「【”マーラーの交響曲第5番。”優越的地位を濫用したベルリン・フィルの女性マエストロが、自業自得の絶頂から転落していく様をシニカルに、音響、視覚効果も取り入れて描いた作品。鑑賞後の重い余韻が嵌ります。】」TAR ター NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”マーラーの交響曲第5番。”優越的地位を濫用したベルリン・フィルの女性マエストロが、自業自得の絶頂から転落していく様をシニカルに、音響、視覚効果も取り入れて描いた作品。鑑賞後の重い余韻が嵌ります。】
ー 今作は、多少難解な部分もあるがそれを含めて、自身で色々と解釈しながら鑑賞するのが良いと思った作品である。-
◆感想< 可なり個人的な意見です・・。>
・イキナリ、エンドロールのようなスタイルで製作スタッフの名前が流れる。何だなんだ!、と思っていたら、ター(ケイト・ブランシェット)のインタビューシーン。
ベルリン・フィルの初の女性マエストロであるが故に、余裕の姿でインタビューに答えるター。
ー 当たり前であるが、あの貫禄は並の女優では出せないだろう。-
・だが、時折不思議なアングルの、スマホの動画で、ターを盗撮するシーンが挟み込まれる。チャットで交わされる会話。”彼女が熟睡している訳はないわ・・。”
ー 段々と分かって来るのだが、ターの現在の恋人は同性コンサートマスターのシャロン(ニーナ・ホス:変わらないなあ。)であるが、ターの秘書の様な役割をしているフランチェスカ(ノエミ・メルラン)が且つてはターの恋人であったのである。ー
・そして、一度もキチンと映されないターを信奉するクリスタの影。
ターは、彼女とトラブルを起こしたらしく、他の楽団にクリスタの異常性や精神的不安定さを伝え、クリスタは自死する。そして、彼女の両親はターを告訴するのである。
・更に、ターはジュリアード音楽院で生徒を指導している際に、バージェンダーであるマックスという青年を、微妙な言葉でネチネチと弄り、彼は憤慨して退席する。
ー この様も、誰かが密かに動画で撮っているのである。そしてSNSでその様は拡散していくのである。-
・一方、美貌のオルガを特別に楽団に招聘したり、副指揮者であるセバスチャンを一方的に退団させたり、シャロンの娘を苛めるドイツの少女には怖い目をして脅したり・・。
ー ターの遣りたい放題且つ怖いシーンが満載である。ターを演じる、ケイト・ブランシェットの眼が怖いです。-
・様々なトラブルを抱えながら、ストレスを溜めていくター。そんな彼女にフランチェスカから退職願いがメールで届く。苛つきは頂点に達し、普段は聞こえない筈の様々な音が・・。
ー 怖いなあ。けれど、自業自得でもある。そして、フランチェスカが密かにターに復讐していた事が分かるのである。ー
■だが、そのような所業によりターはベルリン・フィルを追われ、東南アジアの僻地で師であるバーンスタインのビデオを涙しながら観て、ベルリン・フィルとは全く違うコンサート劇場で指揮を執るターの姿。
そして、その姿を見るモンスター・ハンターの衣装を着けた観客たちの姿・・。
シニカルだなあ。
<いやー、今作、疲れたけれど面白かったなあ。
そして、優越的地位の濫用をバンバンした、横暴なベルリン・フィルの女性マエストロが転落していく様を、シニカル感溢れる描写や音響及び視覚効果(特に、メトロノーム。)も取り入れて描いた作品である。>
NOBU様
コメントありがとうございます。
この映画.comで戦友のように切磋琢磨されているおふたりが
素晴らしいです。
私は彼女さまと、議論を交わすなどの頭脳を持ち合わせておりませんので、
ひたすら羨望でございます。
大丈夫ですよ〜。無理したのはNOBUさんのお願いのせいではなく、私が一刻も早く鑑賞したくなっちゃったからですから。「お願い」だけなら平日のサービスデーを待つ予定でした。
無理の余波、私の体調は大丈夫だったんですけれど、一緒に自宅を出て出先で別れた主人と娘が家の鍵を忘れて出ていたらしくTAR上映時間の長きに渡って雨の中、家に入れず締め出される事に(笑)(車は私が使っていた)
でも、こんな素晴らしい作品をプッシュして下さって感謝しています。
最初、少し調べただけの時には
「まさかNOBUさん、pipiとTARに重なる部分があると思っての投げかけじゃないでしょーね?」と疑念もよぎったのですが、調べれば調べるほど素晴らしい作品だとの確信が増しまして。
NOBUさん、疑ってごめーん!と思いまして(笑)
で、監督やブランシェッドの言葉を拾い集めていくうちに大体の主題理解と解釈は完成したんですが、そうなると一刻も早く答え合わせがしたくてねー。だからNOBUさんは全然悪くないです。
ではではお互い、厳しき日々頑張りましょう!
(1週間後に納期の大きな山があって今週は大変なのー)