「新しさ、楽しさ、面白さを備えて新生したファンタスティックなヒーローでファミリー」ファンタスティック4 ファースト・ステップ 近大さんの映画レビュー(感想・評価)
新しさ、楽しさ、面白さを備えて新生したファンタスティックなヒーローでファミリー
『アベンジャーズ/エンドゲーム』でピークに達して以降、今一つ盛り上がりに欠ける印象の昨今のMCU。
ヒーロー映画人気衰退、MCU離れ…などと色々言われているが、それでもMCU自体はまだまだ。
この“ファンタスティック・フォー”の参戦でさらなる世界観の拡がりや尽きぬ野心を窺える。
マーベル・コミック最初期の作品で、元祖ヒーローチーム。
でありながら以前の2度の映画化はMCUとは関連ナシの20世紀フォックス作品。ちなみにシリーズ化された05年と07年版はコミック感覚でそれなりに楽しめたが、ダークな作風になった2015年のリブート版はファンタスティックさに欠けてイマイチだったなぁ。
ディズニーの20世紀フォックス買収。期待通り、『X-MEN』や『ファンタスティック・フォー』がいよいよMCUに。去年はデップーがコンニチハ。
来年末公開の『アベンジャーズ』新作で、ファンタスティック・フォーの宿敵であるDr.ドゥームがメインヴィランに。演じるは、ロバート・ダウニー・Jr.!
今後のMCUの主軸になるであろうファンタスティックな4人。かつてのキャップみたいな位置付けか。
その“ファースト・ステップ”。『アベンジャーズ』第1作目の“前章”だったキャップ第1作目のサブタイトルも“ファースト・アベンジャー”だった。
MCU体制で満を持して新生。その評判は…
全米では以前よりグンと大ヒットスタート&高評価。一定の成功と言えよう。
直に見た感想は…? 日本ではちと鈍い感想もちらほらだが…?
『ファンタスティック・フォー』の魅力は各々の特殊能力。
“ミスター・ファンタスティック”ことリードは天才科学者にして身体の伸縮。
“インビジブル・ウーマン”ことスーは透明化やバリア。
“ヒューマン・トーチ”ことジョニーは人体発火や飛行。
“ザ・シング”ことベンは身体の硬岩化と怪力。
彼らだけでも充分アベンジャーズもしくはMr.インクレディブルしてる。
VFXを惜しみなく駆使した彼らの活躍っぷりは明朗なヒーロー活劇として楽しい。
が、今回は、特殊能力アクションと同じくらい世界観が見もの。
1960年代が舞台。美術や衣装はレトロ感満載。
特に彼らの居住/秘密基地であるタワーの内装は、かつて想像したような近未来風。
レトロ×近未来にボクたちSF少年はワクワク。是非とも今度のアカデミー賞で美術や視覚効果でノミネートされて欲しい。
でも、1960年代にしてはSF過ぎやしていないか…?
そう。1960年代は1960年代でも、全く別世界。私たちが住んでる地球とは違う、お馴染みマルチバースの地球!
何だ、またマルチバースかよ!…と言う人も多いだろう。
だけど今回ばっかりはマルチバースのお陰で突飛な世界観や壮大な展開の創造に機能した。
レトロ感もMCU配信ドラマの傑作『ワンダヴィジョン』で才気を振るったマット・シャックマンならでは。彼の監督という事でユニークな世界観に期待していた。
新生となると誕生の経緯や各々の紹介は必須だが、ハルクやスパイダーマンの時と同様、MCUは同じ事は繰り返さない。
奇しくも同時期公開のライバル、ジェームズ・ガンの『スーパーマン』よろしく、すでに存在は認知されている。今やヒーロー映画はすっかりこの手法。
とは言え初めて見る人もいるので、劇中のTV番組で誕生の経緯やこれまでの活躍を紹介。これがメチャ分かり易い!
2015年のリブート版のようなダラダラ長い前置きなどなく、すんなりと展開や本筋が始まる。
世界中のヒーロー、ファンタスティック・フォー。数々の敵を撃退してきた。
そんな彼らの前に空から滑空してきたのは、以前の映画化(07年の『~銀河の危機』)にも登場した屈指の人気キャラ、シルバーサーファー!
今回は“彼”ではなく“彼女”。いつもの多様性と思うが、基本設定はほぼ同じ。
つまり、以前もそうだが悪ではない。ある事情から黒幕の手先にされている。
以前は存在は仄めかされていたものの残念ながら未登場だったギャラクタスがようやく実写デビュー。
宇宙誕生=ビッグバンの生き残りで、星々を食らう魔神。って言うか、本当に。
すでに見た日本の観客の間で言われているが、大魔神クリソツ! 宇宙の悪の大魔神やん!
この大魔神…じゃなくて、ギャラクタスの脅威から地球が助かる為に出した驚きの案は、『妖星ゴラス』やん!(正確に言うと、『妖星ゴラス』は地球の軌道を動かすが、本作では次元転換装置で地球を別次元の宇宙へ移動させるというもの)
そういやレトロ&近未来な世界観のみならず、VFXも何処か特撮っぽい。
クライマックス、遂に地球に来襲したギャラクタスが街中を蹂躙するシーンなんてまさしく。
マット・シャックマンにジェームズ・ガン。近年のヒーロー映画を手掛けるクリエイターたちには日本の特撮のDNAが組み込まれている!(…に違いない)
今回こそ“銀河の危機”というサブタイトルがしっくり来る強大な敵、思っていた以上の大スケール、地球存亡の危機。アクションも迫力もエキサイティングさも充分。
立ち向かう我らがファンタスティック・フォーだが、ヒーローチームであると同時に家族の絆が打ち出されているのが彼らの力。
実際そうなのだ。
リードとスーは夫婦。スーとジョニーは姉弟。ベンは旧友で家族のようなもの。
もし、宇宙ミッションで放射線を浴びなかったら…?
彼らも普通の家族として人生を歩んでいただろう。ベンに至っては外見が変貌する事もなく。
各々の苦悩や差別偏見も描けるが、これを“家族物語”として描いたのが目新しい。
特殊能力が携わり、ヒーローとして活躍しているが、お互い思いやり、軽口叩き合う軽妙なやり取り掛け合いなど、彼らは普通の家族と何ら変わりないのだ。
彼らのそんな家族の絆がさらに試される…。
スーは妊娠中。ギャラクタスに先手を打つ為飛び立った宇宙バトル中、出産。人類史上初の宇宙出産…!?(ヴァネッサ・カービー、ここでも陣痛に苦しむとは)
何故か産まれた赤子を、ギャラクタスが狙う。
まさかの幼児性愛者?…ではなく、産まれたフランクリンにもある力が秘められているという。ギャラクタスはそれを狙う。
赤子を差し出せば、地球は見逃す。ギャラクタスの究極の条件。
無論リードとスーは断るが…、地球の人々はこれに異議。自分たちのエゴの為に地球を危機に陥れたのか…?
昨今のヒーロー映画のあるある。ヒーローから一転、世界中から非難。
それはあまりにも酷だろう。じゃあもし、悪い悪い悪党が世界を見逃してやる代わりに、子供を差し出せと言ったら、あなたは差し出すのか…?
誰だってしないだろう。一部には異論もあるだろうが、人として親として疑う。
命に代えて守るだろう。我が子も。世界も。
それがヒーローだ。
それが家族だ。
ペドロ・パスカル、ヴァネッサ・カービー、ジョセフ・クイン、エボン・モス・バクラックが体現したヒーローでファミリー。
“ファンタスティック4”から“ファンタスティック5”へ。
彼らのさらなる活躍も楽しみだが、それ以上に気になるのは…
『サンダーボルツ*』のミッドクレジットシーン。今回何処で我々の地球と合流するのかと思ったら、あっちの地球での出来事。いつどうやって我々の地球と合流するのか…?
今回のミッドクレジット。4年後、少し大きくなったフランクリンの前に現れた奴…! 顔も台詞も無いが、聞く所よると、ちゃんと“アノ人”が演じているという…!
勿体ぶってる気もするが、これからへのお預け事がいっぱい。
新しさ、楽しさ、面白さを引っ提げて帰ってきた彼らはまさしく、
ファンタスティックだ!
近大さん、コメントありがとうございます😭
やっぱり「妖星ゴラス」ですよね‼️マーベルが「妖星ゴラス」を意識してはいないかもしれませんが、日本人としては嬉しくなりますね‼️
調子に乗って掛け合いレビューしてしまいました、私も「ローグワン」でやってました‼️


