「タスクマスターは何のために出てきたの?」サンダーボルツ* tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
タスクマスターは何のために出てきたの?
せっかくのオルガ・キュリレンコが、まるで殺されるためだけに出てきたみたいで、勿体ないとしか言いようがない。残った4人が、協力して円筒形の壁を登って行くくだりは、彼らのポンコツぶりが窺い知れて面白いのだが、仮に、タスクマスターの早々の退場が、このシーンのためだったとしても、もう少し活躍の場があってもよかったのではないだろうか?
こうしたタスクマスターの扱いだけでなく、キャプテン・アメリカ風のヒーローが何者なのかもよく分からなかったのだが、そうしたところは、もう少し、ディズニープラスの非加入者にも親切な作りにしてもらいたかったと思ってしまった。
黒幕のCIA長官にしても、確かに人体実験をしたり、エレーナたちを抹殺しようとしたりといった行為はいただけないが、アベンジャーズに代わるスーパーヒーローを作り出そうとしたこと自体は、それほど悪いことだとは思えない。
実際、キャプテン・アメリカも、ウィンター・ソルジャーも、ブラック・ウィドウも、レッド・ガーディアンも、いずれも人為的に生み出されたヒーローな訳で、要は、そのスーパーパワーを正義のために使うかどうかの問題なのではないだろうか?
CIA長官の陰謀を暴くという話にしたかったのであれば、彼女が、人類を救うためではなく、私利私欲のためにスーパーヒーローを自作したということを、もっと明確に示すべきだったと思えてならない。
ラスボスの位置付けのセントリー(ボブ)が、「AKIRA」ばりの超能力の持ち主で、エレーナたちでは手も足も出ないという設定も、「力づくでかなわないなら、精神世界で問題を解決するしかない」ということが容易に予想できてしまい、面白みに欠けると言わざるを得ない。
ただし、そうした予定調和のラストでも、サンダーボルツの面々が、「一人じゃない」とボブを抱きしめるシーンには、思いがけずホロリとしてしまったのだが・・・
いずれにしても、DCのスーパーマンのように、余りにも強いヒーローは、かえってキャラクター間のバランスを崩しかねないので、今後、セントリーがそうならないように祈るばかりである。
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