劇場公開日 2025年5月2日

「久々マーベル映画で本気で面白かった」サンダーボルツ* 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0久々マーベル映画で本気で面白かった

2025年5月31日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

久々にマーベル映画の会心の一作だった。負け犬たちの再生ストーリーというのが共感されやすいのもあるが、何よりみなキャラが立っている。エレーナも主人公として存在感があるし、バッキーはカッコいいし、エレーナのお父さんアレクセイは良い味だすし。最後の相手が虚無に支配されたようになる相手を暴力で倒すのではなく優しさで包摂していく展開がいい。みな痛みを抱えているからこそ、この展開に説得力が出る。光の道を歩んだヒーローでこれをやられてもちょっと違うとなる。アクションも個人的にはすっきりと描写されていて見やすかった。
いわゆる「生きづらさ」みたいなものを、敵も味方も抱えているわけだが、現代的な物語だなと思う。倒すべき相手や敵は外部におらず、己のうちにあるという内省的な内容だが、それをマーベル映画の枠組みで娯楽異色豊かにできるのはすごいなと思う。
旧作を見ていなくても充分楽しめる内容だと思うが、一本だけ復習で見るなら『ブラックウィドウ』でいいだろう。

杉本穂高