ホワイト・ノイズのレビュー・感想・評価
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絶望的な世界で"死"の恐怖に取り憑かれた僕たちの行き着く先は…お先真っ暗かでっち上げた希望か、はたまたスーパーマーケット=大量消費・物質主義か?
死ぬのが怖い?なんともないフリしてもやっぱり死は怖くて、生きてるうちから生を全うできない。だけどこれなら、もしかしたら死を殺せるかもしれない…。大好きノア・バームバック(&グレタ・ガーウィグ)の素晴らしいドラメディを中心としたフィルモグラフィーにおいて正直弱めな作品かもしれないが、本作で彼が成し遂げた新たな挑戦は大いに歓迎されるべきだし、やはりこれもまた彼なりの独自の調理で人生を切り取った見事な一品に仕上がっているのだ。自身にとって新しいことしようという気概の伝わる挑戦は、コロナ禍に相応しい。
テレビ。あるいはこれは映画です、というフィルターを通した始まり方。衝突シーンはアメリカ人ならではの生きることの祝祭、楽観的な死。あらゆるプロットは死に向かっている人生はいつだって二択。悲劇的な映像に惹かれる我々にとって暴力が意味するものは生まれ変わりなのか?ヒトラーとエルヴィス、圧政を英雄視する絶望的状況…中に入ってくる厄介さ。だけど恐怖が邪魔をする。黒煙という社会を象徴するメタファー。
生という丘にしがみついて、人は事実という敵に囲まれた弱い生物。だけど、死への恐怖を乗り越えて、どうせここで待つしかないなら、人生を踊ってやる。スキーマスクという小物使いも印象的ながらやっぱりTVという80年代当時を象徴するメディアに、回りトラックという差異を伴う反復。歳を重ねたからこその死生観や信仰。知性に訴えかけてくる野心的作品で、気の利いた展開からの…。最後がとにかく最高すぎる!
JAK
♪LCD Soundsystem
中年の葛藤
ネトフリ配信が30日からというのもあり、年内に見切れる自信がなかったので劇場で鑑賞。サービスデーのはずがガラガラ…。これは少し悲しい。
パニックものか、ヒューマンコメディなのかどうななか情報を特に入れずに観ましたが、その中間のようで、そこに情報が溢れかえっている現代人への皮肉をこめたりしている作品だなと思いました。
なんてったってアダム・ドライバーは最高でした。中年小太り、ヒトラー研究のパイオニア、だけどドイツ語は喋れないという胡散臭いキャラクターを手中に収めていたのはさすがだなと思いました。流れの悪いストーリーの中でも存在感がブレることはありませんでしたし、彼がいないとこの映画は成り立たなかったなとひしひしと思いました。
ストーリーはかなり微妙でした。ぶつ切りなのが災いして飲み込むのに時間がかかりますし、主人公以外のキャラクターの役割や特徴が把握できないまま進んでしまうので、急展開が起こっても分からない場合が多かったのが残念でした。
終盤、シスターが夫妻に向かって正論をぶつけまくってくれるのでスカッとします。特段夫妻が悪者ではないんですが、天使がうんだーかんだー言ってる奴らに投げかける言葉としては大正解でした。ここまでのモヤモヤが少し解消されました。
エンドロールは謎にまみれていましたが、絵作りはMVのようでオシャレで好きでした。邦画だと浮きそうですが、洋画だと妙にハマるのが不思議なところです。
鑑賞日 12/21
鑑賞時間 20:15〜22:40
座席 E-7
ノア・バームバック監督の変化?
ノア・バームバック監督で
アダム・ドライバー
グレタ・ガーウィッグ
夫婦仲が壊れ家庭がバラバラになる作品ばかりのノアバームバック監督がグレタ・ガーウィッグに出会ってから関係が壊れずに、また2人で新しい人生を共にし家族になっていく作品をつくるようになった。
事故で大きな爆発が起こり、噴煙が上がるけど子ども達の心配を受け流し、ちゃんと取り合わなかった父(アダム・ドライバー)
結局は自分だけが化学物質の流出事故に見舞われ、死を恐れ、自分の存在意義・大学教授・夫・父の威厳が揺らぎ自分を見失う
しかし、ドタバタと奔走しながらも妻(グレタ・ガーウィッグ)と3人の子ども達と一緒に生きていく。
ホワイトノイズは安眠効果もあるという。
ノイズがあることに脅えず生きていくことが人なのかも
世界の危機もあるけれど自分の周りの安心感のために鈍感になる現在、SDGsをどう自分の中に取り込むか
監督
ノア・バームバック
キャスト
アダム・ドライバー
ドン・チードル
グレタ・ガーウィグ
サバイバルファミリー
ドン・デリーロは同時多発テロを扱った「墜ちてゆく男」の作者として覚えていたが、この原作は未読。
グレタ・ガーウィグは割と好きな女優なので、出演作も監督作も見てきた方だが、彼女のパートナーのノア・バームバックの映画となると「フランシス・ハ」以来ということになる。
逃げる家族が渋滞した車列で事故車や怪我人に次々と出会うシーンは、ゴダールの「ウイークエンド」を思い出した。衝突事故から流出した化学物質も怖いが、得体の知れない錠剤も怖い。主人公の“ヒトラー学”の授業というのも、まかり間違うと「THE WAVE」みたいな事態を招きかねないと思う。そんなこんなでいろんな因子が積み重なって、家族の日常には少しずつノイズが生じ始める。この何か噛み合わない居心地悪さは、基調音のように全編を覆っている(結局、あの毒性物質の影響はどうなったんだろう?)。
ラストのスーパーマーケットのダンスシーンは楽しいけど、レジ袋の無駄使いはあかんと思う。
エンドロールが秀逸(でもそれだけともいえる)
事前情報がほとんどない状態で鑑賞。Netflixということとアダム・ドライバー主演ということくらい。
奇妙な映画だった。どんな映画だった?って聞かれても困るくらいにジャンルレス。有毒物質が含まれた煙が宙に舞い、雨となった降り注ぐ。その雨を浴びた男が生きることを見つめなおす。って書くと感動の物語のように思えるが、個人的にそんな感動は全くなかった。
自然災害から非難する過程のトラブルや家庭内に起こるトラブル、そしてそれに向き合う姿が描かれいるような印象なのだが、どうにもピンとこない。あー、このまま大した盛り上がりもなく終わるんだなと思っていたらその通りだった。
ただ、エンドロールの映像は別。LCDサウンドシステムの新曲が使われた、とてもいいMVだった。スーパーで踊る人たちを観ながら終わるという、これもまた妙な鑑賞体験だった。
眠い
ホラーだと思っていたせいで全然怖くならないし、やたらと会話で字幕を読み続けていて眠くなる。ようやく事故が起こって変な雲が出るのだが、ホラーではない。
中年の再婚夫婦の問題がテーマだ。最後のモーテルに男を殺しに行く展開は面白い。
車で林を爆走して川に落ちるところも面白い。
やりたい放題
寝不足気味だったよ。それはそうだけども、度々寝ちゃったよ…ヤッチャッタ
アダム・ドライバーだし、結構好きなテイストだったけれども、垂れ流し会話が多くて落ちちゃうよね苦笑 その会話達も嫌いじゃない感じだったのだけれども、ついウトウトと。それでも三章で話が纏める方向にグイグイ動き出したので、そこからは耐えられました(楽しめました)。
どなたかも仰ってた通りに「アメリカン・ビューティー」だし、「マグノリア」でしたね。まぁ紐付ければゾロゾロ出てきそうではありますが、「そこまでではないでしょうね」とも付け加えておきます。
しずるのクセのつよいコント
2022年劇場鑑賞290本目。
アダム・ドライバー主演なのである程度は覚悟していたのですが・・・。
ある家族の話で、大きく分けて2つの出来事があってそれを描いているのですが。
お笑いのしずるのコントに雰囲気だけで意味が全く分からないセリフを言う映画のコントがあるのですが、まさにこの映画がそれで、半分くらい「何言ってんだ?」という感じのセリフでした。何が起きているのかは分かるんですがとにかくセリフが舞台じみてて自分にはあいませんでした。
ヘビーな夫婦の物語
「マリッジ・ストーリー」に続くノア・バームバック監督作。そして、アダム・ドライバー X グレタ・ガーウィグ。
お互いバツ4だという夫婦とその子供たち。お互い自分より先に死なないで欲しいと言う幸せな夫婦の情景。
化学物質の流出による死の恐怖。
これはSF?と思いきや異常な状況にあってヘビーな夫婦の問題があらわになった。
そう、これは夫婦の物語。
辛口な展開の中に夫婦生活の真実が見え隠れする傑作。ドライバーに感情移入しガーウィグに翻弄され続けた。
今年の外国映画のベストの一本だろう。
テーマは広そうだが人を選ぶか
ホワイトノイズ
家族はデマの温床だ。家族でも、妻でも、全部理解しているわけでは無い。子連れ同士の再婚という要素は今の多様性重視の複雑性を示唆している?、また教育のし辛さの説明ともなっていると感じた。長男の伝聞の理屈っぽさが面白い。
化学的な災害。実際にこうやって騙されたり、振り回されたりしている。災害の名称がすぐに移り変わっていく。健康の被害が出たかもしれないが、他の問題も抱えているため、誰を責めるでもなく進んでいく(しかない)。実際の世の中に似ている。抱える恐怖の要素は少し唐突だった印象もあるが、その後の教授達との疎外感を映して群衆を描いている気がした。そしてエンドロールは主人公達を中心に動かさない。皆ある程度は善良に生きている。
ほんと、netflixって…
当たりハズレがはっきりし過ぎてるよね。
で、当然これは、ハズレでしょう。
だって、わけわからんもん。
第二章って必要か?
普通にガンになったとかでいいじゃん。
教授(?)陣達や子供達の好き勝手いい放題の会話にも辟易。
芸術作品を気取りたかったのですかね。
アダムドライバーさんが出てるから期待したのに。
劇場に足を運んで損したわ。
"Can't Help Falling in Love"
気にもならないようなドウでも良い伏線もしっかり回収する細かい演出描写に笑けてしまう、物語が二転三転とジャンル付けするのが難しい、三作連続Netflixでの新作は久々にグレタ・ガーウィグを起用したノア・バームバックが新境地を見せ付けたような斬新さが際立つ、映画を撮るのにルールは無用で自由奔放さが心地良く、知的で難解な物語から全体的に緩い感覚と雰囲気に和みながらもエンドロールまで楽しませてくれる、何の映画を観ていたのかさえ分からなくなるようで様々なジャンルをゴチャ混ぜに、描くのは死と夫婦愛が焦点にそんな単純では済まされないもっと深い意味合いがありながらも難しく観る必要性は無く、娯楽性が豊かでエンターテイメントに長けた珍しくも思えるノア・バームバックの手腕と才能に驚いた!?
本作が決定的でコーエン兄弟やポール・トーマス・アンダーソンを超えてしまう日も近いのでワ?って位に一皮剥けたノア・バームバックの次回作も楽しみでならない。
人生って
どうやら時代設定は84年らしく、グレタ・ガーウィグの髪型は当時っぽく、アダム・ドライバーは体重を増量して役作りし、画面もフィルムを使っているのかアナログ風である
陰謀論等色々な要素が盛り込まれて(盛り込ませ過ぎ)おり、途中一体何を見せられているのだろうと思うことも
決して一般受けする話でもないのでNetflix配信なのも理解できる
最後のスーパーのシーンに監督の真意が込められているのだろうか!?よくわかりません‥
こういう"いかにも"な観客を試すような作品は嫌い
意味深だけど何も伝わってこなかった
こういう"いかにも"な観客を試すような作品は嫌い、"今年の賞レースを騒がす"?
これが認められる様な賞だったら要らない
他の方のレビューを見ると深いメッセージ性を理解・感じた人が多いみたいですが、残念ながら私は何も感じることができず、久々に睡魔との戦いで全然面白くなかったです
基本、映画愛があるのでどんな作品でも良い所に目を向けるつもりで観てますが、本作はそれが見つからなかった
主人公家族のやたらテンポの早い無駄な会話のセリフ回しで始まる前半で作り手の自己満作品色を強く感じ懸念しましたが、予想的中し結局そのまま最後までいってしまった、という感じ
世の中のデマや得体のしれない想像によって掻き立てられる恐怖、人はそれに抗おうと冷静さを失い時としてとんでもない愚行に走り自らを崩壊させていく・・・
とある一家族のそんな愚行と、でも最後は自分達を取り戻した。。。
とでも言いたいんでしょうが、とにかく演出が酷くてそっちの方が気になってしまいました
一番意味不明なのは、あのストーリーに続いてのエンドクレジットの大衆ダンス、全く理解不能
ああいうのはキレッキレでカッコよく演出できるボリウッド映画に任せておきましょう
シスター! あなたは、聖職者の鑑です
ひねりすぎて自分には合わなかった。災害時に起きるデマや、やばい人間の行動をブラックに描いていることは理解できるんだけど、テンポが悪いよね。
ヒトラー研究の第一人者なんて、のっけから冗談がキツイ。その第一人者がドイツ語を話せない所までは、期待して見ていたんだけど、徐々に押し寄せてくる睡魔。
シスターのキツい一発は、面白かった。あなたは、聖職者の鑑です。
「ドント・ルックアップ」が好きな方にはぜひ。
今年362本目(合計637本目/今月(2022年12月度)15本目)。
最近多くなってきた、netflix系の映画で、映画館で先行上映されてあとにnetflixで見られるというタイプの映画です。
ストーリーは…。どうなんだろう…。この手の映画(後からnetflixで見られる映画)でどこまで書いてよいのか目安が不明なので薄目でいきます。
とある事故から謎の化学物質が流出し、それにおびえる家族と、流出を考える人たちとで町の移動手段などが麻痺してしまって、さてどうする?というタイプの映画です。分類としては何になるのかな…。少なくとも、去年だったか、netflixの「ドント・ルックアップ」に似た雰囲気があるので(現在は契約していれば無料で見られます)、それが好きな方や見られて高評価を付けられた方には文句なくおすすめというところです。
あとは明示的に描かれないものの、いわゆる「情報リテラシー」(いろいろ流れてくる情報に対し、それが正しいかデマか、あるいはその情報が権威ある場所等から流れてきたものなのかどうかなどを見極める力)というものが根底に流れているのかな、という印象です。
ジャンルとしては「不条理もの」になるのかな…(まぁ、この点は前述した「ドント・~」と同じ)。
特に採点考慮上減点対象にするものが見当たらないのでフルスコアにしています。
(ただ、字幕は出ますが、登場する単語が全般的に高めです。字幕が丁寧なので原文を聞き取る必要はほとんどありませんが、結構難しい単語は出ます)
自己憐憫と自己暗示
身近なちょっとした出来事や変化の中で感じる不安に溺れる家族の話。
オカルトや陰謀論や衝撃ニュースや噂話が大好きな家族が、近所で起きた化学物質を積んだトラックの事故を受けた避難指示に奔走したり、嫁の飲む謎の薬に疑心暗鬼になったり…。
人間ドラマと言えばそうだけど、流されやすい人とか根拠のない情報に流される人を揶揄したコメディですね。
夢か現かデジャブか勘違いのこじつけか、時々グサッとそこまで攻める?という様なぶった切りもみせつつも、テンポとしてはかなりまったりのおふざけをタラタラ見せ続ける感じで、言っていることはわかるけれどあまり自分にはハマらなかった。
さぁ、何を信じる?
求めていたまんまの映画だった。アダム・ドライバーの風刺的映画ってめちゃくちゃ面白そうじゃんと思い、Netflixで配信されるまで我慢できず、公開日に鑑賞した訳だが、個人的には大ハマり。ホワイトではなく、ブラックなユーモアがたんまりのアメリカらしい作品です。
何も考えずに見たら、何が言いたいのかさっぱり。しかし、見る視点を少し変えてみればメッセージ性が強く、グイグイ引き込まれる。大気汚染やプラスチックの環境問題、死を恐れ死に近づく人々、隔離された状況、身近に迫る死の壁...。ビックリすることに日本の国旗なんかも出てきちゃう。これほどまでにさりげなく風刺する映画は類を見ない。「ドント・ルック・アップ」のように直接的ではなく、かなり間接的に描く物語。
信じるべきものはなんなのか。
医者の言うこと?先生の言うこと?歴史上の偉大な人物の言うこと?家族や友人の言うことは信じる?この作品は「信じる」ことについて深く掘り下げられており、その先に待つ「死」についてもしっかりと描かれている。観客の心を掴む効果的な演出、不安と恐怖を感じる音、美しいとまで思えるカット割りが非常に秀逸。Netflixらしい素晴らしい作品です。
なんたって、主人公はアダム・ドライバー。
50過ぎの中年太りのおっさんを好演。この人の演技って、ずっと見ていられる。すごく好き。どの俳優の演技が好き?って聞かれたら、5本の指に入るくらい好き。感情の動かし方が本当に上手く、映画の質が上がるだけでなく、観客の気持ちまでも揺さぶらせる。この胡散臭さがたまんないね。
ちと物足りず、ストーリー展開が気持ちよくないのは残念。話はスムーズに進んでいくんだけど、ぶつ切りになっている感は否めない。奥さんと子供たちについても、キャラクター設定が細やかで綺麗に脚本をまとめていれたら、尚良い作品になったかな。
『人は事実という壁に囲まれた弱い生き物』
人は事実を求める。しかし、事実はいつも壁の向こう側。表面だけでは何も分からない。それを知らない人々は、表面に描かれたものが事実だと錯覚する。そんな人間は愚かである。とても弱い生き物である。いつ気付くだろうか。その壁は、自分の目線までしかないということを。
にしても、最高の風刺映画だった。
どうやら、Netflix映画との相性がいいらしい。Netflixで配信されると言っても、こうやって映画館で見るのがいいのよ。この作品も、独特な雰囲気を大スクリーンで味わうのがすごく楽しい。是非とも、劇場で。
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