作品そのものは普遍的なテーマでしたが、本作がユニークだと思ったのは、
・権力の象徴であるTARをレズビアンにしたところ
・ラストシーンで劇場で演奏されたのがクラッシック音楽ではなくゲーム音楽だったところ
・後半の舞台がドイツから東南アジアに移ったところ
でした。
つまり逆を返せば、欧州の白人男性がクラッシック音楽を欧州の舞台で演奏することは、時代遅れなのかなと。もう、主役(男性・音楽・地域)は変わった。そして、時代も確実に変わった。
THEATER(劇場)は、実に創造的で変化に富み、独裁的、権威主義的なものでない。THEATERは、ある一部の特権階級のものではなく、民主的。観客がお上品であろうが、コスプレしてようが良いんです。
TARはTHEATERの3文字から取ったのかな?と思いました。
YouTubeで、とある映画関係者が、本作は「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」に凄く影響を受けていると思うと話していて、偶然にも同じ日に、本作と「ペトラ・フォン・カントの苦い涙」を鑑賞できて良かったです。舞台は両作ともドイツですしね。
かつての恋人を助手としてこき使う、急に現れた若い女(チェロ奏者)にぞっこんになる、情緒不安定になる・・・、確かにペトラ・フォン・カントですね!後から色々考えるのが好きで、しつこくすみません!
今晩は。
今作は多様な観方を許容する作品でしたが
”TARはTHEATERの3文字から取ったのかな?と思いました。”
という視点は斬新だと思いました。では。返信は不要です。
ずーーっとTarのこと考えてました、artから?Ratから?など。TarはTHEATERから!ペトラ・フォン・カント、室内劇、女、権力も金もある女、孤独。納得してしまいました。ありがとうございます