「緊張感が途切れない」TAR ター CR7さんの映画レビュー(感想・評価)
緊張感が途切れない
特別ドラマティックな出来事が起こるわけではないのだけど、日常の中で起こる出来事が物語の緊張を高めていく。それは音であったり、人間関係であったり、メールであったり。抑えた演出が、逆に凍るような緊張を高めている。長尺な作品だが、最後まで緊張感が途切れることがない。
優秀で飛びぬけた業績を成し遂げてきたターが、崩壊していく過程に引き込まれる。表面上は人格者で、性格上問題のない社会人に見えるターだが、心の深いところで傲慢さや冷酷さを宿している。それがスキャンダルや人間関係の軋轢を生んでいく。
ターを演じたケイト・ブランシェットの演技はもちろんのこと、脚本や硬質な映像を映し出すカメラなど、作品としてのクオリティがとても高い。
あまり一般向けとはいいがたいが、洋画上級者の大人向けの作品といえる。
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