「マ・ドンソクの無双ぶりだけではなく、若い俳優達の見せ場もきっちり用意された一作」犯罪都市 THE ROUNDUP yuiさんの映画レビュー(感想・評価)
マ・ドンソクの無双ぶりだけではなく、若い俳優達の見せ場もきっちり用意された一作
恐らくマイティ・ソーのハンマーよりも強力なマ・ドンソクのパンチをいかに美しく、爽快に見せるかに映像、物語の全てが奉仕している感のある作品なんだけど、彼の同僚を演じる俳優たち、特に若い俳優達にもそれぞれ見せ場を用意するなど、バイオレンスを前面に打ち出したイメージとは裏腹に、入念な演出が印象に残る作品となっています。
とにかくドンソクが敵に立ちはだかり、なぎ倒す際のカタルシスは超絶的で、その無双の様を一回観るだけでも効果絶大なのに、何度も見せ場を用意してくれるというサービスぶり。さらにドンソクの身体を駆使したアクションを引き立てるためなのか、銃器はあまり登場せず、闘いは鈍器、刃物が中心です。ということで、どのアクション描写もビシビシと痛みが伝わってくるようで、動きの激しさも相まって、思わず客席で身をすくませてしまうほどです。先端恐怖症の人は結構心の準備が必要かも。『アシュラ』(2016)や『モガディシュ』(2021)のように、一体どうやって撮ったの?と驚かされるCGを巧みに利用した超絶カーチェイスシーンは、本作でもちゃんと用意されているものの、前述の作品ほどには時間を割いていない印象。しかし非常に自然に見える場面をそれとなくCGで補強していると思われる箇所が多く、単に画面上の緊張感を高めるためではない円熟したCGの利用方法も印象的でした。
身体的な威圧感こそドンソクに譲るものの、敵役ソンを演じるカン・ヘサンの非道っぷりもなかなかみごとで、より作品のカタルシスを高める役を十分に果たしています。
腹に据えかねている何かがある人ほど、満足度の高い作品となっています!