「すっきりしないが引き込まれる」TAR ター コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
すっきりしないが引き込まれる
難しい。まさに難解な作品。
『セッション』の先生側視点で描かれ、生徒が耐え切れずに逃げ出した……みたいな印象。
ターの行いは、およそ過去にあったであろう様々な人々の行ってきたセクハラ、パワハラを体現したもののよう。
噂に聞く、カラヤンのエピソードとかに似たものもあれば、ネットの動画(複数の発言を編集したものが)炎上まであり、古今東西の「成り上がり頂点に立った人間の思い上がった態度」を全て実行。
また、『砂の器』のごとき、クラシック音楽界の権威主義と足の引っ張り合い、罠にかける人間関係なども描かれ。
「これただ不快なだけじゃない?」とか「スリラーホラーの文脈で見ればいいの?」とか「新手の嫌がらせ?」とか思い悩みつつ観ていました。
謎が謎のまま終わった部分も多く。
公園の叫び声はなんだったのか?
結局メトロノームは誰が鳴らしたの?
なくなった楽譜は誰が持って行ったの?
などなどすっきりしないままでした。
その解明・説明は物語上には不要だということなのか?
いろいろ謎解きがしたくて2回目を…と一瞬思うが、それにしちゃ長すぎる158分なんすよね。
ラストはどん底からの再生であり、彼女にとっての救済だと思うのですが……
すっきりしない。
それでいて、画面から目が離せない。
引き込まれた。
面白かった。
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