劇場公開日 2025年5月2日

「緩急テンポよく直球で胸を打つ、新たなる可能性の芽」サンダーボルツ* 牛津厚信さんの映画レビュー(感想・評価)

4.0緩急テンポよく直球で胸を打つ、新たなる可能性の芽

2025年5月5日
PCから投稿
鑑賞方法:映画館

マーベルの前作を観て痛感したが、今はヒーロー映画にとって一番難しい時代なのかもしれない。言うまでもなく現代世界は戦争、政治、社会と幅広い混乱の中にあり、特効薬は依然として見当たらない。だが興味深いことに本作では、観客が肌身に感じる時代的な憂鬱と、作中に登場する「二軍ヒーローたち」の葛藤とが期せずして重なったように思えた。それを象徴的に言うなら冒頭セリフにもある「”void”か"boring"か」。コスチュームの色はくすみ、誰もがどこか不安定で、自分のことで精一杯。生きるため仕方なく共闘せざるをえなくなる者たちだ。しかしこの虎の穴から可能性の芽が生まれ、気がつくと彼らは力を合わせ、目の前の人の命を救っている。本作にはそういう我々が最も観たかった”衝動”が刻まれている。完璧な映画とは言わないが、緩急テンポよく直球で胸を打つ。今後のマーベル作と間向かう上での我々のモチベーションとなりうる快作だ。

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牛津厚信
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