「よく纏まっていた」ファンタスティック4 ファースト・ステップ くめいさんの映画レビュー(感想・評価)
よく纏まっていた
『ファンタスティック4』は昔クリス・エヴァンスのを観たと思うが覚えていない私の感想。
ストーリーは特に「家族」にフォーカスされており、地球を食べるヴィランから生まれたばかりの息子と世界を天秤にかけさせられる、という話。そのなかで『息子を差し出せ』という人々にスーが『私たちが得た家族はあなたたちです』というシーンは良かった。
世界観的にはレトロフューチャー感が強く好きな人は好き。スマホやSNSがなく前時代的な家具や車は現代的要素を組み込んだ『スーパーマン』と好対照だと思う。
それ以外にも、軽い調子のジョニー(ヒューマン・トーチ)が敵である相手を理解しようと努力したり、ベン(ザ・シング)が見た目のコンプレックスを感じさせながらチーム外の人間関係にチャレンジしたりと、それぞれで層の違うキャラクター性が描かれていて面白かった。
中でもシルバー・サーファーは予告編で「なんで女になったんだろう?」と疑問だったが本編での役回りを観て納得した。アクションも格好良く良いキャラだった。
しかしそれらのしわ寄せを一身に受けたのが敵役であるギャラクタス。マーベル内で最強ともいわれる敵キャラはまず星より大きいはずのサイズが真ゲッターからゼオライマーくらいのサイズにナーフされ、少し念動力を使う以外はひたすら鈍重で頭がいい様子もない(しかもその念動力もスーに力負けするレベル)。
確かにどうやっても勝てないから追い出すしか無いのだけれど、正直大きいだけで脅威感は感じなかった。予定調和的と言っていい。
まとめると、家族というキーワード、そして各キャラクターへの描き方は素晴らしい。そこ意外のメインストーリーは2000年代風。
かつてはマーベルの『アベンジャーズ』に追いつこうとしたDCがバットマンを上手く描写する余裕を与えず失敗したが、今はマーベルがキャラクターファーストのDCU、というかジェームズ・ガンを追いかけているように見える。皮肉。
そしてお決まりのクレジットシーン。あの緑色のマントと鉄仮面が……。
これに関しては、マーベルはまだ懲りていないらしい、としか言いようがない。スーパーヒーロー疲れが起きたのは質の悪い作品を濫発したから、だけではない。『あれのためにこれも観なきゃいけない』っていう流れについていくのが面倒くさくなったから。一度それを経験して、『質を上げたからまた追いかけてね!』となるはずもない。
せっかく新しいアースでなんの予備知識もなく楽しめていたのに『あの緑のマントは誰? また何か観なきゃいけないの?』と感じる層もいると思う。どうやら『アベンジャーズ ドゥームズデイ』でDr.ドゥームを演じるロバート・ダウニー・Jrが演じていたらしいが、それならちらっとでも顔を見せてもらった方が次作への興味を惹けたと思う。
あと最後の『○○は帰ってくる』本当にやめて欲しい。『このキャラが気に入ったらまた観に来てね!』ってことなんだろうけど、退場もしていないキャラに言われても意味不明でしかないし、冷める。旧キャストが出るって意味でのサプライズなら……やっぱり要らないか
少しネガティブな文章になったが、この『ファンタスティック4 ファーストステップ』は単独の作品として面白かった。
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