「期待度○鑑賞後の満足度○ この映画がユニークなのは、悪役やならず者をヒーローにした事ではなく(前にもあったし)、恐らく初めて“メンヘラ”をヒーローの一人にした画期的な映画だからだろう。」サンダーボルツ* もーさんさんの映画レビュー(感想・評価)
期待度○鑑賞後の満足度○ この映画がユニークなのは、悪役やならず者をヒーローにした事ではなく(前にもあったし)、恐らく初めて“メンヘラ”をヒーローの一人にした画期的な映画だからだろう。
①アクションや特撮は今までの「アベンジャーズ シリーズ」の延長線上で目新しくはないが、「ボブ」というキャラクターを投入したことでこれまでのアベンジャーズとは違う面が加わった。
②「ボブ」は明らかに「メンタル」(ネットでは「メンヘラ」)というのですかね)(個人的にはこの呼び方は好きではないですが…正確には「メンタルヘルスに問題を抱えている」「精神障害を抱えている」です)だろう。
*あまり認識されていませんが、様々な依存症(アルコール依存症、ニコチン依存症、ギャンブル依存症、セックス依存症等々)も全て精神障害の範疇に入ります。
映画を観る限り双極性障害(いわゆる躁鬱病)の様に思えますが、統合失調症(昔は精神分裂症と呼ばれていた)もプラスされているような気味も…
面白いのは、躁鬱病の場合(躁病でもそうでしょうけど)、躁状態の時は万能感(自分が“神”にでもなったように感じる)に囚われて何でも出来るように思えて行動・発言も強き/フル回転に前後の見境もない判断をしたりするけれども、だんだん空回りになって自分は勿論周りに迷惑をかけてしまうものだけれども、本作の場合セントリーよりヴォイドの方にその傾向が出ているように思う。
なのにヴォイドの持つ闇の部分はボブの鬱状態に起因しているようで、その相反が本作に他のマーベルものとはちがう面白さをもたらしているようだ。
クライマックスもボブの迷路のような内面をビィジュアル化しているよう(大概の人間の内面も、意識/無意識に関わらずこんなものだろうけど)。
その中でボブに隠された両人格と闘いまた寄り添うのが『ミッドサマー』のフローレンス・ピューという配役の妙。
あのドヤ顔のお陰でデビュー当時から存在感があったフローレンス・ビューだけれども、最近は役者としてのスケールが大きくなって来たように思う。
…と、一人で勝手な分析をしてしまったけれど、恐らく製作者サイドもそこまで考えて作ったわけではないんですしょうね。
②それと、レッド・ソルジャーに助けられた少女が黒い影になってしまうシーンはちょっとビックリしたけれども、マーベルものが子供を殺すわけがないから、逆にヴォイドの引き起こす影の正体をこの時点で種明かししてしまっているのが痛し痒し。
③ボブ役の俳優さん、何処かで見たことあると思ったら(『トップガン マーヴェリック』に如何にも好人物の新米パイロット役で出てましたね)、ビル・プルマンの息子だったとは。確かにお父さんの面影ありますね。
USエージェント役の俳優さん、あまり見たことのない顔だなあ、と思っていたらカート・ラッセルとゴールディ・ホーンの息子さんとの事。両親にあまり似ていないようだが。
然し、映画を本格的に見始めた頃に活躍していたスターや俳優の子供達といった次世代が活躍する時代になったのだなあ、とやや感無量。
零れ話:敢えて「メンタル」「メンヘラ」の話にしたのは私も双極性障害Ⅱ型を患っているから。広末涼子と同じてすね(だから、やや親近感湧きました)。日本ではカミングアウトしている有名人は少ないけれど(別にカミングアウトする必要はありませんが…)欧米では最近はカミングアウトする人が増えてきましてね。マライア・キャリー然り、キョサリン・ゼーダ・ジョーンズ然り、フェイ・ダナウェイもだったとは驚き、カート・コバーンも(故人ですけど)。鬱病になった人は数えきれなくいますけどね(シド・シーランとか)。
だから精神疾患を患っている(或いは患ってたことがある)人は最早マイノリティとは云えないのかも…だからエンターテイメント映画でもこんな設定が受け入れられて来たのかな…
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